すべての声にちゃんと意図がある
──幹葉さんのボーカルもすごく朗らかですよね。楽しいガヤ的なコーラスも満載です。
幹葉 レコーディングの現場でアレンジャーさんとお話ししている中で、いろんなアイデアがどんどん出てきたんですよ。なのでコーラスも含め、いろいろ試してみたんです。大サビの「誓います」という台詞のところは何パターンも言い方を変えて録ったんですけど、「これほんまに大丈夫ですか?」って思わず聞いちゃうくらいの歌い方をしてみたりもして(笑)。「レベル!アップ!プログラム!」のところでは「ピロリン」ってレベルアップしたような音を口で言ったりもしてるし。
寺西 いいエッセンスになってるよね。面白さはもちろんあるけど、すべての声にちゃんと意図があることも伝わってくるし。
幹葉 全編にわたっていろんなワクワクをたくさん仕掛けてあるので、ぜひフルバージョンで聴いてみてほしいですね。
──すでに公開されているMVもまたかなりドタバタな仕上がりで(笑)。
幹葉 なかなかはちゃめちゃなことになってますよね(笑)。
寺西 めっちゃ情報量が多いんです。それもけっこう現場のノリでいろいろ考えたんですよ。もはや悪ノリじゃないかってくらいのレベルですけど(笑)。
ますだ あんな自由な撮影は初めてでした。
幹葉 サビでは両手で三角を作る“ピラミッドダンス”をやっているんですけど、あれもその場で考えました。パッと見てマネできると思うので、ライブではみんなで一緒に踊れたらいいですね。
寺西 今はライブで声を出すことができないけど、ピラミッドダンスだったらみんな一緒にできるもんね。
──いろんな映像が合成されているシーンも面白いですよね。
幹葉 グリーンバックを使った撮影は初めてだったので、「どんな仕上がりになるんだろう」って思いつつ、そこでもまた監督さんに自分たちからいろいろアイデアを出させてもらったりもしました。しかも今までスピラ・スピカのMVを何本も撮ってくださっている監督さんなので、いろんなところにこれまでの作品の何かを隠してくれたりもしていて。
ますだ 観るたびに「あ、こんなところにこんなんあった」みたいな発見があるからね。じっくり観て、いろいろ探してみてほしいです。
いちサポーターとして込めた願い
──シングルの2曲目「UNITE」はジュビロ磐田の2021年シーズンソングになっています。シーズンソングを担当するのは2年連続なんですよね。
寺西 そうなんですよ。とても光栄ですね。
幹葉 始まりはジュビロサイドからお声がけいただいたことで始まったご縁なんですけど、その時点で私たちはそこまでJリーグに詳しいわけではなかったんです。でも去年の1年間、自分たちなりに本気で応援してきた結果、サッカーのこともジュビロのこともものすごく好きになって。シーズンソングアーティストということを忘れて、いちサポーターみたいな感覚で応援するようになっちゃったんですよ(笑)。
寺西 熱が入りまくってしまうっていう(笑)。
幹葉 そこはスピラ・スピカあるあるだよね。タイアップで担当した作品などに対しての愛が重くなりすぎる(笑)。
──(笑)。でもそれってすごく大事なことですよね。
幹葉 そうですよね! ジュビロは昨年J1を目指してがんばっていたんですけど、それが叶わなかったんです。なので今年のシーズンソングを作るにあたっては、より思いがこもったところもあって。昨年以上に、より強くジュビロのことを考えて作りました。
寺西 僕らはシーズンソングアーティストとして「ジュビロの追い風になれるようにがんばります」とよく言っていたので、今回は風をイメージして曲を作ったんですよ。もし風に色が付いていたとして、それがジュビロのチームカラーである“サックスブルー”だったらどんな感じかなというイメージをしつつ。
幹葉 てらくんから楽曲をもらったときにすごくさわやかな印象を受けたので、歌詞の頭に「サックスブルー」という言葉を入れました。根幹にある“サッカーが好き”という気持ちを大切にしながら、選手の皆さんがシーズンを駆け抜けていけるように。そして、今年こそ夢をつかんでみんなで笑い合えるように。そんな願いを込めましたね。
──“団結する”を意味する「UNITE」というタイトルもいいですよね。
幹葉 ジュビロの今年のスローガンが「UNITE FOR W1N」なんですよ。
ますだ そう。なので、選手だけじゃなく、サポーターも含めた全員が一丸となって目標に向けて突き進んでいきたいなというイメージですね。
寺西 この曲はみんなで歌うと絶対に気持ちいいと思うので、早くそれをスタジアムで実現させられる日がくるといいなって思っています。
素直にラブソングを歌えるようになった
──そしてもう1曲、ミディアムテンポのラブソング「神様のいたずら」も収録されています。
寺西 前の2曲とはまた違って、これはちょっとしっとりめなスピラ・スピカです。
幹葉 デビューから2年経って、ようやくあまり恥ずかしがらずに、素直にラブソングを歌えるようになった気がしていますね。もともと、スピラ・スピカには恋愛ソングがほとんどなかったので。
──なぜ恋愛ソングをあまり歌ってこなかったんですか?
寺西 意識的に避けていたわけではなかったんですけど、今までは曲を作る身としてそういうテーマがあまりイメージできなかったんです。ただ、いろんなアニメ作品に触れ合う機会が増えたことで、恋愛というテーマが徐々に根付きつつあるというか。そこにもしっかり挑戦していきたい気持ちに今はなってきているんですよね。
──この曲では、幸せな関係だからこそ感じてしまう不安が描かれていますね。
幹葉 はい。大切な人を思うあったかい曲なんだけど、その裏には同時に少し不安な気持ちもあるという。そういうテーマにたどり着いたのは、ファンの方との関係があったからこそなんです。ファンの方とはいつも両思いだなって感じているんですけど、昨年からのコロナ禍でちょっと不安になってしまって。今まではライブでお互いの気持ちをしっかり交わし合えていたけど、それができなくなってしまったことで、「ちゃんとつながれているのかな」という不安が芽生えてしまったんです。
ますだ 恋愛に限らず、めっちゃ楽しいことがあると、そのあとにはつらいことが起きてしまうんじゃないかみたいな不安が湧き上がったりすることもありますからね。
幹葉 そうだね。なので、この曲では例え両思いであっても、何が起こるかわからないし、だからこそ自分の気持ちをしっかり伝えることが大事なんじゃないかなという思いをラブソングとして書いていきました。
──温かなサウンドとちょっと落ち着いた歌声がすごくいい雰囲気ですね。
ますだ 演奏に関しても包み込むようなあったかさは意識しましたね。
寺西 うん、抱擁力がある感じは大事にしたかな。
幹葉 歌はできるだけ落ち着いて、優しい雰囲気を出せるように心がけました。こういうタイプの曲を歌うのは得意ではなかったんですけど、前作のシングルに入っている「雪が降った日」という曲が自分にとっていい経験になったので、少し成長した歌が録れたと思います。ファンのみんなのことを思いながら歌ったのもよかったんかな。しかし今回のシングルはサウンドも歌詞も歌い方も、3曲ともバラバラやね(笑)。
寺西 うん。でも、そこからスピラ・スピカの幅を感じてもらえたらうれしいですね。
──本作のリリース後、3月18日には大阪・梅田CLUB QUATTROでワンマンライブが開催されます。
幹葉 大阪でのライブは昨年の1月ぶり。早く「ただいま!」って言いたいですね(笑)。関西のみんなに成長した私たちの姿を見せたいですし、皆さん自粛で身体がなまっているところもあると思うので、今回のライブのタイトルは「スピスピとレベル!アップ!プログラム!」にしました。
寺西 「ピラミッド大逆転」の歌詞から引っ張ってきました。
幹葉 タイトル通り、ライブのMC中なんかにはみんなにスクワットでもしてもらおうかなって思っておりますけど(笑)。それなら声も出さんでいいし、その場でできるでしょ? 君ら2人もやからね。
ますだ 俺らも? ビリーズブートキャンプみたいになってきたな(笑)。
寺西 体力つきそうやな(笑)。
幹葉 ま、そういうことも含め、何かしら面白いことをたっぷり組み込んだライブにしようと思っていますので、皆さん楽しみにしていてください! 私たちもライブに向けて“レベル!アップ!プログラム!”して、がんばって臨みますので!
ライブ情報
- スピラ・スピカ「ピラミッド大逆転」Release One-Man Live
~スピスピとレベル!アップ!プログラム!~ -
2021年3月18日(木)大阪府 梅田CLUB QUATTRO