レコーディングはあくまでも「いつものスフィア」で
──「Heart to Heart」のレコーディングはスムーズでした?
高垣 そうですね、4人別々に録ったんですけど。最初に録ったのはみなちゃん(寿)だったっけ?
寿 そう。ハモりがたくさんあったりするのでレコーディング自体は時間がかかったんですけど、スフィアの曲って開放的で空が見えそうと言うか、さっき言ってくださったように自然と上を向きたくなるところがあるんですよね。だから一気に歌い切れました。特にDメロの「顔を見ればわかる わたしも同じ表情(かお)かな」っていう部分を歌うときに、みんなの顔がポンポンポン!って浮かんで。1人でレコーディングしてても1人じゃないんだなって思わせてくれる曲でしたね。
戸松 20枚目というキリのいい、しかも充電期間に入る前の最後のシングルということで個人的には特別な思いもあったんですけど、「Heart to Heart」はアニメ「つうかあ」のオープニング主題歌でもありますし、きっと作品を通して初めてスフィアの楽曲に触れる方も多いと思うんです。
──ご新規さんも想定する必要がある。
戸松 だからこそ「これがスフィアの歌声なんだよ」と、いつも通りに歌えたらいいなって。なのでカップリングにはもうちょっとパーソナルな感情が入っていたりはするんでけど、「Heart to Heart」ではいつものスフィアらしい力強さや前向きな気持ちを表現しようと心がけましたね。歌詞は「つうかあ」とリンクしつつ今のスフィアとも重なっているので、私もスフィアのことを思いながら歌っているところはあるんですけど(笑)。
──おっしゃる通り、いつものスフィアですね。
高垣 やっぱり充電期間の最後のレコーディングということで、制作陣の皆さんもいつも以上に気合いが入っていて。だからと言って変に気負いすぎるといつものスフィアじゃなくなっちゃうので、たぶんそこはみんな意識してたと思います。
寿・豊崎 うん。
高垣 レコーディングの時点ではまだ歌い分けが決まってなかったので、それぞれ全パートを録ったんですけど、今回は「つうかあ」のオープニングということで基本的には2人ずつペアで歌いながら曲が進行していて。それぞれのペアの思いが積み重なって、最後に4人で大事なメッセージを伝える。やっぱり4人の声が合わさったときに曲のエネルギーが増していくのを感じたので、そのあたりも気にして聴いていただけたらうれしいです。
豊崎 このシングルの曲に関しては、今までみたいにライブで歌ってお客さんと一緒に育てていく時間をすぐには持てないんですよね。であればこそCDとしての完成度にこだわりたくて。みんなにこの曲でしっかりメッセージを伝えたいと思いつつ、でもスフィアらしさも忘れずに。しっとりした部分はカップリングに預けて、明るくて元気なスフィアを全部「Heart to Heart」に乗っけました。
スフィアからスフィアへの手紙を歌詞に
──そのカップリング曲「Endless Anniversary」は、おっしゃる通りしっとりとした温かいバラードです。
寿 「悲しく終わりたくない」っていうのはスフィア全員の見解としてあって。じゃあどんな曲がふさわしいのかみんなでいろいろとたくさんのアイデアを出し合った結果、「手紙を書くようなイメージの楽曲ができるといいね」ということになり。それで私たち4人が10周年を迎えたときの自分たちに向けて、それぞれの思いをしたためた手紙をこだまさんに託して、それらを編むように歌詞にしていただいたんです。
高垣 だから先ほどピンポイントで「お手紙」と言ってくださったとき、心の中で「正解!」って思ってました。
戸松 「正解!」って(笑)。
豊崎 クイズじゃないんだから(笑)。
高垣 これまでもスフィアには、「キミが太陽」(2011年3月発売のアルバム「Spring is here」収録)や「Ding! Dong! Ding! Dong!」(2014年6月発売のアルバム「4 colors for you」収録)のような、私たち自身のことを歌った自己紹介ソングはあったんですけど、「Endless Anniversary」の歌詞はスフィアからスフィアへの手紙がベースになっているので、一際その要素が強いですね。
──それぞれが手紙に何を書いたかは、わからないんでしょうか?
寿 わからないです。こだまさんしか読んでいないので。
高垣 なかなかみんなの賛同を得られないんですけど、私個人の願望としては10周年を迎えたときにその手紙をみんなで読み合いっこしたいなって。タイムカプセルを開けるみたいに。
──それ、絶対やるべきですよ。
高垣 ですよね! ほらあ。
寿・戸松・豊崎 ……。
──皆さん黙っちゃいましたね。戸松さんに至ってはあからさまに渋い顔で高垣さんから目を逸らして……。
高垣 恥ずかしいのかな? でも私はめげずに言い続ける。
戸松 読み合いっこの話はひとまず置いといて(笑)。誰がどんな手紙を書いたかはわからないんですけど、そこからこだまさんが紡いでくださった歌詞を見て、4人とも同じ方向を向いているなって思ったんです。「ここ、私が書いたとこだ!」っていう具体的なフレーズがあるわけではないにせよ、私が言いたいことはこの中に詰まっているし、それはほかの3人が言いたいことでもあるんじゃないかなって。だからホントに充電前にこの歌を歌えてよかったし、私にとって、たぶんみんなにとっても特別な1曲になりました。私の願望としては、10周年を迎えたときに最初にこの歌を歌いたいなって。
寿 それいいね。
豊崎 そうそう、みんな願望言っとこう。
戸松 その10周年を迎えた先もどういう形かはわからないんですけど、スフィアという存在はずっとあり続けると思っているので、充電期間中にこの曲を聴きながら待っていてもらいたいです。
次のページ »
スフィアにとって、そしてファンにとっての「いろんなこと」
- スフィア「Heart to Heart」
- 2017年11月8日発売 / Lantis
-
初回限定盤 [CD+DVD]
1944円 / LASM-34183 -
通常盤 [CD]
1296円 / LASM-4183 -
期間限定生産盤 [CD]
1296円 / LASM-34185
- CD収録曲
-
- Heart to Heart
- Endless Anniversary
- Heart to Heart(off vocal)
- Endless Anniversary(off vocal)
- 初回限定盤DVD収録内容
-
- 「Heart to Heart」Music Video
ライブ情報
- 2017年11月11日(土)千葉県 幕張イベントホール
- 2017年11月12日(日)千葉県 幕張イベントホール
- スフィア
- ミュージックレインに所属する声優の寿美菜子、高垣彩陽、戸松遥、豊崎愛生からなる4人組ユニットとして、2009年4月にシングル「Future Stream」でメジャーデビュー。メンバーそれぞれ声優やソロアーティストとして精力的に活動しながら、コンスタントにCDリリースやライブ活動を行っており、2010年11月には東京・日本武道館での単独ライブを成功に収めた。2015年2月にはデビュー5周年を記念したファンセレクトのベストアルバム「sphere」をリリース。また同年に「情熱CONTINUE」「vivid brilliant door!」「DREAMS, Count down!」と3枚のシングルを発表した。2016年4月にはHoneyWorksとのコラボレーションによる「HoneyWorks meets スフィア」名義で、HoneyWorks原作の劇場版アニメーション「ずっと前から好きでした。~告白実行委員会~」のエンディングテーマとなるシングル「一分一秒君と僕の」をリリースした。2017年5月に5枚目のアルバム「ISM」、同年11月にアニメ「つうかあ」のオープニングテーマを収録したニューシングル「Heart to Heart」を発表。同11月に千葉・幕張イベントホールで開催される全国ツアーの追加公演「LAWSON presents Sphere live tour 2017 "We are SPHERE!!!!!"」をもって、約1年半の充電期間に入る。