ナタリー PowerPush - SOFFet
ライブDVD+ニューシングルで示す僕らのオリジナリティ
2010年、SOFFetはYoYoの筋緊張性発声障害、GooFの骨折というトラブルに見舞われた。その後、年が明けると自分たちで事務所・JAM'S KEY PRODUCTIONを設立し、ライブ会場限定リリースシングル「JAM'S KEY」を制作。同曲を引っさげて昨年末から今年にかけて行われた全国ツアーでは、“ドタバタ”と“ほっこり”と“しっとり”が共存する独自のエンタテインメントライブを成功させ、見事に現場復帰を果たした。
今回発表したライブDVD「Turn the JAM'S KEY TOUR SPECIAL 2012 -2MC1DJ1TJB」には、今年2月に東京・下北沢GARDENで行われたツアー追加公演の模様を収録。さらにニューシングル「Marry Me」が同梱されたスペシャルな1枚となっている。この特集では、ライブDVDの見どころや新曲「Marry Me」の制作背景について2人にインタビュー。活動をストップせざるを得なかった一昨年の心境についても迫った。
取材・文 / 猪又孝 撮影 / 平沼久奈
危機であり、最大の転換期でした
──SOFFetは、2010年初めにYoYoが筋緊張性発声障害を発症し、活動がストップしました。翌年には旧事務所から離れて自分たちでプロダクションを立ち上げるなど、2010~2011年は分岐点となるような年でしたよね。
YoYo でしたね。それはもう最大の危機というか……。
GooF 危機であり、最大の転換期でしたね。
──GooFは、YoYoから喉がヤバそうだと聞いたときはどう思った?
GooF 本人が「もう無理だ」って言うんで、それはもう一刻も早い原因究明をしなきゃまずいな、と。治すことに専念しないといけない状況だとわかってから、ライブは全部キャンセルする方向になりました。
──YoYoはそのとき、どんな心境だった?
YoYo 今だから笑って話せますけど、この先、音楽はもうできないかもしれないって思ってましたね。病院に行っても不調の原因がわからず、いくつか回るうち、ようやく筋緊張性発声障害だと発覚したんですが、いつ治るかどうかはわからない状況でした。数多くの歌手の喉を看てる先生でしたが、僕のケースは稀だって言われて。
──解散とかも考えたんですか?
GooF それは全く考えなかった。デビューしてから初めて体験するくらいの危機だったし、2人で話して先のことを確かめ合うことはしたけど、でも、音楽をやめるっていう頭はまずなかった。
──でも、SOFFetにとって2010年は節目の年になったと思います?
GooF 間違いなくそうです。なんて言うの、激動の1年?(笑) でも、そこですごくいろいろ考えることができたんで、今思うと良い経験をしたなと思ってます。こんな経験、したくてもできないっていうか、ないに越したことはないとも俺は思わないんですよ。起こって良かったとすら感じるくらい。それを経験してない人よりも、2倍くらい経験値が上がったと思うし、YoYoの思いも知れたし、グループのことも考えたし、覚悟もできたし。
──まさに災い転じて福と成す、だ。
GooF そう。だから、これをこれから良い方向に持っていけなかったらダメだって思ってます。
このライブで“戻ってきた感”があった
──そして「Turn the JAM'S KEY TOUR」のおさらいをしたいんですが、このツアーはどんなコンセプトで行ったものなんですか?
GooF これは「JAM'S KEY」のリリースツアーという側面があって。(ライブをする)期間がちょっと空いたんで、ライブに来てくれる人に最初に作品を届けたいということで行ったツアーなんです。で、年末に回ったツアーは「2MC1DJ1SG」っていう副題で、2MC1DJのスタイルを前面に出したDJセットのメニューにしていたんですよ。
──2MC1DJはSOFFetの基本スタイルですよね。
GooF そう。原点のスタイルをもう一度自分たちで考え直して、今やれる最高のものをやろうっていう。で、このDVDに収録されてるのは「2MC1DJ1TJB」という副題で、TJBはSOFFet専属のバックバンドTokyo Junkastic Bandの略。追加公演はスペシャルとして生演奏でやっていて、年末のツアーとはまた違うステージになってるんです。
──そもそもツアーにはどんな気持ちで臨んでました?
YoYo 個人的にはプレッシャーが大きかったですね。復帰一発目のライブ(昨年3月に東京、大阪で開催)は、まだまだ喉が万全とは言えない状態でしたし、ライブをやりながら徐々に完治に向かえば、という感じだったので、今回ツアー自体を成功させるっていうのがまずひとつ目標だった。でも、ファンの皆さんと全国のライブ会場で直接会って、SOFFetを楽しみに待ってくれてたんだっていうことを初めて実感できて、それがうれしかったですね。
GooF 僕も“戻ってきた感”はありましたね。自分らでプロダクションを運営し始めて、自分らでツアーも作り上げていくっていうことで不安もありましたけど、全国のイベンターの方々が協力してくれて10カ所も回れた。やっと音楽の場に戻ってこれたなっていう気持ちは強かったです。
SOFFet "LIVE DVD + NEW SG Marry Me" PROMO
DVD収録曲
- JunkArtistic
- Beautiful Smile
- Join the Party Tune!!
- NEW STANDARD
- JAM'S KEY
- 東京ホタル
- Answer
- 花
- 南の島へ行きましょう
- 三人芸
- がむしゃら凸凹大レース!? ~MEDIANNOCHE RMX~
- キグルミマスター
- ムービースター
- 仮面ライター
- スキナツ
- イタダキ7
- ひとりじゃない
<アンコール>
- Love Story
- 君がいるなら☆ ~Jam version~
- また会う日まで
CD収録曲
- Marry Me
SOFFet(そっふぇ)
YoYoとGooFの2MCによる男性スウィングラップユニット。小学校以来の友人である2人が、1995年に結成。2002年7月にミニアルバム「ソッフェのぽかぽかミュージック」をVIBLE RECORDからリリースし、2003年3月にシングル「君がいるなら☆」でメジャーデビューを果たす。その後作品リリースや多彩なアーティストとのコラボレーションを積極的に行い、2008年には初のベストアルバムをリリース。しかし2010年、GooFの左肩骨折、YoYoの緊張性発声障害の発症により約1年の療養期間に。2011年からはライブ活動を再開し、DJスタイル、アコースティック、バンドスタイル、さらには自ら楽器を弾きながらラップをするというオリジナルのスタイルで活動を続けている。