sleepyhead×MOMIKEN(SPYAIR)|感性でつながったコラボ曲「INSIDE OUT KISS」が生まれるまで

武瑠(ex. SuG)のソロプロジェクト・sleepyheadの新作CD「NIGHTMARE SWAP」が10月17日にリリースされる。

前作「DRIPPING」からわずか4カ月で発表される本作は、SKY-HI、TeddyLoid、MOMIKEN(SPYAIR)、Tom-H@ck、AISHA、yuji(ex. SuG)、WHITE JAM、PLASTICZOOMSといったアーティストを招いて制作されたコラボ曲集。音楽ナタリーでは武瑠と新曲「INSIDE OUT KISS」の作詞を担当したMOMIKENとの対談を実施し、両者の交流や楽曲制作のプロセス、それぞれが考えるコラボレーションに対するスタンスなどを語り合ってもらった。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 後藤壮太郎

武瑠くんの状況が会うたびに変わってた

──武瑠さんとMOMIKENさんの交流を意外に感じている方も多いと思います。2人の出会いのきっかけは?

武瑠

武瑠 もう5、6年くらい前になるんですけど、最初に知り合ったのはボーカリスト同士ということもあってIKEくん(Vo)なんです。SPYAIRがまだ名古屋にいた頃なんですけど、なぜかIKEくんから名刺をもらって。

MOMIKEN(SPYAIR) メンバーのキャラクターが描いてあるヤツだよね? インディーズの頃は名刺を作って、フライヤーと一緒に配ってたんです。

武瑠 そうなんだ(笑)。それで、MOMIKENさんと最初に会ったのはおそらくNHKの音楽番組(2012年3月放送の「MUSIC JAPAN」)ですね。ただちゃんと話すようになったのは去年から。僕がやっているmillion $ orchestraというブランドの制作チームが、いろんなアーティストとコラボで服を作りはじめて、そこにMOMIKENさんも参加していて。自然と会うタイミングが増えたんです。

──音楽ではなく、最初はファッションでのつながりだったんですね。

武瑠 はい。前回の特集で対談したヤマタク(山中拓也 / THE ORAL CIGARETTES)と同じ流れなんですけど(参照:sleepyhead「DRIPPING」対談 武瑠×山中拓也(THE ORAL CIGARETTES))、MOMIKENさんとよく会うようになった時期は、僕にいろいろあった頃で……。

MOMIKEN 知り合った直後から、武瑠くんの状況が会うたびに変わってた。

武瑠 激動の時期でした。バンドが解散して、1人になって。音楽をやるかどうか決めてない時期もあったし。

ファミレスか専門店か

──SuGとSPYAIRの両バンドが絡んでいた時期はあまりないんでしょうか?

武瑠 なかったですね。

MOMIKEN(SPYAIR)

MOMIKEN それはたぶん、ウチの問題ですね。今もそうなんですけど、インディーズの頃からほとんど対バンをやってなくて。だからキチンと時間が決まっている対バンイベントとかには、今でも全然慣れてないんですよ。インディーズの頃にライブハウス主催のイベントに出たときも持ち時間を大幅にオーバーしちゃって。物販もやらせてもらえず、楽屋でずっと怒られてたこともありました(笑)。

武瑠 SuGも対バンライブができなかったバンドだったんです。完全にジャンルとジャンルのポケットにハマっていた感覚があって。それがずっと悩みだったんですよね。

MOMIKEN “ジャンルとジャンルのポケット”って感覚、すごくわかるな。最近のフェスはバンドもアイドルも混ざってることが多いけど、以前はもっとジャンルが分かれていて、「どこに出たらいいだろう?」「どんなバンドとやったらいいかな?」みたいなことを僕らもずっと考えてました。自分たちの居場所を探していたというか。

武瑠 SPYAIRはジャンルやシーンに関係なく、曲のよさでメジャーシーンに行った印象がありますね。メジャーデビュー曲の「LIAR」が、メチャクチャいい曲だし。

MOMIKEN ありがとう。メジャーデビュー以降は、周りからもいい曲を求められたし、自分たちも「『いい曲だね』と言わせたい」と思っていて。女子高生からおばあちゃんまで、幅広い人に「いい」と思ってほしかったんだよね。食べ物屋さんでいうと、ファミレスを目指していた感じ。専門店をやりたがる人は多いし、コアな音楽ファンは“専門店”を求める中、“ファミレス”でやっていくのはかなり厳しい道のりでもあったけど。

武瑠 わかります。僕もいろんな音楽が好きだから、本当はファミレス的なバンドをやりたかったんです。でもヴィジュアル系というスタート地点が“専門店”だったこともあって、なかなか“ファミレス”にはなれなくて。お客さんからもそういう音楽は求められていなかったし。

MOMIKEN なるほど。ソロになってからはどう?

武瑠 楽曲も映像もアートワークも、自分が好きなもの、カッコいいと思うものだけを作ってます。もはや自分の職業はミュージシャンじゃないような気がしているんですよ。

MOMIKEN 何かに括れないアーティストということだよね。

武瑠 そうなりたいと思っています。今回の作品「NIGHTMARE SWAP」って、自分のアーティストとしての実績だけでは実現できなかったと思うんですよ。sleepyheadはたとえ小さい規模でも、自分がカッコいいと思うことを貫いて、ミュージックビデオやアートワークを作ることに意義を見出している。どこかで「センスが合う人に届け」と思っていたけど、いろんなところに点在していたクリエイターが賛同してくれて、アルバムに参加してくれることになったんです。

左から武瑠、MOMIKEN(SPYAIR)。

──MOMIKENさんもそんな武瑠さんの活動に賛同したクリエイターの1人ということですよね。

MOMIKEN はい。最初に武瑠くんがソロになるって聞いたときは「どうして茨の道を進むことにしたんだろう?」と思ったんだよね(笑)。でも僕は武瑠くんの作る作品が好きだったから「できることがあったら手伝うよ」と言っていたんです。

武瑠 実は最初、「ベースを弾いてもらえませんか?」って依頼を送っていたんです。

MOMIKEN そうそう。個人で受ける仕事はすべて自分でジャッジできるようになって。少しずつ作詞の仕事もやらせてもらっているし、フットワークは軽くなってますね。「僕をつなぐ鎖のリード、こんなに長くていいのかな?」って思うくらい、最近は自由にやらせてもらってます(笑)。

武瑠 ちゃんとバンドに所属しながら、個人的な活動もできてる今の状態、すごくいいと思うよ。

sleepyhead「NIGHTMARE SWAP」
2018年10月17日発売 / STREET GOTHIC LABEL
sleepyhead「NIGHTMARE SWAP」

[CD] 2160円
SACT-0004

Amazon.co.jp

収録曲
  1. 1 2 3 for hype sex heaven feat. SKY-HI, TeddyLoid, Katsuma (coldrain)
  2. INSIDE OUT KISS feat. MOMIKEN (SPYAIR)
  3. BACK TO FIRST DAY feat. SHIROSE (WHITE JAM)
  4. DON'T YOU LET ME GO feat. AISHA
  5. Neverending Dream feat. SHO ASAKAWA (PLASTICZOOMS)
sleepyhead(スリーピーヘッド)
sleepyhead
武瑠(ex. SuG)によるソロプロジェクト。2018年3月に東京・TSUTAYA O-EASTにて初ライブ「透明新月」を開催し、会場限定シングルとして「闇雲」をリリースした。同年6月に1stフルアルバム「DRIPPING」をリリース。7月には初のツアー「sleepyhead LIVE TOUR 2018」を開催した。10月にはSKY-HI、TeddyLoid、MOMIKEN(SPYAIR)、yuji(ex. SuG)といったアーティストを迎えて制作された新作音源「NIGHTMARE SWAP」を発表し、リリース後には東名阪を回るワンマンツアー「sleepyhead ONEMAN TOUR 2018 "NIGHTMARE SWAP"」と多数のゲストを迎えて行われるライブイベント「sleepyhead FES 2018 "NIGHTMARE SWAP FES vol.1"」を実施する。
SPYAIR(スパイエアー)
SPYAIR
IKE(Vo)、UZ(G, Programming)、MOMIKEN(B)、KENTA(Dr)の4人からなるバンド。全員が愛知出身で、2005年に結成される。地元名古屋の野外ライブでキャリアを重ね、デビュー前の2010年6月に行った100本目の野外ライブでは2000人の観客を集める。同年8月、シングル「LIAR」でメジャーデビュー。その後も8枚のシングルを発表し、並行して精力的なライブ活動を展開する。同年12月に初の日本武道館ワンマンライブを開催。2014年5月の全国ツアー開催中、IKEの喉のトラブルによりツアーを中断し約半年間、活動を停止する。12月に東京・Zepp DiverCity TOKYOにて開催したワンマンライブで本格的に活動を再開した。2015年11月にフルアルバム「4」をリリースし、12月には初のアリーナツアーを実施。2017年10月に約2年ぶりのニューアルバム「KINGDOM」を発表し、2018年1月からは全国ホールツアー「SPYAIR TOUR 2018 -KINGDOM-」を開催した。同年7月には4回目となる山梨・富士急ハイランドコニファーフォレストでの恒例野外ライブ「JUST LIKE THIS 2018」を豪雨の中敢行し、会場に集まった約1万5000人のファンを熱狂させた。同年9月からはバンド初のワールドツアー「SPYAIR WORLD TOUR 2018」を実施中。