今年デビュー20周年を迎えたSkoop On Somebodyが、約6年ぶりとなるニューアルバム「State Of Soul」をリリースした。
TAKE(Vo)とKO-ICHIRO(Key, Cho)の2人がセッションで生み出していった濃密なソウル、R&Bの楽曲群を、サウンドプロデューサーに海外でも活動するRyosuke "Dr.R" Sakaiを迎えて完成させた本作。久保田利伸から楽曲提供を受けた「Every Kiss,Every Lies」「Killin' Me」を含む全15曲にわたり、20年のキャリアの中で確固たるアイデンティティを築き上げてきた彼らだからこそ描き出せる、セクシーなサウンドが味わえる。
音楽ナタリーでは本作のリリースを記念し、同時代の音楽シーンを共に駆け抜けてきた盟友・ゴスペラーズの村上てつやを迎えての鼎談を企画。ソウル、R&Bへの愛に満ちあふれたクロストークをしてもらった。
取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 須田卓馬
俺たちってどんなグループだっけ?(TAKE)
──今作はどのような形で制作が始まったんでしょうか?
TAKE(Vo) 今回のアルバムは去年の秋くらいから構想を練り始めていたんですよ。デビュー20周年ということもあるので、「俺たちってどんなグループだっけ?」っていうそもそものところを意識しつつ、実際それぞれで曲作りも始めていて。でも結果から言うと、今年に入ってから僕とKO-ICHIROが曲のネタを持ち寄ってセッション感覚で作った最近の曲たちがアルバムには採用されることになったんですよね。
KO-ICHIRO(Key, Cho) 去年の段階でお互いが作っていた曲も、それはそれでいいものではあったんです。今、聴き直してみても全部がクズってわけじゃない(笑)。ただ、今年に入ってからの「Live in gloom」(JZ Brat Sound of Tokyoで7日間開催されたライブ)や、マネージャーを含めた3人で1台の車に乗って全国を旅した「Coming 2 you」ツアーを経たことでちょっと気持ちが変わったんです。たくさんのお客さんと同じ空間で同じ空気を吸っている感覚をたっぷり味わえたことで、曲がどうこうの前にまずはSkoop On Somebodyとしての空間作りが大事なんじゃないかと思うようになったと言いますか。結果、TAKEと2人でのセッションという流れに自然となっていった感じで。
TAKE その間には僕らのルーツでもある古いR&Bから最新のR&Bまで、地球上でR&Bと呼ばれている楽曲をとにかく聴き漁ってみたりもして。それによって自分たちの視野が広がったところもあったし、そのうえで今、S.O.S.としてやるんだとしたらどんなものになるのかなっていうこともすごく考えることができた。だからこそ20周年の集大成的な内容で、自分たちの好きなことを思い切りやってはいるけれど、決してノスタルジックなものにはならなかったんだと思うんです。
村上てつや うん、ホントに素晴らしいアルバムだと思いますよ。ツアーを通して、たくさんのお客さんたちから立ち上る「S.O.S.に歌ってほしい歌、奏でてほしい音」というオーラを浴びたことで、2人の中の制作に関する微妙な方向修正があったっていうのは非常に合点がいくところはありますよね。しかも、TAKEの歌とKO-ICHIROさんのピアノがど真ん中にあるっていう世界はしっかり残しつつも、例えばラジオから流れたときに「今の日本にはこういう音楽があるんだぜ」ってしっかりアピールできる作品にもなってると思う。芯を食ったソウルフルな部分と、懐古ではない新しい盛り上げが同時に入っているところがホントに素晴らしいなと。
TAKE 僕らとしてもソウル、R&Bというものを改めて未来に向けて発信したいんだっていう思いはあったんだよね。それを今回サウンドプロデュースしてくれたSakai(Ryosuke "Dr.R" Sakai)くんに話したら、「海外にはもうそういうジャンルが存在していて。フューチャーソウルって言うんですよ」って教えてくれて。まさに今の僕らがやるべきなのはそれだなと。
SKOOPが登場したときのド肝を抜かれる感覚がある(村上)
村上 サウンドやミックスなんかにはしっかり現代化されたものを感じるけど、単純にそこだけをアピールするのではなく、やっぱり芯には「これぞS.O.S.」っていう強みが存在しているところも重要だよね。長く活動しているとさ、ゴスペラーズもそうだったけどいろんなことをやるわけですよ(笑)。やらざるを得ない部分もあるし。でも20周年で、しかも6年ぶりのフルアルバムってことになれば、「なんでこの人たちは20年活動してこれたんだろう?」ってことの答えを示すようなものじゃないと、長年のファンがずっと応援してきた甲斐がないってことにもなるわけじゃない? そういう意味ではね、日本のメジャーシーンにSKOOPが登場したときの、あのド肝を抜かれる感覚は今回のアルバムにもしっかり込められてると思うんです。「『No Make de On The Bed』(1997年リリースのデビューシングル)ってどういう状態だよ!?」っていうさ(笑)。
KO-ICHIRO んふふふふ(笑)。
TAKE 確かにそうだよね(笑)。
村上 そういう際どい歌詞って、誰が歌っても様になるわけじゃないからね。それを歌って様になる声、ノドを持った人じゃないとソウル、R&Bは成り立たないものだからさ。今回はそういう強みも最大限に発揮したアルバムになっていることが単純にすごいなって思うし、きっとファンの人もうれしいと思うよ。
TAKE S.O.S.はそもそも、聴いてる人に気持ちよくなってもらいたい、リラックスしてもらいたい、ちょっとセクシーな気持ちになってもらいたいっていうところを大事にしてきたグループだからね。表現方法やアプローチは違うけど、ゴスペラーズもそういうところは強くあると思う。だから、てっちゃん(村上)にそういう感想を言ってもらえるのはすごくうれしいですね。
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すべて完成するまでは半信半疑だった(KO-ICHIRO)
- Skoop On Somebody「State Of Soul」
- 2017年10月18日発売 / SME Records
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完全生産限定盤
[CD3枚組+DVD]
10000円 / SECL-2216~20 -
初回限定盤 [CD2枚組]
4500円 / SECL-2221~2 -
通常盤 [CD]
3200円 / SECL-2223
- DISC 1「State Of Soul」
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- No Make de On The Bed
[作詞・作曲・編曲:SKOOP] - バラ色
[作詞・作曲・編曲:SKOOP] - Nice'n Slow (S.O.S. edition)
[作詞・作曲・編曲:SKOOP] - Actor
[作詞・作曲・編曲:SKOOP] - Amanogawa
[作詞・作曲・編曲:SKOOP] - ama-oto
[作詞・作曲:S.O.S. / 編曲:西平彰、S.O.S.] - 線香花火
[作詞・作曲:S.O.S. / 編曲:西平彰、S.O.S.] - eternal snow
[作詞:松原憲、S.O.S. / 作曲・編曲:松原憲] - Still
[作詞:小林夏海 / 作曲:清水昭男 / 編曲:鈴木雅也] - Key of Love
[作詞・作曲・編曲:S.O.S.] - 潮騒
[作詞:小林夏海、清水昭男 / 作曲:清水昭男 / 編曲:鈴木雅也] - ぼくが地球を救う~Sounds Of Spirit~
[作詞:松尾潔、S.O.S. / 作曲:S.O.S. / 編曲:鷺巣詩郎] - ETERNAL LANDSCAPE
[作詞:S.O.S. / 作曲: 織田哲郎 / 編曲:S.O.S.+織田哲郎] - 椛 ~momiji~
[作詞:市川喜康 / 作曲:S.O.S. / 編曲:河野圭] - どんなに離れても
[作詞・作曲・編曲:川口大輔] - UP
[作詞:S.O.S.、三浦北斗 / 作曲:三浦北斗 / 編曲:S.O.S.]
- No Make de On The Bed
- DISC 2「20years Anniversary Best Selection」(初回限定盤 / 完全生産限定盤のみ)
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- The Entrance (Intro)
[作曲・編曲:S.O.S.] - Elevate You
[作詞・作曲・編曲:S.O.S.] - Killin' Me
[作詞・久保田利伸、S.O.S. / 作曲 :久保田利伸 / 編曲:Ryosuke "Dr.R" Sakai、S.O.S.] - Every Kiss, Every Lies
[作詞・久保田利伸、S.O.S. / 作曲:久保田利伸 / 編曲: Ryosuke "Dr.R" Sakai、S.O.S.] - Celebration
[作詞・作曲:S.O.S. / 編曲: Ryosuke "Dr.R" Sakai、S.O.S.] - sha la la (New Mix)
[作詞:S.O.S.、小林夏海 / 作・編曲:Face 2 fAKE] - Immorality
[作詞:S.O.S.、小林夏海 / 作曲:S.O.S. / 編曲:Ryosuke "Dr.R" Sakai、S.O.S.] - Nice'n' Deep
[作詞・作曲: S.O.S. / 編曲:Ryosuke "Dr.R" Sakai、S.O.S.] - My Playlist (Interlude)
[作詞・作曲:S.O.S. / 編曲:Ryosuke "Dr.R" Sakai、S.O.S.] - All True Man
[作詞:S.O.S.、小林夏海 / 作曲:S.O.S. / 編曲:Ryosuke "Dr.R" Sakai、S.O.S.] - Taste of Honey
[作詞・作曲:S.O.S. / 編曲:Ryosuke "Dr.R" Sakai、S.O.S.] - Time and Tide
[作詞・作曲・編曲:S.O.S.] - Luvtone (Interlude)
[詞・作曲・編曲:S.O.S.] - Before The Dawn
[作詞:小林夏海 / 作曲:S.O.S. / 編曲:Ryosuke "Dr.R" Sakai、S.O.S.] - Wings
[作詞・作曲・編曲:S.O.S.]
- The Entrance (Intro)
- DISC 3「20years Anniversary c/w Selection」(完全生産限定盤のみ)
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- 束縛
[作詞:小原明子、S.O.S. / 作・編曲:松原憲] - Soul'n'Roll
[作詞:S.O.S. / 作・編曲:小松秀行、S.O.S.] - if
[作詞・作曲・編曲:S.O.S.] - 白シャツ
[作詞:SOS、坂詰美紗子 / 作曲:坂詰美紗子 / 編曲:SOS、益田TOSH] - 時計
[作詞・作曲・編曲:SKOOP] - キミノユメヨカナエ
[作詞:TAKE / 作曲:KO-HEY / 編曲:SOS] - My Life ~風に吹かれて
[作詞:S.O.S. / 作曲:JiN / 編曲:JiN, Futoshi Kawashima] - wanna,wanna,wanna
[作詞:TAKE / 作曲:KO-HEY / 編曲:SOS] - This New Morning
[作詞:TAKE / 作曲:KO-ICHIRO / 編曲:SOS] - STAND!
[作詞:高柳恋 / 作・編曲:S.O.S.] - CRAZY LOVE
[作詞・作曲:TAKE / 編曲:中野定博] - 真昼の月
[作詞:S.O.S. / 作曲:JiN / 編曲:JiN、Futoshi Kawashima] - 永遠の星空
[作詞:島袋優 / 作曲:SOS / 編曲 :SOS、上地等、島袋優] - 人魚の恋
[作詞:古内東子 / 作曲:KO-HEY / 編曲:Tomi Yo] - I Don't Wanna Let U Go
[作詞・作曲・編曲:SKOOP] - 祈り
[作詞・作曲・編曲:SKOOP]
- 束縛
- DISC4 DVD「Skoop On Somebody 20th anniversary LIVE Vol.3「Every Kiss, Every Lies」2017.6.18@豊洲PIT」(完全生産限定盤のみ)
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- Tonight's the night
- get away
- 線香花火
- 白シャツ
- Perfume Love
- Soul'n'Roll
- Still
- 束縛
- 潮騒
- Stay in love
- Nice'n Slow
- Eternal Sunshine
- sha la la
- CRY ON YOUR SMILE
- Every Kiss, Every Lies
- Q ~ETERNAL LANDSCAPE
- UP
- ぼくが地球を救う~Sounds Of Spirit~
- バラ色
- soul river
- Key of Love
ライブ情報
- Skoop On Somebody 20th anniversary live Vol.4「State Of Soul」
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- 2017年12月24日(日)東京都 中野サンプラザホール
- 2018年1月12日(金)愛知県 DIAMOND HALL
- 2018年1月13日(土)大阪府 豊中市立文化芸術センター 大ホール
- 2018年1月21日(日)福岡県 電気ビルみらいホール
- 2018年1月28日(日)北海道 Zepp Sapporo
- 2018年2月3日(土)新潟県 ジョイアミーア
- 2018年2月4日(日)新潟 ジョイアミーア
- 2018年2月10日(土)香川県 高松 SUMUS cafe
- 2018年2月11日(日)愛媛県 松山キティホール
- 2018年2月18日(日)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
- 2018年3月3日(土) 熊本県 ぺいあのPLUS'
- 2018年3月4日(日) 宮崎県 ニューレトロクラブ
- 2018年3月9日(金)広島県 Live Juke
- 2018年3月11日(日)岡山県 MO:GLA
- 2018年3月17日(土)福島県 創空間 富や蔵
- 2018年3月18日(日)宮城県 retro Back Page
- Skoop On Somebody(スクープオンサムバディ)
- 1995年に大阪で結成。当初はSKOOPという名前で活動し、1997年にシングル「No Make de On The Bed」でメジャーデビューする。2000年に現在のSkoop On Somebodyに改名。CMソングに採用されロングヒットを記録した「sha la la」をはじめ、「BLEACH」や「エンジェル・ハート」といったアニメのテーマソングを担当する。東方神起、CHEMISTRY、関ジャニ∞などさまざまなアーティストへの楽曲提供も行う。TAKE(Vo)はブロードウェイミュージカル「RENT」に出演するなど俳優としても活動中。2017年2月にデビュー20周年を迎え、5月に久保田利伸との共作曲「Every Kiss, Every Lies」をシングルで、10月に6年ぶりとなるアルバム「State Of Soul」をリリースした。
- ゴスペラーズ
- 北山陽一、黒沢薫、酒井雄二、村上てつや、安岡優の5人からなるボーカルグループ。1994年にシングル「Promise」でメジャーデビュー。以降、「永遠(とわ)に」「ひとり」「星屑の街」「ミモザ」など、多数のヒット曲を送り出す。2017年3月に2年6カ月ぶりとなるオリジナルアルバム「Soul Renaissance」をリリース、31都市34公演に及ぶ全国ツアー「ゴスペラーズ坂ツアー2017 “Soul Renaissance”」を開催し、約7万人を動員した。今ツアーの模様を完全収録したBlu-ray & DVD「ゴスペラーズ坂ツアー2017 “Soul Renaissance”」が12月6日に発売される。