今回のはエロい「sha la la」になった（TAKE）

KO-ICHIRO　今回は曲順から作っていったっていう試みもあって。個々の曲をある程度作り込む前に、「こんな曲があったらいいよね」「じゃ、その次にはこんな曲がいいんじゃない？」みたいな話をしながら全体を作っていったんです。結果、1曲目の「The Entrance」というインストで始まる流れになって。

村上　エントランスからアルバムの世界に入って、実質的な1曲目が「Elevate You」。このアルバムで1曲選べって言われたら、俺はこの曲がいいと思いますね。やっぱりそのアーティストが最初に聴いてもらいたい曲には意味があるから。で、そこから久保田（利伸）さん作曲の「Killin' Me」に続く流れもいいよね。俺、クレジットを見ずに聴いたんだけど、あとで確認して「やっぱりそうか！」って思った。めっちゃ久保田さんっぽい曲だよね（笑）。あれ、ボーカルのキーって変えたの？

TAKE　上げた。久保田さんが作ったキーのまま歌っても、久保田さんには勝てないと思ったから。ファルセットで最初から最後まで歌いきる曲は、実は初めてかも。

村上　ほかにも「Immorality」とかもよかった。「Taste of Honey」の回りくどい感じも好き（笑）。

TAKE　あははは、ホントそうだよね（笑）。曲の並びに関して言うと、要所要所で2つの曲を対にして並べてるところもあるんですよ。KO-ICHIROが作ったスロージャムの「Immorality」と僕の思うスロージャムの「Nice'n' Deep」を並べたり、言い訳がましい男の歌「All True Man」のあとに、それに対して「何言ってんの？」っていう女性視点の「Taste of Honey」が来たりとか。そういう並びにすることでアルバム全体にいい波が生まれるし、最後まで飽きずに聴いてもらえると思ったんですよね。

村上　「sha la la」（2001年リリースのシングル曲）も入ってるけど、これはミックスだけ変えたの？

KO-ICHIRO　ミックスとマスタリングだけ変えて。素材はそのまんま。

TAKE　歌い直してないんだけど、違う人の歌みたいでしょ？

村上　うん。おかしなもんで、フレーズまで変わって聴こえちゃったくらい（笑）。

TAKE　もともとの「sha la la」はさわやかないい人が歌ってる感じで、それはそれでよかったんだよね。でも今回のはエロい俺が出てる「sha la la」になった（笑）。ある意味、16年前の自分がやりたかったことが今、形にできたところもあって。そういう過去と今をつなげるストーリーを感じてもらえるかなと思って今回、この曲を入れることにしたんだよね。

ここまでセクシーな部分を前面に出せるグループなんていない（村上）

村上　まあしかし、ここまでセクシーな部分を前面に出せるグループなんて、ほかにはいないよね。インディーズの人たちですら、やればいいのにやらなかったりするじゃない？ それをメジャーでやってるっていう（笑）。日本のシーンでセクシャリティみたいなものを扱うことに関してS.O.S.はこれまでも果敢に挑戦してきたと思うけど、ここに来てその限界を確実に突破しちゃった気がしますよね（笑）。

KO-ICHIRO　今回はやりきれた実感があるので（笑）、それによって1つの大きな自信は手に入れられたかなとは思います。

TAKE　僕らより若い世代のR&B好きがもっと出てきてくれたらうれしいよね。「俺らに付いてこいよ」なんておこがましいことは言わないけど、「俺らはこんなにギリギリまで攻めてますよ。だからみんなも攻めてみたらどう？」みたいなメッセージを感じてもらえたらいいなとは思う。

KO-ICHIRO　あとはね、どれだけ多くの人にこのアルバムを使っていやらしい空間作りをしてもらえるか（笑）。そういう使い方がじわじわと浸透していけば、世の中ハッピーだなと思うので。

TAKE　用途ははっきりしてるからね（笑）。

村上　別に妄想するときに使ってもいいわけだし。音楽はある種、その場の空間、環境から切り離すために聴くものでもあるわけじゃん。そういう意味でこのアルバムは非常に使い勝手はいいと思うんですよ。エントランスから入ったら15曲丸々そういうムードだから（笑）。2、3曲だけセクシーで、急に明るいところに連れ出されることもない。徹底してるからね。

TAKE　うん。ホントにヤバイのができちゃったんでね、ぜひよろしくお願いします（笑）。

村上　年末から来年の3月まではツアーもあるんだよね？ そこでこの曲たちがたくさんの人に届けられるだろうし、今はSNS時代だからいろんな広がり方をする可能性もあるからさ。みんなに聴いてほしいよね。

TAKE　ライブではどう再現していくのか、まだ僕らも想像できてないんだけど、いろんな場所を細かく回れるからすごく楽しみですね。あ、そうだ。S.O.S.の次のアルバムはさ、てつやプロデュースはどうかな？ 今回も実はちょっと考えてたところもあったんだよね。

村上　最後に大変なことサラッと言わないでよ。めちゃくちゃプレッシャーだぜ（笑）。

TAKE　半分本気だからね。考えといてよ！（笑）