しゅーず|10周年を前に、より深く

センラさんが仕事を辞めたら、僕も仕事を辞めます

──今作の中で目玉となっているのが、コラボ曲だと思います。halyosyさんの提供曲「シークレットシーグラス」ではセンラ(浦島坂田船)さんとコラボしています。

センラさんとはイベントで何度もコラボしてきたんですけど、こうして音源を一緒に作るのは初めてで。まずセンラさんのレコーディングがめちゃくちゃスムーズなのにびっくりしました。僕が歌撮りにけっこう時間をかけるタイプだからかもしれませんけど、けっこう苦労して撮った曲のレコーディングをサクっと終わらせたんですよ。しかもセンラさんは、歌がうまいうえに物腰もすごく柔かくて「ここはどう歌ったほうがいいですか?」とか、「なんでも言ってください。何回でも歌いますよ」みたいに声をかけてくれるんですよ。立場上、僕がディレクションをさせていただいたんですけど、逆に緊張しちゃいました。実際にはセンラさんの歌が最初から完成形に近かったので、全然指摘するようなところはなかったし。

──音源の制作を共にして、センラさんのボーカリストとしての魅力をどう感じていますか?

しゅーず

僕と同じでセンラさんも“アダルトな歌”が得意な方だと思うんですけど、ちょっと属性が違うんですよね。以前、nqrseには「センラさんのエロさは細いもので刺す感じだけど、しゅーずのエロさはブルドーザーで迫るような感じ」と言われたことがあります。なんでしょうね。図鑑でいうと、同じ「目」だけど「科」が違う感じ。

──面白い棲み分けですね(笑)。

それと、センラさんとのコラボはとにかくファンの方からのリクエストが多かったんです。ライブでよくコラボしてたからなんだろうけど、ライブでご一緒するのと音源を一緒に作るのって、そんなに一緒くたにできないんですよ。僕からしたら音源の制作でオファーするのが恐れ多くて。でも前回のツアー中に意を決して「アルバムで一緒にコラボさせていただきたいです」と声をかけたら、快く引き受けてくださって。今回のコラボが実現しました。

──余談ですが、センラさんとしゅーずさんは別の仕事をしながら音楽活動をしているという共通点もありますよね。

共通点ではありますけど、僕の比にならないくらいセンラさんは働いていらっしゃると思うんです。しかも僕よりライブにも数多く出てる。僕から見ても「なんで働いているんだろう」と思うんですよ(笑)。

──でもその疑問はしゅーずさん自身にも返ってくるものですよね。しゅーずさんはなぜ別の仕事と音楽活動を両立させているんですか?

うーん……。「仕事を辞めて音楽活動だけでやっていきます」と決めたときに、自分が精神的に耐えられるかがわからないんですよね。こういう未来を描くためにしっかり勉強して、大学を出たわけでじゃないしなって。もちろん、音楽活動だけに絞る魅力があるのはわかってるんです。毎朝早く起きなくて済むし、犬とずっと一緒に居れるし、ステージに出ればキラキラした光を浴びて、みんなから声援ももらえる。でも今までの人生で積み上げてきた仕事に関わる部分をズバッと切ることに、抵抗感があるんですよ。仕事を含めた自分の人生に執着があると言うか。

──なるほど。

なので、僕が仕事を辞めるときが来るとすれば、それは僕より働いているセンラさんが仕事を辞めるときですね。センラさんが仕事を辞めたら、僕も仕事を辞めます(笑)。

「ほかの人にオーダーしたら泣きます」

──奏音69さんの提供曲「ミックスジュース」では「XYZ TOUR」のオーガナイザーであるluzさんが参加しています。しゅーずさんにもluzさんにも曲を提供している奏音69さんが、2人のコラボ曲を書き下ろす、盤石な布陣での1曲となっています。

勝手がわかっているだけあって、ちょっとハードルも高くなってる気がするんですよ。奏音69さんから送られてきたREC用のメモに「ここはお得意の歌い回しで」とか書いてあって(笑)。作曲者の奏音69さんとコラボ相手のluzくんとは、年末年始のRoyal Scandalのツアーでもご一緒させてもらっていて、そのときに奏音69さんが「この2人がコラボするのに私が書かないわけないでしょ。ほかの人にオーダーしたら泣きます」と言ってくださって。もうこちらとしては奏音69さんの曲をluzくんと歌えるだけでメチャクチャありがたいことですので、すぐにお願いしました。

しゅーず

──「XYZ TOUR」のオーガナイザーとしても活躍しているluzさんは、しゅーずさんにとってどういう存在ですか?

すでに何年も毎年同じステージに立っているわけですけど、ツアーで会うたびにluzくんはどんどん成長していくんですよね。それはボーカリストとしてだけじゃなくて、イベント主催者として、ツアーを束ねるリーダーとしても。ボーカリストとしては、僕やセンラさんと同じく、ちょっとエロティックな魅力のある人ですけど、どちらかと言うと、僕らよりももっとロック寄りのサウンドを得意としていますよね。今回は奏音69さんの書き下ろし曲で、いい意味で対照的な2人のかけ合いが楽しめると思います。

──アルバムにはカバー曲も多数収録されていますが、新旧いろんな楽曲が入っていますよね。この選曲はどのように決めたんですか?

やっぱりアルバムを発表するにあたっては期待されている曲というか「これは入れなきゃダメでしょ」みたいに感じる曲があって。そこまで新しい曲ではないけど「S・K・Y」、あと最近の曲で「カンケイナイトファンキー」。それと個人的に歌いたくて入れたのが「Love Me If You Can」ですね。R Sound Designさんの「Lust Blue」はアルバムの全体像が見えてきてから、収録を決めた曲です。もともと「帝国少女」という曲が大好きだったんですけど、すでにカバーしたことがあったので、R Sound Designさんの曲でほかに何かないかと探していて見つけたのが「Lust Blue」で。もともと知ってた曲ではあるんですけど、改めて聴いてみたら都会的な空気感のサウンドが今作にピッタリだったんですよね。

ジャケットに愛犬の姿

──10年間の音楽活動を踏まえたうえで、この「DEEPEST」というアルバムはしゅーずさんにとってどんな位置付けの作品になりましたか?

しゅーず

毎回音源をリリースするために「現時点での最高傑作です」と言ってる気がするんですけど、もちろん今作も最高傑作です。去年のアルバムではできなかったことが今年はできるようになっているし、何かに妥協したようなこともなく、作り終えて後悔のないアルバムになりました。そう言えば、ジャケットに初めてウチの犬が描かれているんですよ。

──これまでのジャケットには猫が描かれていましたよね。

今までは架空の猫が描かれているんですが、今回のジャケットに描かれているのは僕の愛犬をモデルにした犬なんです。

──しゅーずさん自身は、活動10周年というタイミングをどう捉えていますか?

実を言うと、ちょうどいい区切りなので、ちょっとずつフェードアウトしようかな、なんてことも考えていたんです。ただ、Zepp Tokyoでのワンマンライブが決まって、レーベルの方からも「ここまで来たのにもったいないよ」と言われる機会が多くて……。それとファンの方に「お忙しいのはわかっているので、動画は上げなくてもいいので辞めないでください」とか言われるんですよ。「くれぐれも無理だけはしないようにお願いします」みたいな。母親みたいですよね(笑)。スタッフの方々やファンの皆さんに支えられてここまで来たので、少しは恩返しをしないといけないし、僕自身、音楽活動の深みにはまってしまっている部分もあって。生半可なことはできないな、と思いつつ、自分のできる範囲で皆さんをガッカリさせることのないようにはしたいですね。

luz×センラに踊ってもらうしか

──10月には東京・Zepp Tokyoでワンマンライブ「Shoose 10th Anniversary Live -DEEPEST-」の開催が決定しています。

春のツアー「DEEPER」では大阪のBIGCATというライブハウスでライブをしたんですけど、実はBIGCATって、数年前に「XYZ TOUR」で回った場所だったんです。8人で回った会場を1人でやることになるのは、けっこうプレッシャーがあるし、あの景色を独り占めできる楽しみもあり……ということで、BIGCATでのライブはけっこう緊張したんですよ。Zepp Tokyoも同じで、「XYZ TOUR」で一度立ったことのあるステージなんです。仲間たちと観た景色を、今度は1人で観に行くことになる。もちろん緊張もするだろうけど、来てもらったお客さんより自分が楽しまなきゃと思っているので、楽しむつもりでライブに臨みます。

──ゲストとして、アルバム収録曲でコラボを果たしたセンラさんとluzさんの参加も決定していますね。

豪華なゲストに出てもらえることにもなったので、今作の曲がバッチリ楽しめるライブになりそうです。それと僕のワンマンではATYの2人と一緒に踊ることが様式美みたいになっているので、ダンサーを入れたパフォーマンスは絶対に実現したいですね。いざとなったらluzくんとセンラさんに踊ってもらうしかないかな(笑)。luzくんとセンラさんは前回の「XYZ TOUR」で「U.S.A.」を踊ってるし(参照:平成最後の“至高の夜”「XYZ TOUR」最終公演でluz、センラ、un:cら共演)。

──(笑)。

それは冗談として、せっかくの10周年で、Zepp Tokyoという大舞台でのライブなので、やりたいことは全部やるくらいの気持ちで挑んで、絶対後悔させないライブにしようと思うので、ぜひいろんな方に来てもらいたいですね。大舞台なので、今回は最初で最後に親も呼ぼうかなと思っています(笑)。

ライブ情報

しゅーず「Shoose 10th Anniversary Live -DEEPEST-」
  • 2019年10月26日(土)東京都 Zepp Tokyo
    <出演者> しゅーず ゲスト:センラ / luz
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