行き詰まったらデートがいい

──シングルのカップリング曲「俺なんかには勿体ないと言って振る男」は、「君のパンツを食べたい」と同じくシイナさんが作詞を手がけている曲です。この曲もシイナさん自身の実体験がもとになっているんでしょうか？

私だけの実体験というより、世の女性たちみんなが感じていることに近いと思います。リスナーさんからDMで悩み相談が届くと、よく「俺にはもったいないから」とか「もっといい人がいるから」とか言って女性を振る男性が多いんですよ。それが昔から、私はちょっとムカついていて。

──なるほど。

だって意味がわからなくないですか？ お互いが好きで付き合ってるはずなのにいきなり「俺にはもったいない」って。だからその気持ちを素直に歌詞にしたんです。実は歌詞に書かかれている顔文字にもこだわっていて、「ふざけんな カス^_^」の「^_^」って、女の子が本当に怒っているときに使う顔文字なんですよ。

──なぜ怒ってるときに顔文字を付けるんでしょうか？

なんでなんだろう。怒ってるときほど絵文字は使わなくて、顔文字を使うんです。どこか冷静なのかもしれないですね。呆れているからこそ、むしろちょっと笑っちゃうみたいな心情を表しているというか。だから女性が見れば「わかるわかる」という歌詞になっていると思うし、男性にしてみればちょとヒヤりとするような歌詞になっているかもしれません。

──今回のシングルに限らず、YouTubeで公開されているシイナさんの楽曲はすべてご自身で歌詞を書いていますよね。

これはYouTuberの活動へのこだわりともリンクしているんですけど、自分の思っていること、自分の感情、経験談をみんなに伝えたいから、動画を作るし、歌を歌うのかなと思っていて。で、伝えたいのは私なので、歌詞は私が書かないと意味がないんです。だからシイナナルミとして発表する曲に関しては、全部自分で詞を書くようにしています。ただ、歌詞を書くことに慣れているわけではないので、苦戦するとなかなか書けなくなってしまって。それで、私がお世話になってる作家さんに「歌詞が思い付かないときはどうしていますか？」と相談してみたんです。そうしたら「俺だったら、作業に行き詰まったらデートするね」と返ってきて。

──デートですか。

私も最初はなぜデートするのかわからなかったんですけど、デートをして自分が楽しい気持ちになると、言葉が浮かんでくるみたいで。例えば私だったら恋愛の曲が多いわけですから、確かに机に向かってずっと悩んでいるより、デートでもしたほうが言葉が浮かんでくるんですよね。なるほど！と思って（笑）。気軽にデートができないときもあるから、行き詰まったら友達に「最近彼氏とどう？」みたいな話を聞くようにします。恋愛の話がYouTubeで投稿する動画のネタ集めにもなるし。

すべての活動は「人を元気にするため」

──シイナさんは事務所に所属していないんですよね。

はい。無所属です。

──企画の立案も動画の編集も全部自分でやっているわけですよね。

はい。メチャクチャ大変で、いつも病んでます（笑）。

──将来的にどこかの事務所に所属することは考えていないんですか？

考えていないですね。なぜかというと、別にどこかに所属しなくても自分のやりたいことが十分できてることに気付いたんです。だったら、自分のやりたいことを、自分のペースでやれている今の状況がいいなと思っています。

──シイナさんの将来のビジョンはどんなものですか？

やりたいことはたくさんあって、今はお芝居への興味が強いですね。フジテレビ系列の「痛快TVスカッとジャパン」のドラマパートに出演させてもらう機会が何度かあって、ドラマや映画にもっと出てみたいなと思っているんです。それと、文章を書くのも好きなので、いつかは自分の本を出してみたいですね。もちろんYouTuberとしての活動は面白いので、もっといろんなことに挑戦してみたい気持ちもあります。あと、私はずっと前からカラオケの待機画面に出演するのが夢だったんです。それが今回のメジャーデビューシングルで出演できることになりまして。カラオケが好きでよく行くので、友達とカラオケに行ったときは「ほら、私出てるよ」ってドヤれるようになりました（笑）。

──シイナさん自らがいろんなことに挑戦している、そのバイタリティあふれる活動の源ってなんでしょうか？

いろんなことに手を出していますけど、自分の中に軸としてあるのが「人に元気を与えたい」ということなんです。その理由はやっぱり子供のときの原体験にあって。学校で嫌なことがあって落ち込んでいるときにバラエティ番組を見て、笑っていたらいつの間にか嫌なことを忘れていたりするのが、自分の中ですごく救いになっていたんです。YouTuberとして活動していると「すごく嫌なことあったんだけど、ナルミンの動画を観るためにがんばりました」と言ってもらえることも多くて、今自分がやっていることが誰かの役に立てていることがすごくうれしいんです。これから先、いろんな活動をするとしても「人に元気を与えたい」という気持ちだけは忘れないようにします。