音楽ナタリー Power Push - She,in the haze
生きづらさを抱える人間に与えられた音楽という使命
宣伝活動はしたくなかった
──楽曲の主人公たちと同じように、yu-kiさん自身も日々生きづらさを感じることが多いんでしょうか。
そうですね、たぶん自分自身がそうだから……決して「純粋です」と言いたいわけではなくて（笑）。すごく気が弱いし、強くないんですよ。だから自然とそういう人物を主人公に物語を描くのかもしれないです。
──具体的にどんなときに弱さを感じるんですか？
うーん……まあメンタル的に全然強くないですし。基本的にはあまり家を出たくないっていうのが自分の性格（笑）。人と関わると傷付くことも面倒臭いこともたくさんあるから。
──なるほど。でもそんな人がバンドをやってライブをやって、リリースツアーでは各地まで遠征されますよね。「伝えたいことはない」とは言いながら、何がyu-kiさんを動かしているんでしょうか。
もともとバンド結成時はオフィシャルサイトもTwitterアカウントもFacebookアカウントも作らなかったし、いわゆる宣伝活動になることは何もしなかったんですよ。MySpaceに音源をアップするだけ。
──それは意識的に？
そうです。最初は純粋に音楽だけで勝負したいと考えていたというか、すごく嫌だったんですよね、宣伝活動が。でも聴いてくれる人から「もっとShe,in the hazeの音楽を広めたい」という声が届くようになって、少しずつ考え方も環境も変わっていったんです。今回の作品を全国流通盤としてリリースするのも、リスナーの声を受けて「もう一歩こちらから前に踏み出してみよう」という思いが生まれたからですね。
30分間の非日常を届けたい
──本作を携えて、秋からは全国ツアーが始まります。
正直、昔からライブは心から楽しいとは言えなくて（笑）。当たり前なんですけど、僕はフロントマンなので真ん中に立って歌うわけじゃないですか。だけど「俺の歌を聴いてくれ」って気持ちで歌っているわけじゃないから、お客さんの視線を浴びても気持ちいいとは思えないんですよね。でも楽しいか楽しくないかはあまり問題でなく、今はどうすればライブで楽曲の世界観を再現できるのかを試行錯誤しているところです。
──衣装や照明演出にもこだわっていらっしゃいますよね。
やってることは違いますけど、考え方はディズニーランドと同じだと思っています。お客さんはCDの音源を大音量で聴くためにライブに来ているわけじゃないから、30分なら30分のライブでどれだけ非日常的な空間を作れるかは意識していますね。ライブは肌で感じるエンタテインメントなので。
──なるほど。She,in the hazeの音楽は海外のラジオで取り上げられることもあるようですが、今後も積極的に海外で活動していくんでしょうか？
もちろん海外にも受け入れられるのはうれしいんですけど、そこにこだわってるわけではないです。日本だろうとどこだろうと、必要とされるなら行きたいだけというか。
──では、yu-kiさんにとって音楽をやる理由ってなんなんでしょう。
自分の場合はただ「音楽をやりたいから」としか言えないです。でも、せっかくこの声を持って生まれて音楽に出会ったんだから、これをやるしかないのかなという使命感のようなものも今は芽生えていて。音楽しか取り柄がないし、本当にこれだけなので……。だから「音楽をやりたいから」「頭の中にある表現したいビジョンを形にしたいから」っていうのが、今のモチベーションですかね。
収録曲
- Stars
- Mama said
- Freezing
- Behind
- Claudia
- Teddy
She,in the haze ライブスケジュール
- 2016年10月9日（日）大阪府 OSAKA MUSE
- （「FM802 MINAMI WHEEL 2016」への出演）
- 2016年10月10日（月・祝）愛知県 池下CLUB UPSET
- ＜出演者＞ She,in the haze / and more
- 2016年10月29日（土）東京都 下北沢ERA
- ＜出演者＞ She,in the haze / cruyff in the bedroom / The Florist
- 2016年12月3日（土）東京都 新宿MARZ
- ＜出演者＞ She,in the haze / She Her Her Hers / Junk Robot / 中島孝
She,in the haze（シーインザヘイズ）
yu-ki（Vo, G）、akihiro（Dr）、an（key）からなるロックバンド。作詞作曲を手がけるyu-kiを中心に結成される。「漂う音に浸る幻想的な空間を作り出す」をコンセプトに活動をスタートし、2014年8月に自主制作盤ミニアルバム「ATMOSPHERE」を発表。ライブ活動を積極的に行い、2016年6月には東海地区最大規模のライブサーキット「SAKAE SP-RING 2016」にトリで出演を果たす。10月5日に初の全国流通盤ミニアルバム「Mama said」をリリースし、12月には自主企画を開催する。
