SHARE LOCK HOMES|紆余曲折の14年を凝縮、SLHの“上京物語”

振り付けに縛られているダンスは嫌い。身体で音楽を感じているものがいい

──RYOさんはいかがですか?

RYO

RYO 自分がいいと思っても、褒めてくれる人もいれば理解してもらえない人もいるんです。評価は人によって変わるので、一概に「いいダンス」がコレです、と断言するのは難しいんですよ。個人的にはSHIRAHANが言った話と同じで、スキルどうこうじゃなくて「めちゃくちゃ楽しそうに踊っているな」「本当に音楽が好きなんだな」と伝わるものが素晴らしいと思います。やっている本人が楽しんでいれば、それがいいダンスですね。

──YUMAさん的に「いいダンス」とはなんですか?

YUMA 俺がいいと思うのは振りがないダンスですね。「振り付けに縛られているな」と思うダンスは嫌いです。

──え? だけどダンスは基本的に振り付けありきじゃないんですか?

YUMA 一般的にはそうですけど、ダンスってクラブで流れている音に対して、自由に踊るようなものもありますよね。例えば海外ドラマでダンスを習ってないのに、気持ちよさそうに踊っていたらフロアの真ん中に人が集まっていって、「代われ代われ。今度は俺が踊る!」って感じに輪が広がっていく、みたいなシーンがあって。ああいうのが好きなんですよ。

──「次はこう踊ろう」と頭で考えるんじゃなくて、もっと自然な感じで音に身を委ねる。

YUMA そうですね。ちゃんと体で音楽を感じているものが好きです。KARASUもRYOも「楽しんでいるのがいい」と言いましたけど、それが究極のダンスだと思います。自己満足かもしれないですけど、そういうダンスを観ると俺は「きれいだな」「すごいな」と感動しますね。

KARASU 心で感じるダンスがいいダンスってことやんね。

YUMA

YUMA そうそう。以前クラブで黒人のお客さんがバーッと踊って帰る姿を見たことがあって、カッコいいなと思ったんです。ダンスの基礎に乗っとっていない動きでも、自由でいいなって。自分でもやってみるんですけど、どうしても生真面目さが出ちゃってうまくいかないんですよ。KARASUはできるんですけど。

KARASU 俺はめちゃめちゃやります。自由に踊るのが好きなんです。

YUMA お酒を片手に音に乗る。それがダンスの根源だと思うし、今もそれが好きですね。

メジャーは大変だけど、俺らなら大丈夫っす

──4人ともダンスの楽しさを大切にされているように、SLHはメジャーに行っても、のびのびと活動されている印象があります。

KARASU たまにメジャーらしいやり方を考えてみるんですけど、最終的にSHIRAHANが「そんなの俺らじゃなくない? 尖っていこうぜ」と言うことが多々あるんです。結局何かのフォーマットに沿うような堅苦しいやり方って、僕らの性に合わないんでしょうね。それが音楽活動にも表れていると思います。

RYO ライブ用の衣装が用意してあるのに、本番前になって「尖ったことをやりてえな」とSHIRAHANが言い出して、全然違う格好でステージに上がったこともあるもんね(笑)。

YUMA 名古屋でのライブだったんですけど、雪が降っている日なのに3人が半袖、KARASUがタンクトップ姿になってました。

RYO 結果お客さんが「楽しかったです!」と言ってくれたし、俺らも楽しかったです。

YUMA しかもワンマンじゃなくて、対バン企画でやりましたからね。それもオープンスペースで、通りすがりの家族連れの方とかの前で。

KARASU

KARASU ただ、記憶には残るはずやからね。「なんか半袖の人たちおったな」って。

──それはいつの話なんですか?

KARASU 去年の年末ですね。

──メジャーデビュー直後じゃないですか(笑)。よくスタッフさんも了承しましたね。

YUMA そうなんですよ。今のところは、俺らの周りにいるスタッフも楽しそうに付き合ってくれますね。ただ、そのうち怒られるんだろうなって(笑)。

──それだけ振り回しておいて、インタビューでは「大人をまだ信用できてない」と言うじゃないですか(笑)。

YUMA アハハハ!(笑) 俺はまだ信用してないですよ!

KARASU 石橋叩きすぎやろ!

YUMA うそうそ。一緒に楽しんでくれる方たちでよかった。

──以前、メジャーレーベルと契約する際、相手の本気度を知るためSHIRAHANさんが「俺たちと心中するつもりでやってくれますか?」と質問した話を伺いました。そう考えると、レーベルの皆さんもビジネスライクな距離感では付き合えないですよね?

スタッフ まったくもって無理です(笑)。彼らと一緒に仕事をするとなったら、こっちも120%の気持ちを込めて向き合わないとやれないですね。

YUMA 会議がケンカみたいになりますからね。みんなヒートアップして怒鳴り合う、みたいな。それだけ俺らもスタッフも本気でSLHのことを考えてる。

KARASU スタッフ側は絶対に苦労されてると思います。俺らに対して「こんなにめんどくさいやつらなのか」と。

YUMA だけど気付いたら、俺らの考えに共感してくれたんですよ。だから真正面から意見を言い合える。プライベートでも一緒にお酒を飲みに行ったりするんですけど、俺は仕事だけの付き合いって無理なので。仕事以外の時間も一緒に過ごすことで本音で話せる。それこそ立場が上の人に否定されることで、萎縮して好きな活動ができなくなるのは絶対にイヤなので。ポジションも年齢も上の方ばかりですけど、やっぱり対等な関係にならないと一緒に仕事はできないと思います。

──若くしてメジャーデビューしたアーティストの中には、レーベル側から「タイアップだからこういう曲で」「売れるために、この歌詞を変えてほしい」と指摘され、自由に音楽活動ができなくて苦しんでいる人も多いと聞きます。だからSLHのように、ちゃんとぶつかり合える関係は素敵だと思いました。

SHIRAHAN

SHIRAHAN かなり無理を言って俺らのわがままを通してくれているので、申し訳ない気持ちもありつつ感謝してますね。それができない方の話を聞くと、確かにしんどそうですね。「なんのために活動しているのかわからなくなる」というのは往々にあるんだろうなって。

──今のところ、メジャーに行ってからの葛藤はないですか?

SHIRAHAN いや、ありますよ。やっぱり自分たちのやりたいことと、大人のやりたいことをいいバランスで組み合わせなくちゃダメなので。そこの大変さを感じてるところではあります。「俺らは変わらねえよ」と言いながら、やっぱりメジャーは違うんだなって(笑)。

YUMA 危なかったよね。一時は変わってしまいそうになった。

SHIRAHAN 軸をしっかり固めて、大人の世界に飲み込まれないよう、常に進化していけたらと思います。まあ俺らなら大丈夫っす。

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