ナタリー PowerPush - Share a Coke and a Song

コカ·コーラとみんなの思い出の1曲が意外なコラボ

あの1曲から高校時代、駆け出しライター時代を振り返る

──津田さんならどの年のペットボトルを買います?

まず買ってみるのは1989年のボトルかなあ。高校入学の年なんですけど、僕が高校1年生だった頃ってイカ天ブームでバンドがすごい人気だったんですよ。僕自身、当時人気だったバンドの曲はよく聴いていたし、それどころかブームの影響でベースを始めてバンドも組んだりしていたので。音楽リスナー史的な意味で一番印象に残っているのはこの年ですね。

──で、実際に1989年のプレイリストにアクセスしてみると、TM NETWORK「GET WILD」にBARBEE BOYS「目を閉じておいでよ」に……。

津田大介

ユニコーン「大迷惑」、ZIGGY「GLORIA」、プリンセス プリンセス「世界でいちばん熱い夏」「Diamonds」。まさに当時聴いていたラインナップですね(笑)。で、その一方でボビー・ブラウン「Every Little Step」やポーラ・アブドゥル「Straight Up」のような曲が同じ年のプレイリストに入っているのを見ると「ああ、バンドブーム、イカ天ブームが終わったあと、入れ替わるようにダンスミュージックブームがきたなあ」なんてことも思い出せますよね。

──ライター、ジャーナリストとしてのキャリアの中でも特に印象の残ってる年ってありますか?

エポックになった年はいろいろあるんだけど、まずはIT系のライターとして仕事を始めた1997年ですね。で、その年のプレイリストにあるBEN FOLDS FIVE「Song For The Dumped」はすごく好きで。メチャメチャ聴いてました。あと、THE BRAND NEW HEAVIES「You Are the Universe」なんかも聴いたかな。ただ、音楽の趣味ってそのときどきの気分で変わるじゃないですか。だから今となってはTHE BRAND NEW HEAVIESのCDって我が家のCD棚のすごく奥のほうにあるはずで。たぶん、今聴き直したくなってCD棚を漁ってみたところで、まあ見つけられないわけですよ(笑)。

──でも「Share a Coke and a Song」なら、そのCD棚の奥に潜んでいる1枚に手早く出会えるかもしれない(笑)。

そういうことです(笑)。あと、仕事を始めた頃の思い出の話をするなら、その次の年、1998年のプレイリストにあるthe brilliant green「There will be love there -愛のある場所-」もよく聴きましたね。僕は原稿は無音じゃないと書けないんだけど、調べ物のような原稿書き以外の仕事のときにはBGMが欲しくなる。ということもあってこの曲の入っているアルバム「the brilliant green」を常に再生していた気がします。

音楽とSNSが見知らぬ誰かと自分の昔の気持ちをつなぐ

──「エポックはいろいろあった」ということは、ほかにも思い出の1年が?

津田大介

「Twitter社会論」っていう本を出版してジャーナリストとして本格的に活動を始めた2009年も思い出深い1年ですね。しかも、その年のプレイリストにあるのがLADY GAGA「Bad Romance」「Paparazzi」っていうのが面白い。Twitterブームが起きて、僕が「Twitterが社会を動かす」っていうテーマの本を書いたこの年に、今や3600万ものフォロワーを誇る彼女がブレイクしているっていうのは、けっこう象徴的なできごとのような気がします。

──そのTwitter、Facebook、mixiと連動しているのも「Share a Coke and a Song」の特徴なんですよ。曲の再生中に自分が使っているSNSを選択して、その曲についてつぶやいたり「GOOD!」ボタンをクリックしたりすると、SNSに投稿される上に、キャンペーンサイト上にもその内容が反映されるんです。

あっ、ホントだ。曲を再生すると感想が表示される。これ、いいですね。さっき話した音楽と思い出の結びつきがより強固になるというか。この感想を見て「確かにそんなことがあったなあ」って当時の記憶が呼び起こされることもあるだろうし、「ああ、そうだよね」って、まったく面識はないんだけど同じ曲を好きで聴いている人と共感することができるかもしれない。今、なんとなく1994年のプレイリストにアクセスして大学時代に流行った曲を聴いてたんですけど、電気グルーヴ「N.O.」の「電グルの武道館の最前列で観たことがある」っていう感想を見て「あっ、俺も武道館じゃないけど、電気のライブ観に行ったことあるわ」って思い出しましたから(笑)。

津田大介の思い出の年

学生時代からとにかくCDを買い漁るタイプではあったんですけど、IT系のライターとしての仕事を始めて定期的に収入を得られるようになってそれに拍車がかかったのがこの年でした(笑)。で、特に好きで聴いていたのがBEN FOLDS FIVEの2ndアルバム「Whatever and Ever Amen」。全世界的に売れたアルバムだし、その日本盤にはこの「Song For The Dumped」の日本語バージョン「金返せ」が収録されたこともあって国内でもかなり話題になりましたよね。今でも好きな1曲なんですけど、改めて「Share a Coke and a Song」を使って聴き直してみると、慣れない仕事に四苦八苦したことや、締め切りに追われてたことが思い出されます。まあ締め切りに追われてるのは別に当時に限った話じゃなくて、今もなんですけど(笑)。

思い出の年
1997年

商品画像

津田大介の思い出の曲
BEN FOLDS FIVE / 「Song For The Dumped」

「Share a Coke and a Song」キャンペーン

「Share a Coke and a Song」
キャンペーンとは

実施期間
2013年3月4日(月)~
対象商品
コカ・コーラ&コカ・コーラ ゼロ(300ml / 500ml / 1.5リットル / 2リットルのペットボトル)
販売店等
全国のスーパー、コンビニエンスストア、自動販売機、ドラッグストアなど
音楽サービスパートナー
Music Unlimited

コカ・コーラのイヤーボトル画像

コカ・コーラのイヤーボトル。国内でコカ・コーラの販売が開始された1957年から2013年まで、各年のボトルが販売されており、そのいずれかを手に入れれば、その年の洋邦のヒット曲の数々を楽しめる。

津田大介(つだだいすけ)
1973年生まれ、東京都出身のジャーナリスト、メディアアクティビスト。早稲田大学社会科学部卒業。関西大学総合情報学部特任教授、早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース非常勤講師、東京工業大学リベラルアーツセンター非常勤講師を務める。メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門に執筆や講演活動を行う。J-WAVE「JAM THE WORLD」ではナビゲーターを担当するなど幅広く活躍。著作に「ウェブで政治を動かす!」「Twitter社会論」などがある。
津田大介最新書籍「Tweet&Shout ニュー・インディペンデントの時代が始まる」発売中
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2013年4月22日更新