音楽ナタリー Power Push - Septaluck

ポップパンクを見つめ直す、初の全曲英語詞ミニアルバム

SHINJIさんに向けた「Memory」

──finさんの歌詞には、オーディエンスの背中を押すような前向きな言葉が多いですよね。

Septaluck

fin 僕もともとすごい引っ込み思案で、人前に出るのが苦手な人間だったんすよ。そこから変わりたいと思う出来事があって、今ステージに立ってるんです。だから「もっとみんな自分のことを自由に表現したらいいのにな」っていう、そういう思いが歌詞に出てるのかもしれないですね。でも実は自分自身に向けてメッセージをつづってることが多いんですよ。それをいかにリスナーのみんなと同じ目線で伝えられるか、どう変換して書けるかっていうのを常に考えてますね。

──歌詞にはご自分の実体験を書くことが多いですか?

fin 基本的には書いてるときに感じている自分の思いと、そこからイメージを膨らませて想像した世界を5対5ぐらいで混ぜ込んで歌詞を考えることが多いです。でも「No Joke」は知り合いでありえないヤツがいて、そいつに対してリアルにムカついて書いた曲なんです。これ曲にしなきゃダメだ!と思って(笑)。

──それで言うと「Memory」は去年亡くなったSECRET 7 LINEのSHINJIさんに向けて書いた曲なのかな、と思いました。

fin よく気付きましたね。この曲はけっこう前にイントロだけピアノで考えてたんですけど、そこから進まずにずっとパソコンの中で眠ってたんですよ。それでSHINJIさんの葬儀で大阪まで行って、その夜バンドマンとかみんなで飲んで帰ってきたんですけど、帰りのバスの中でいろいろ考えてたら歌詞が浮かんできたんですよね。「これひょっとしたらあの曲と合うかも」って、家に帰って眠ってたイントロを聴き直したら、イメージが一気にぶわっと膨らんできて。

──この曲にそれぞれの楽器の音を付けていくとき、こだわった点はありますか?

Uchino(Dr)

Uchino 俺はこの曲がSHINJIさんのために書かれてるっていうことをあとから知ったんで、特にそのことを踏まえてドラムを付けたっていうことはないです。finの元ネタを聴いたときに、フィルをこだわって入れたりとかまったくしなくていいなと思ったんですよ。この歌のよさをそのまま聴かせられればいいかなって直感的に思った曲だったので。でもできあがった曲を改めて聴いたときに、finの気持ちに寄り添えたんじゃないかなって思いました。

chu あとこの曲、実は8曲目の「It's a Meaning Of Your Life」とつながってるんですよ。だから同時に制作をしていて。

fin Green Dayのアルバム「American Idiot」(2004年リリース)にも、何曲かそういうコンセプトの曲があるんですよ。彼らはトラックを分けてなくて、組曲にしているんですけど。そのときのインタビューを雑誌で読んで、それが記憶に残っていて。いつか自分もそういう曲を作りたいなって思っていたんですよね。

──そうだったんですね。

fin コードも実は7曲目と8曲目で同じものを使ってて、歌詞も意味合い的にはつながってるんです。やっぱり悲しい出来事とかあると、下を向いちゃうと思うんですよ。でもそこから立ち直ってどう明日を生きていくかっていうことが大事だし、僕らは世間に対してメッセージを発信する側だから「みんなと一緒に悲しんでちゃダメだ」っていう気持ちがあって。自分がこの先SHINJIさんのことを思い続けるっていうことは変わらないし、だからそれよりも、悲しんで下を向いている人たちに対して「前を向いていこう」って伝えてあげるのが自分たちの役割なのかなって勝手に思ったんです。ミニアルバムのタイトル「MEMORIES and FUTURE」っていうのがそこにかかってて。思い出をちゃんと抱えた上で、みんなで前に進んでいこうっていう。今作はいろんな過去と未来が交差した1枚になっています。

自然体なバンドでい続けたい

──2015年10月にはポップパンク、エモ、パワーポップといった音楽性を軸に活動するバンドの楽曲を集めたコンピレーションアルバム「WAKE A POP! PUNK!! vol.1」がリリースされました。このアルバムはfinさんが企画したものなんですよね?(参照:Septaluck、POP DISASTERら参加のポップパンクコンピ

fin(Vo)

fin そうなんです。バンドとしてここからさらにもう1段階上がるためにポップパンクを打ち出したって言いましたけど、じゃあそれを形にするために、自分でコンピを作ってみるのもいいのかなって思ったんですよね。ポップパンクはまだ日本になじみがないから、シーン自体を盛り上げたいなっていう思いもあって。

Uchino たぶんポップパンクバンドって名乗る人が今まであまりいなかっただけで、実はそういうサウンドをやってるバンドっていっぱいいるんですよね。

fin サウンド的にはそこを意識して作ってても、メロディックパンクシーンとしてくくられちゃうもんね。でもやっとここ2~3年で、リスナーの人たちの間でもちゃんとポップパンクって認識して聴いてくれてる人がいるなあって感じるようになりましたね。

──それは発信する側が提起したからなのでしょうか?

fin そうだと思います。今まではメロディックパンクのシーンにくくられても、あえて意識せずにやってきてたんです。でもやっぱりどっかで誰かが提起しないと、形になっていかないんじゃないかなって。若手でもポップパンクをやってるバンドはいるんですけど、シーンになってないからお客さんが集まらないし、カッコいい音楽やってるのにあきらめて解散しちゃったりすることが多いんですよね。そういうのってもったいないし、せっかくそういうバンドがいるんだったら、みんなで引っ張り上げてシーンを作っていくことをそろそろやってもいいのかなって。いつになるかわかんないけど、第2弾、第3弾も作って、まだ出会えてないカッコいいバンドとつながっていきたいですね。

──その中で、今後Septaluckが目指すバンド像というのはどのようなものなのでしょうか?

fin 僕はいつまで経っても自然体なバンドでい続けたいなっていう思いが強いですね。アーティストっていう言葉よりも、バンドマンっていう言葉がハマるような存在でいたい。リスナーのみんなと同じ目線で一緒に進んでいけるバンドでありたいなっていうのが常にありますね。自然体でいるためにはchuの存在がやっぱり欠かせないと思っていて(笑)、今回のツアーではMCを担当してほしいなって。

chu えー! ライブって30分ぐらいしかないのに、その大事な時間の中で俺みたいなヤツが変なこと言って空気を壊したら嫌じゃん。短い時間じゃスベッちゃうし!

USSY 長い時間のほうがスベるんじゃない?(笑)

Septaluck

fin パンクロックって言葉だけで聞くとなんだか怖いけど、もっと入りやすい音楽だっていうところを見せていきたいところもあるんだよね。だからchuみたいなキャラを生かしてもっと前に出てったほうがいいと思う。

Uchino 明言しましょう! MCやるって。

chu えー? やっちゃいます?

fin (笑)。自然体でいて、それが最終的に「カッコいい」になっていけばいいと思ってます。そこを目指したいですね。

2ndミニアルバム「MEMORIES and FUTURE」 / 2016年4月20日発売 / 1836円 / TWLT-0098 / TWILIGHT RECORDS
2ndミニアルバム「MEMORIES and FUTURE」
収録曲
  1. Flashback
  2. It's All Right
  3. No Joke
  4. Everything
  5. Not Android
  6. Sleepless Night
  7. Memory
  8. It's a Meaning Of Your Life

"MEMORIES and FUTURE" M.a.F TOUR

2016年5月13日(金)千葉県 千葉LOOK
2016年5月20日(金)北海道 苫小牧ELLCUBE
2016年5月21日(土)北海道 小樽CRU-Z
2016年5月22日(日)北海道 Spiritual Lounge
2016年5月27日(金)京都府 GROWLY
2016年5月28日(土)奈良県 生駒RHEBGATE
2016年5月29日(日)岐阜県 yanagase ants
2016年6月10日(金)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
2016年6月11日(土)愛媛県 niihama Jeandore
2016年6月12日(日)香川県 DIME
2016年6月16日(木)新潟県 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
2016年6月18日(土)青森県 Mag-Net
2016年6月19日(日)青森県 八戸ROXX
2016年7月8日(金)石川県 vanvanV4
2016年7月9日(土)富山県 Soul Power
2016年7月10日(日)長野県 ALECX
2016年7月15日(金)岡山県 CRAZYMAMA 2nd Room
2016年7月16日(土)広島県 Live & Cafe BoRDER
2016年7月17日(日)福岡県 Queblick
2016年7月29日(金)宮城県 enn 2nd
2016年7月30日(土)茨城県 mito LIGHT HOUSE
V.A.「WAKE A POP! PUNK!! vol.1」 / 2015年10月7日発売 / 1200円 / R7R-005 / RAINBOW SEVEN RECORDS
V.A.「WAKE A POP! PUNK!! vol.1」
収録曲 / アーティスト
  1. SLEEPLESS NIGHT / Septaluck
  2. アルカロイド / POP DISASTER
  3. I am 4 you / WONDERSTRUCK
  4. By Your Side / LEAVES NO ASH
  5. SUNSET / AIRFLIP
  6. Feel now / PIG
  7. Live in our lives / Always Summer
  8. live in my memory / elk
  9. Sink Or Swim / Castaway
  10. One Patriot / Nail All Down
  11. Open Up Your Eyes / Something Holiday
  12. Rejection / T.C SPEAKER
  13. When She's Gone / Sunrise In My Attache Case
  14. night is on / HOLIDAYS OF SEVENTEEN
  15. Romantics / Too Close To See
  16. SIGN / COUNTERCLOCKWISE
  17. Rise again / ACCIDENT I LOVED
  18. THE SCORE / YOUR LAST DIARY
Septaluck(セプトアラック)
Septaluck

fin(Vo)、chu(B)、Uchino(Dr)を中心に、2012年に結成されたポップパンクバンド。同年11月には東京・新宿ACB HALLで初ライブを行いソールドアウトを記録する。その後幾度のメンバーチェンジの中で、USSY(G)を加えた現体制となる。2014年1月にはQuietdriveのケビン・トラッケンミラー(Vo)をプロデューサーに迎え、アメリカ・ミネアポリスにてレコーディングした1stアルバム「Piaces Of The Puzzle」をリリースする。同年12月に1stミニアルバム「Diamond」を、2016年4月には初となる全曲英詞の2ndミニアルバム「MEMORIES and FUTURE」を発売。5月からは2ndミニアルバムを携えたリリースツアー「"MEMORIES and FUTURE" M.a.F TOUR」で全国を回る。