反逆の意味を込めて
杉浦 「Rebellion」は、登場人物たちがアルバム制作を通じて現代の音楽シーンに疑問を投げかけるという内容です。なぜこのようなテーマにしたかと言うと、サブスクが主流の時代になったことで、音楽やアーティストの存在が刹那的に消費されているように感じたから。サブスク主流の時代に乗り切れていない人も多くいると思っていて、その人たちの魂の叫びを集めるとこれだけすごいことが起きるんだぞっていうのをSEPTで示したいんです。だから反逆という意味を込めて公演タイトルを「Rebellion」にしました。
ピコ 台本を読んで、これまでの「ReAnimation」シリーズとは毛色が違うなと感じました。これまでは大きなフェスに向かっていく中での登場人物の葛藤が描かれるストーリーが多かったですが、今回はみんなで手を取り合ってアルバムを作る。タカオさんが言うようにサブスクのおかげで手軽に新しい音楽にアクセスできるようになったけど、アルバム単位で聴く機会は減ったと思うんです。「Rebellion」では1枚のアルバムを完成させるまでの過程を赤裸々に描かれるので、ミュージシャン冥利に尽きます。
──杉浦さんも運命の観測者・黄経として出演されます。
杉浦 はい。SEPT作品にはいつもちょっとした神様みたいなキャラクターが登場しますが、黄経はそれにあたります。由羅の魂が別の世界線を行き来するというくだりがあって、そこにファンタジー要素担当として存在するイメージです。いつも神様みたいなキャラクターは俯瞰するような関わり方なんですが、今回はがっつり中に入るのがこれまでとの違いだと思います。
日替わりゲストもメインキャラクター
──「Rebellion」は、チームREBEL(リベル)とチームLION(リオン)の2つの期間に分けたダブルキャスト制で上演されます。
杉浦 「Rebellion」はSEPT作品の中でも最長となる10日間で全17公演が上演されます。なので期間をチームREBELとチームLIONの前半後半に分けつつ、それぞれ印象を変えるためにダブルキャスト制にしました。この形を実現するのにはスケジュールの問題もありましたが、その問題をクリアしてでもご一緒したい方がたくさんいました。キャストの組み合わせもさまざまなので、どの公演に来ていただいても新鮮に感じていただけると思います。
──日替わりゲストとして、大平峻也さんや西田祥(BUDDiiS)さん、村田寛奈(9nine)さんといったこれまでSEPT作品に関わってきた方々も出演しますね。
杉浦 日替わりゲストは、物語の目立つところで出てきて歌ってもらうような流れがあります。アルバム制作やラストのフェスのシーンにも参加してもらったり、日替わりゲストでありながらもメインキャラクターのような役回りになっているので楽しみにしておいてほしいです。
ピコ 祈留と大平くんが演じる真宮伊呂波の共演は「ReAnimation」シリーズをずっと好きでいてくれるファンの方々にとって熱い展開だと思うので、早く届けたいですね。
杉浦 逆に、これまで関わりのなかったキャラクター同士の交わりもあるので、そのあたりを面白おかしく描けたらいいなと思っています。
志崎 日替わりゲストの方それぞれの魅力があると思うので、カラーが増えてより作品を魅力的にしてくれる試みですよね。
Miyako 私のバンドはあまり横のつながりがない中で活動してきたので、SEPTでは日替わりゲストの方も含めていい関係を築けたらなと思っています。
SEPTほどオリジナル曲にこだわる舞台はほかにない
──皆さんはSEPTの作品に携わることにどんな楽しさを感じていますか?
星名 「SANZ:0」のアフターライブのイベントに出させていただいた際、過去作の楽曲を歌わせてもらったんです。1列目にいたお客様が全部の歌詞を歌えるくらいに口ずさんでいて、出演者の方のファンだけでなく、SEPT自体のファンの方の熱さを感じてうれしくなりました。SEPTのいろんな作品のキャラクターが混じっていく中で、今回自分が演じる新たな優羽もたくさんの方に愛されるようなキャラクターにしていきたいなと思っています。
燿 僕自身、SEPTが初の舞台だったので最初は不安しかありませんでした。失敗して怒られたらどうしよう?と思ってたんですけど、SEPTの現場はすごくいい雰囲気だし、たくさんアドバイスをいただける環境で居心地がよかったんです。なので初めて舞台に出演するという人にとっては、学びが多くて理想的な現場だと思います。あと、音楽の要素がある舞台は世の中にたくさんありますが、SEPTほどオリジナル曲にこだわるチームはほかにないと思っています。星名さんがおっしゃる通り、過去作のオリジナル曲をファンの方が覚えてくださっている。ライブがメインの作品を、キャストの皆さんの演技や楽曲のクオリティで成立させられるのはSEPTの強みだと思います。
星名 本当にどの楽曲も素敵で物語にもフィットしているうえに、純粋に曲が好きで普段から聴いてくださっているファンがいるのは素晴らしいですよね。今回もどんな楽曲が届くのか楽しみですし、どんなライブになるのかワクワクしています。それに生演奏というのもぜいたくなので、お芝居と音楽を全身で楽しんでいただけたらと思います。
音楽と芝居をつなぐ架け橋に
──志崎さんやMiyakoさんのように、SEPTで初めて舞台に出演するミュージシャンの方が多くいらっしゃいます。杉浦さんはSEPTをそういう挑戦の場にしたいという気持ちはあるのでしょうか?
杉浦 そうですね。役者もミュージシャンも“ステージに立って表現する”という部分は共通しているので、SEPTがその架け橋になればいいなと考えています。僕自身も音楽から舞台の世界に入ってますから。僕が音楽とお芝居を融合した作品を作り続ける限り、いろいろなジャンルの方々が集まる場にしていきたいです。
ピコ 音楽とお芝居は違う界隈のようで、実は共通する部分が多いんだとSEPTを通じて知りました。ミュージシャンとしての経験をお芝居にしっかり還元できているし、お芝居で培ったものが自分のステージにも生きているように感じます。だからこそミュージシャンが初めてお芝居を経験するにはSEPTはすごくいい場所だと思います。わからないことがあったら丁寧にアドバイスしてくれる人ばかりですし、とても居心地がいいアットホームな現場です。
志崎 私も最初は不安がありましたが、皆さんとても温かい雰囲気の方ばかりなんですよね。初めての舞台ですが、しっかりとがんばりたいと思っています。
星名 私もSEPTからたくさん学ばせていただいています。ウチクリさんは「このシーンでなぜこういうふうに動くのか」というところまで1つひとつ丁寧に教えてくださるので、作品や役への理解度がすごく高まるんです。稽古のたびに自分が成長している実感が得られる現場だなと思います。
杉浦 ありがとうございます。どんどんと曲が上がってきていて、カッコいい曲ばかりなんですよ。なので今回もお芝居と音楽、どちらも期待しておいてほしいです。
プロフィール
SEPT(セプト)
杉浦タカオが2013年に立ち上げた“次世代型エンターテイメントユニット”。音楽と芝居のコラボレーションをテーマに、生バンド演奏、歌、芝居、ダンス、アクロバット、殺陣、プロジェクションマッピングなどを盛り込んだオリジナル作品を発表し続けている。
SEPT fate to ReAnimation 「Rebellion(リベリオン)」
志崎樺音(シザキカノン)
声優 / シンガー。ガールズバンドプロジェクト「BanG Dream !」の劇中バンド、Roseliaのキーボード・白金燐子役としても知られる。その歌唱力は高く評価されており、2023年11月にはソロデビューシングル「prayer」をリリースした。
志崎樺音/Shizaki Kanon (@Kanon_Shizaki) | X
星名美怜(ホシナミレイ)
1997年11月2日生まれ、神奈川県出身。2010年から2024年まで私立恵比寿中学のメンバーとして活動した。個人で多数の舞台やドラマに出演する一方、ファッションや美容分野でも活躍。2023年8月には自身がプロデュースするアパレルブランド「mILLELIz」を設立した。
星名美怜 | HOSHINA MIREI OFFICIAL SITE
ピコ
2007年に自分の歌を動画投稿サイトに投稿して活動を開始すると、その特徴的な歌声から「両声類」と呼ばれ多くのファンを獲得。2010年10月にはシングル「Story」でメジャーデビューを果たした。現在は音楽活動と並行して、舞台に出演するなど多方面で活躍している。
Miyako(ミヤコ)
LOVEBITESのギタリスト。2017年のデビュー以来、ドイツ「Wacken Open Air」や英「Download Festival」といった海外フェスにも多数出演するなど国内外で活躍を続けている。2026年3月には初の東京・日本武道館公演の開催を控えている。またピアニストとしても活動しており、今年10月29日には2ndソロEP「Etude Op.25」をリリースする。
Miyako LOVEBITES (@miyako_0405) | X
燿(ヨウ)
摩天楼オペラのベーシストで、カメラマンとしても活動している。摩天楼オペラは2007年に結成されたロックバンド。2010年12月にミニアルバム「Abyss」でメジャーデビュー。叙情的な歌詞とシンフォニックメタルからの影響が強いサウンドが特徴で、国内のみならず海外でもCDリリースやライブ活動を展開している。
杉浦タカオ(スギウラタカオ)
1983年、大阪府生まれ。俳優・イベントプロデューサー。2013年、音楽と芝居のコラボレーションをテーマにした“次世代型エンタテインメントユニット”SEPTを立ち上げた。