ナタリー PowerPush - SCANDAL
ト3rdアルバム発売記念 メンバー直伝コピバン講座
ゲストミュージシャンから受ける刺激
──今回のアルバムからは今まで以上にタフな部分が強く出てる気もして。そのタフさって、震災後の日本が大変な状況の中、みんな強く生きていかなきゃなっていう部分にもつながるし、だからこそこのアルバムを聴いて勇気づけられる人も多いと思うんです。
MAMI そうですね。実際に震災を通じていろいろ感じることがあって、制作に取りかかるときは「“For you”の歌詞を多くしたいね」とも言ってたし。アルバムでもTOMOMIが「Very Special」っていう曲を作詞作曲して、歌詞に強い思いが込められているんですよ。
──確かに「Very Special」には、皆さんが言うところの“For you”色が強く表れてると思います。
TOMOMI うれしい(笑)。
──今回のアルバムはサウンド面でも、ブラスが入った曲やゲストを迎えた曲っていう遊びもあって新鮮でした。
RINA 今回はゲストミュージシャンがすごく多くて。ブラスは同じ事務所のBye Bye Boyのsaeちゃん(Sax)が入れてくれたり、あとは髭チームと一緒に曲を作ったり、ヒダカトオルさんと一緒に曲を作ったりしました。自分たちだけやったら出なかったアイデアもいっぱい入ってるので、自分で聴いても新鮮やったりしますね。
──ヒダカさんや髭のメンバーという、同じくバンドをやってる人たちが書く曲を自分たちのアレンジで演奏してみてどうでしたか?
MAMI 勉強になりますね。ヒダカさんは「どういう機材使ってるの? こういうの使ってみたらどう?」っていろいろアイデアをくれたし、髭のアイゴン(會田茂一)さんは「好きなようにやっていいよ」って言ってくれたし。皆さん、私たちのリハを事前に観てくれて、「この子はこういう子なんだ」ってわかった上で、こうしたほうがいいってアドバイスしてくれたんですよ。そして最終的には私たちの意見を尊重して「自由にやってくれ」って言ってくれて、そこからいろんなものを引き出してくれたり。すごく勉強になったし、楽しかったです。
メンバー同士で刺激し合い相乗効果で成長
──アイゴンさんもヒダカさんもずっとアーティストとして活動してるし、プロデューサーとしてもいろんなところで活躍してる人ですよね。そういう人たちと一緒に仕事することで、いろんなことが吸収できたんじゃないですか?
RINA たくさんありましたよ。「あっ、そんなカッコいいやり方するんだ?」みたいに、作詞1つでも全然違うんですよね。1音にかなりの言葉を詰め込んだり、本当にアイデアが斬新で。しかも、2人ともプロデュースの仕方が全然違う。アイゴンさんはほぼ一発録りでいいじゃんみたいな感じで、私のドラムはリハのテイクがそのまま採用されたものもあるんです。
──それって今まではなかったことなんですか?
RINA はい。本番のつもりでやってないから全体的にラフっていうか。でも、ここからライブで曲がどんどん成長していくんだろうなって思います。音源どおりにこだわって演奏するのもすごく素敵やけど、ライブでやりたいことを急にやっちゃうのもいいし、みんなのアドリブをライブで聴くのもすごく楽しいから、お客さんもきっと楽しんでくれるんじゃないかなって思えるし。
──MAMIさんやTOMOMIさんだけじゃなくて、皆さんがそういう攻めのモードに入ってるんですね。
HARUNA レコーディングで2週間ぐらい缶詰めになったんですけど、「そんなふうに考えてるんだ」ってほかのメンバーから毎日のように刺激されて。それを身近で感じることができて、相乗効果で成長できたかなと思います。
──「TEMPTATION BOX」やカバーアルバム「R-GIRL's ROCK!」から、さらに一歩進んだなという気がして。
HARUNA カバーアルバムの頃とは、私たちのレコーディングに対する姿勢が全然違うと思います。今回は自分たちが違うと思ったことに関しては、ノーを出したり。
TOMOMI 決して折れなかったよね。
作家の書く曲から得るもの
──ちょっと話は変わりますが、ここ何作かのシングルに「ひかれ」「Want you」といったメンバーだけで作った曲が必ず1曲入ってますよね。いわゆる作家さんが書いた曲を演奏するのもバンドのスタンスとして面白いけど、今回のアルバムの「Very Special」みたいな皆さんのオリジナル曲だけで構成された作品も聴いてみたいなと思ったんです。
HARUNA 例えばRINAが作った曲だったら、そこにはRINAの思いがギッシリ詰まってるんです。その曲に対して尊敬もあるし、刺激も受けるし、RINAの思いに対してちゃんと歌って演奏しようっていう思いもある。だから、メンバーの作った曲をどれだけ素敵に仕上げるかっていうのは、みんな人一倍気を遣ってるんじゃないかな。
RINA ほとんどのバンドは、バンドを組み始めたときから自分たちで曲を作ってるじゃないですか。でも、SCANDALの場合は今までいろんな作家さん、アーティストさんに曲を作っていただいたりアレンジしていただいていて。そういう曲を演奏していくことが、自分たちが曲を作るにあたってすごくプラスになってるんです。
──確かに、そこはSCANDALの強みかもしれませんね。
RINA 以前は作家さんの曲を演奏することに対してコンプレックスを感じていた時期もあったんですけど、今はそんなこと全然ないなってむちゃくちゃ思うようになって。それは自分で曲を書けるようになったことや、ほかのメンバーがこのメロディにどういうコードを付けるんだろうっていうワクワク感とか、今まで全く感じたことがなかった楽しみが生まれてきたからなんです。全部自分たちで作詞作曲しているバンドに比べたら、SCANDALはまだまだバンド1年生みたいなもんやと思うんですけど、そんな意味も込めて今回のアルバムタイトル(「BABY ACTION」)には「BABY」って付け足したんです。
MAMI やっぱり作家さんならではの曲もあれば、自分たちにしか書けない曲もあると思って。今はまだまだ未熟なので、作家さんの曲でいろんなものを吸収させてもらって、それを自分たちの曲で生かしていけたらなって思いますね。
CD収録曲
- GLAMOROUS YOU
- その時、世界はキミだらけのレイン
- LOVE SURVIVE
- Sparkling
- BURN
- アップルたちの伝言
- 東京スカイスクレイパー
- Pride
- ハルカ
- スキャンダルなんかブッ飛ばせ
- Very Special
- one piece
SCANDAL(すきゃんだる)
2006年8月に大阪のボーカル&ダンススクールで出会ったHARUNA(Vo, G)、MAMI(G, Vo)、TOMOMI(B, Vo)、RINA(Dr, Vo)の4人で結成したガールズバンド。結成直後から大阪城公園でストリートライブを始め、キュートなルックスと力強いバンドサウンドを武器に瞬く間に人気を急上昇させる。2008年3月にはタワーレコード限定のインディーズシングルを3カ月連続でリリース。春から夏にかけてはアメリカ、フランス、香港などでもライブを行い、海外のジャパンカルチャーファンから注目を集めた。同年10月、シングル「DOLL」でメジャーデビューを果たす。2009年末には「第51回輝く!日本レコード大賞」で新人賞を受賞。ライブツアーやイベント出演も精力的に行い、ファン層を拡大し続けている。2010年には劇場用アニメ「ルー=ガルー 忌避すべき狼」で主題歌、挿入歌、エンディング曲、アニメ出演の4役に挑戦。同年8月には2ndアルバム「TEMPTATION BOX」、11月には初のカバーミニアルバム「R-GIRL's ROCK!」をリリースし、ともに好セールスを記録した。