ナタリー PowerPush - SAKANAMON×ラーメンズ片桐仁対談
粘土トークも!異色の音楽×お笑い対談実現
絶対に売れないとダメなんですよ
片桐 音楽は夢があるよね。ドリームをつかむ!っていう。
──最近はバンドに夢を持っている若者も減ってる気がしますけど。
森野 昔のことはわかんないですけど、妙に冷めた人は多いかもしれないですね。売れなくてもいいから、好きなことだけやっていたいっていう。
藤森 ……それ、僕だね。
木村 おい!
片桐 でもね、それだと辞めちゃうんだよね。絶対に売れないとダメなんですよ。
藤森 え、マジっすか?
片桐 好きな音楽をやるためには売れないと。そうしないと認められないから。ただ好きなことをやろうと思ってても、だんだん好きな音楽がなんだかわからなくなってくることもあるし……って、こんな偉そうなこと言える立場じゃないんだけどなあ。
森野 途中でやめないでください(笑)。
片桐 売れると認められるでしょ? それはそれでプレッシャーも大きくなるけど、やりがいとかライブの快楽が全然違うから。500人と5000人じゃ違うでしょ、やっぱり。強烈に売れたいと思ってるヤツが売れるし、特に音楽の場合、カリスマ性も重要じゃないですか。ファンを信者にしないといけないんだから。
藤森 うーん……。僕はどうかなあ。
片桐 いつ、どんなふうに売れるかはわかんないけどね。「こうして私は儲けました」みたいな本ほど信用できないものはないし。それはあなたの場合でしょ!って。でも、SAKANAMONはメジャーデビューですからね。第一段階ですよね、今。
ラーメンズみたいなバンドになりたいんです!
藤森 あの、僕、勝手にお笑い界におけるラーメンズの立ち位置に行きたいって思ってるんです。
片桐 ええっ?
藤森 ラーメンズみたいなバンドになりたいんです!
片桐 ごめんなさい、ちょっと意味が……。
藤森 えーと、うまく説明できないんですけど。
木村 よし、がんばってみろ。
藤森 うーん……。「ドラゴンボール」で例えると、ピッコロですかね。
片桐 ん? じゃあ、「ONE PIECE」で言うと?
藤森 あ、なんだろう? チョッパーじゃかわいすぎるし。
片桐 クルー以外のキャラクターでもいいよ。
藤森 でも、グランドラインに入るまでしか読んでないんですよね…。
片桐 え、グランドラインまでしか読んでないの? もったいない。58巻くらいが一番盛り上がるのに。
──すいません、話がズレてます……。つまりバンドシーンの中でも独特のポジションにいたい、と。
藤森 そうです! そして誰も否定できないような存在になりたいです。
片桐 僕らが他と違うところがあるとすれば、賢太郎という人間が本物の変人だってことですよね。僕、いろんな演出家と仕事してますけど、あんな人間はほかにいないので。でも、僕らはお笑い界をかなり敵に回してますよ。
森野 芸風が、ですか?
片桐 いや、バラエティ番組に全く出ないこととか。かなり早い段階で「テレビに出ない」って言っちゃいましたからね。テレビに出ないで、ライブで生活していこうっていう。それはね、結構言われました。「レギュラーを辞めるなんて、おこがましい。何を考えてるんだ」って。あ、じゃあ、皆さんもライブを中心にしたいってこと?
藤森 あ、はい。それはもちろん。
木村 つまらないですからね、ライブがないと。
ゲームじゃなくて粘土で遊んでた
──最後に藤森さんと片桐さんに、粘土作品について語っていただきたいのですが。
片桐 あ、はい。(藤森が作ったSAKANAMONのキャラクターを見て)うわ、いいね! 何これ?
森野 SAKANAMONのキャラクターなんですよ。
藤森 一応、土地に合わせて作ってみたんです。渋谷のハチ公、池袋のいけふくろう、横浜は水兵で、新宿はホスト。
片桐 え、これ、ホスト? エイとかじゃなくて?
藤森 はい(笑)。
片桐 でも、これはいいねえ。どうして粘土やろうと思ったの?
藤森 子供の頃から油粘土で遊んでたんですよね。親の帰りが遅くてとにかく暇だったこともあるんですけど。
片桐 ゲームは?
藤森 ゲームもあったんですけど、粘土で遊んでる時間のほうが長かったですね。
片桐 ゲームがあるのに粘土やってたってことは、作るべくして作ってるんだろうね。ずっと集中して作っててさ、ちょっとトイレに行って戻ってきたりすると「あれ、だいぶできてる」って思うことない?
──めちゃくちゃ集中しながら作ってて、ふと我に返った瞬間ってことですか?
片桐 そうそう。そこからまた続けるのは地獄なんだけどね。もうめんどくさくて。
木村 粘土を作る人って、なんて言うんですか? 僕ら勝手に「粘土ぃすと(ねんでぃすと)」とか呼んでるんですけど。
片桐 ないんだよね、それが。造形師っていうとフィギュアを作る人になっちゃうし、彫刻家だとハードルが上がっちゃうし。俳優って言ったとたん、ハードルが上がるのと同じだよね。でも芸人とも言いたくないんだよな……。
森野 それ、全部言われてますよね。「お笑い芸人、俳優、彫刻家」って(笑)。
片桐 コメディアンがいいんだよね。芸人よりちょっと緩くなる感じが。その点、音楽はいいよね。全部ミュージシャンだから(笑)。
SAKANAMON / マジックアワー【MUSIC VIDEO&メイキング】
片桐仁情報
レギュラー番組
- NHK Eテレ「シャキーン!」
毎週月曜~木曜日 7:00~7:15 - TBSラジオ JUNKサタデー「エレ片のコント太郎」
毎週土曜日 25:00~
出演作品
- 舞台「地球の王様」
201212月24日(日)まで全国各地で上演中。
- エレ片コントライブ「コントの人7」
- 2013年1月11日(金)~16日(水)東京都 草月ホール
- 2013年1月19日(土)愛知県 名古屋市中村文化小劇場
- 2013年1月20日(日)大阪府 サンケイホールブリーゼ
- 2013年1月26日(土)~27日(日)福岡県 福岡イムズホール
SAKANAMON (さかなもん)
専門学校の同級生同士だった藤森元生(Vo, G)と森野光晴(B)によって2007年12月に結成。2009年に木村浩大(Dr)が加入し現在の編成となる。2010年9月に1stミニアルバム「浮遊ギミック」を発表し、収録曲「ミュージックプランクトン」が各地のラジオ局のパワープレイを獲得。2012年8月にバンドのホームでもある東京・大岡山PEAK-1にて初のワンマンライブを開催し成功を収める。同年12月にビクターエンタテインメントよりメジャーデビュー。バンド名には「聴く人の生活の肴になるような音楽を作りたい」という思いが込められている。
片桐仁 (かたぎりじん)
1973年生まれ、埼玉県出身。コメディアン、俳優、彫刻家などさまざまな顔を持つ。1996年に小林賢太郎とお笑いコンビ・ラーメンズ結成し、主に舞台を中心に活動。独特の世界観を持つコントで高い人気を誇る。単独でNHK Eテレの子供番組「シャキーン!」にレギュラー出演しているほか、エレキコミックとの3人組ユニット・エレ片の一員としても活躍中。