ゲームファンに愛され続ける「サガ」の音楽の魅力とは?“イトケン節”で知られる伊藤賢治が語る2本立てインタビュー

バリエーションが広がった2ndアルバム

岡島俊治(Dr)

──今年2月に発売された、初アルバムとなる「DESTINY 8 - SaGa Band Arrangement Album」の反響はいかがでしたか?

伊藤 ゲームファンは喜んでくれるだろうと思って送り出しているわけですが、意外にもゲーム以外のところでも注目してもらえて、驚きましたね。

上倉 そうそう、diskunionさんがDESTINY 8をピックアップしてくださって。あとはAmazonやiTunesのデイリーランキングの上位に入ったりもしましたね。ゲーム音楽ではそうそうないことですし、なんなら古いゲームタイトルのアレンジBGMなわけで。それほどまでに「サガ」シリーズのBGMに興味を持っている人が多いのかなと思いました。

──このたび発売される2ndアルバム「DESTINY 8 - SaGa Band Arrangement Album Vol.2」については、どういった基準で収録曲を選んだのでしょうか。

伊藤 僕たちだけで選んだのではなく、スタッフの意向なども汲み取りながら選んでいった10曲です。10曲の中でも「Last Battle -T260G-」は「本当にやるの? だって、原曲はテクノだよ? テクノ曲でロックをやるの?」って思っていましたね。結果的にはギターの音色が効いたスパニッシュなアレンジになりました。ロックやメタル系以外にもバリエーションを広げていければなとも思っていたところですが、次のアルバムでは民族楽器バンドになっているかもしれません(笑)。

池尻晴乃介(B)

 皆さんの前でリアル1stライブをやるころには、もう最初の原型がないバンドに(笑)。

上倉 (笑)。確かに伊藤さんの言うように、アレンジの幅は広がりましたね。1stアルバムは「これがDESTINY 8だ」とアピールする意味も込めて、あくまでロック系がメインでしたが、今回はヘヴィメタルっぽさもありつつ、シンセの音などでポップな感じも出しています。DESTINY 8はロックやヘヴィメタルだけじゃないんだぞ、という部分をちょっと見せたかったんですよね。

 ちなみに曲順は、バトルシーン、フィールドで冒険するシーン、再びバトルをするシーン、ボスに立ち向かうシーン、最後にメインテーマというような構成になっています。ロックバンドのコンセプトアルバムみたいに1つの壮大な物語を味わえると思いますよ。

上倉 この曲順はスタッフとの話し合いで決めたわけですが、そもそもアレンジ曲を決める段階で、僕の中ではほとんど順番は決まっていたんですよね。ある程度流れを作っておけば、アレンジの方向性が見えやすくなるので。森くんが言ったように、やはりゲームの流れを感じてほしくて、こういった構成にしました。1曲目がバトルなのは「サガ」だからこそです。

ものすごい技を閃く“ITOKEN”

──小耳に挟んだところ「ロマサガRS」に、DESTINY 8の伊藤さんが“ITOKEN”としてゲームキャラクター、つまりプレイヤーの仲間として登場するとお聞きしたのですが。

伊藤 いやもう、来るべき時が来たなと……。

 イトケンさんで戦える日が来るわけですものね。やはり何か技を閃くんですよね?

伊藤 ものすごい技を閃くと聞いています。

 イトケンさん祭りが始まりますね、これは……。

──入手方法が、ガチャなのか、配布なのか、気になるところですね……(※取材当時、伊藤がキャラクターとして登場するという以外の情報は不明だった)。

 ガチャだったら、“イトケンガチャ”って名前になるんですかね。

坂田 配布だったら“イトケン配布”“イトケン無料”とか言われたりして。

──実際、伊藤さんのもとに最初にお話がきたときどう思われたのですか?

伊藤 どう転んでも僕も楽しいし、みんなも楽しんでもらえるなら、それでいいのかなと。あっさりオーケーしちゃいました。皆さんぜひ育ててあげてください(笑)。

ライブでも「サガ」の世界観を表現?

──DESTINY 8の今後の展望などを教えてください。

DESTINY 8

伊藤 海外のプロデューサーとお仕事をしてみたいですね。ワールドワイドな視点から見たDESTINY 8のサウンドやパフォーマンスをどう評価して、どう料理してくれるのかという興味があります。

上倉 「サガ」シリーズの曲はまだまだたくさんあるので、アレンジもこうしたい、ああしたいというのがたくさんあります。DESTINY 8を通じて、さらにいろいろな曲をバンドアレンジしてお届けしたいです。そしてやはり生ライブをやりたいですね。

 ライブやりたいですね。ステージで“陣形”を組んで演奏するとか「サガ」だからこそのことをやりたいです。

伊藤 世界観を表現したバンドギターとかあればいいね。THE ALFEEの高見沢俊彦さんのギターみたいなさ。

上倉 アイスソードギターとかね(笑)。確かに楽器で何かできたらいいですね。「ロマンシング サガ -ミンストレルソング-」の詩人のギターとか。楽曲はもちろんなんですが、それ以外のところでも楽しんでもらいたいです。

 みんなキャラクターに扮しましょうよ。寝巻を着て、ジェラールみたいな(笑)。

DESTINY 8

上倉 あとゆきだるま、ボストン、ようせい、ぞう、だね(笑)。

坂田 全員人間じゃない! 仮装大賞じゃん(笑)。

伊藤 MAN WITH A MISSIONもビックリすると思う(笑)。

──(笑)。では最後に上倉さんより代表してメッセージをお願いいたします。

上倉 1stアルバム以上に、アレンジ面も演奏面も力を入れました。歴代「サガ」シリーズをプレイしてくださっていた方、今もプレイしてくださっている方々に、ぜひ今回の2ndアルバムを楽しんでほしいです。そして「サガ」シリーズをまだ知らない人は、今回のアルバムをとりあえず聴いてみて、もし「いいな」と思っていただけたら、そこから「ロマサガRS」などで「サガ」シリーズの世界をぜひ体験してほしいです。

DESTINY 8(ディスティニーエイト)
ゲーム「サガ」シリーズ作曲家の伊藤賢治(Key)に加え、上倉紀行(Key)、森空青(G)、坂田善也(G)、池尻晴乃介(B)、岡島俊治(Dr)の実力派が集結した6人組。「サガ」シリーズ30周年を記念して、2020年に結成された。2021年2月にアレンジアルバム第1弾「DESTINY 8 - SaGa Band Arrangement Album」を発表し、8月に第2弾「DESTINY 8 - SaGa Band Arrangement Album Vol.2」をリリースした。