河邉徹(WEAVER)×伊東歌詞太郎|音楽と小説の関係

ファンとの関係

──小説と音楽で表現される「流星コーリング」をどんなふうに受け取ってもらいたいですか?

河邉 今回ばかりはそれが気になってるんですよね。小説の中に出てくる楽曲がCDに入っているのでそのリンクを楽しんでもらえたり、どこのシーンを描いた曲なのかを読み解いてもらえたらすごく面白いと思うんです。ただ、そのためには作品に深く入り込んでもらわないといけないから「大丈夫かな?」という不安も少しあって。僕自身は自分の好きなことを一生懸命に作り上げたのでなんとか受け取ってほしいと思いますけど……。歌詞太郎さんは本のサイン会なども積極的にやっているし、自分の作品、そこに込めた思いをピュアに伝えてる印象があって。そこも学びたいんですよね。

伊東 何を言ってるんですか(笑)。でも、そうだな、これは僕の哲学でもあるんですけど、お客さんはアーティストが楽しんでいることを楽しんでくれると思ってるんです。例えば「今後のためにつながるからとりあえずこれをやっておこう」みたいなことは極力やらないほうがいい。それはお客さんに対して失礼なので。

左から河邉徹(WEAVER)、伊東歌詞太郎。

河邉 それも含めて伝わっちゃいますからね。

伊東 そうなんですよ。こちらが何かを犠牲にしたときは、お客さんも何かを犠牲にしていると思ったほうがいいし、自分が心から楽しいと感じること、好きなことをやる以外に正解はないんです、実は。僕がいつも考えているのは、どうやって伝えるかではなくて、どうやってみんなと楽しむか。「家庭教室」もそうで、大変なこともあったけど(笑)、主人公の灰原先生と一緒にいた1カ月は最高に楽しかったんです。手に取ってくれた人に対しては、文字通り“有り難い”ことだし、感謝ですよね。僕はワガママなので、ブログやTwitterだけではなく、できれば直接会って、目を見て「ありがとう」と言いたいんですよ。

河邉 僕もそうですね。「流星コーリング」も、書きたいから書いたし、作ってるときはすごく楽しくて。

伊東 河邉さんが楽しんで書いたんだったら、何の心配もいらないと思うんですよ。WEAVERのファンの皆さんも、「流星コーリング」を読んでアルバムを聴けば、「河邉さんはやっぱりこういう人なんだな」とうれしい気持ちになると思います。

自分の作品に気付かされる

──小説を書くことで、音楽活動にもフィードバックがありますか?

伊東 音楽に対するフィードバックというより、自分の人生に対する影響のほうが大きいかな。自分が思っていないことは書かないとわかっているので、歌詞にしても小説にしても、「そうか、自分はこんなことを考えていたんだ」と気付くことがあって。

河邉 自分の作品に気付かされる。

伊東 それはしょっちゅうあります。作品を作ることが自分を知ることにつながるし、そのことによって、作品がもっと深くなると思っていて。

左から河邉徹(WEAVER)、伊東歌詞太郎。

河邉 僕もそうですね。歌詞の場合はメロディやサウンドに影響を受けますけど、小説の場合は、「自分が作りたい世界をどう構築するか?」ということをずっと考えていて。建築に似てるところもあるかも。これからもピュアに楽しみながら作っていきたいし、いい作品を作っていれば、振り向いてくれる人も増えると思うんですよ。それを信じて、夢の世界を作っていきたい。

──歌詞太郎さんも「家庭教室」の続編の予定があるとか。

伊東 そうなんですよ。「家庭教室」は短編集なんですけど、書きたいエピソードがあと18くらいあるので(笑)。生きてると言いたいことがどんどん出てくるんですよね。「流星コーリング」にもすごく刺激を受けたし、全然違うタイプの作品を書いてみたいという気持ちもあります。僕も星が好きなので。

河邉 プラネタリウムでライブやってましたよね?

伊東 はい(笑)。音楽、本と同じくらい、宇宙が好きで。それが僕の3本柱ですね。

河邉 めっちゃ仲間になれそう(笑)。星を絡めて何か一緒にやれたらいいですね。

伊東 ぜひ!

公演情報

KADOKAWA presents『流星コーリング』朗読音楽会

2018年3月16日(土)東京都 品川インターシティホール

WEAVER 14th TOUR 2019「I'm Calling You~流星前夜~」
  • 2019年3月23日(土)愛知県 DIAMOND HALL
  • 2019年3月24日(日)大阪府 BIGCAT
  • 2019年3月31日(日)東京都 マイナビBLITZ赤坂
WEAVER(ウィーバー)
WEAVER
杉本雄治(Vo, Piano)、奥野翔太(B, Cho)、河邉徹(Dr, Cho)の3人からなる兵庫・神戸出身のスリーピースバンド。2004年に高校の同級生同士で結成され、2007年に現在の編成に。2009年10月に配信限定シングル「白朝夢」でメジャーデビュー。2010年2月にメジャー1stミニアルバム「Tapestry」を発売したのち、同年8月と9月には亀田誠治をプロデューサーに迎えたアルバム「新世界創造記」を前編と後編に分けて発表した。2014年1月末からは半年間のロンドン留学を経験。メジャー10年目に突入する2019年3月6日にはベストアルバム「ID 2」、ニューアルバム「流星コーリング」、河邉の書き下ろし小説「流星コーリング」を発売することが決定しており、3月から東名阪ツアー「WEAVER 14th TOUR 2019『I'm Calling You~流星前夜~』」を実施する。
伊東歌詞太郎(イトウカシタロウ)
伊東歌詞太郎
2012年1月に動画共有サイトに“歌ってみた”動画を初投稿。ボカロ楽曲などのカバーで大きな注目を集める。現在の動画再生数は8000万を超え、ロックからバラードまで幅広く歌いこなす歌唱力から「歌唱力おばけ」とも称される。2014年1月、TOY'S FACTORYより「一意専心」でメジャーデビューし、2015年4月に2ndアルバム「二律背反」、2017年10月には3rdアルバム「二天一流」をリリース。3作連続オリコン週間ランキングTOP10入りを継続中。2018年5月には処女小説「家庭教室」を刊行した。