龍宮城「裏島」インタビュー|初のフルアルバム「裏島」携え、いざ日本武道館へ (3/3)

2分に凝縮された龍宮城のカオス

──アルバム終盤には、龍宮城を象徴する代表曲と言える「RONDO」が収められています。ここで終わっても十分に美しい締めくくりになると思いますが……最後にカオスの極みのような新曲「裏島」が入っているのが龍宮城らしいなと思いました。最後の最後にこの人たちは何を言ってるんだと。

一同 アハハハハハ!

──「裏島」は2分に満たない短い曲ですが……そもそも龍宮城の曲って全部2、3分台で、4分を超える曲がないんですよね。これはちょっと意外だったんですけど。勝手に「5分6分の壮大な曲を歌っているグループ」のような気がしていたけど、時間が圧縮されているのかな?と思うくらい高濃度の楽曲が多いだけだったという。曲の分数について意識したことありました?

KENT セットリストを決めるときに「あれ? こんなに曲数あるのに短いな?」と思いました(笑)。30分尺のところで7曲くらいできちゃう。

KENT

KENT

Ray もう1曲詰め込むべきかどうかのせめぎ合いがあるんですよ(笑)。「もう1曲やる? MC伸ばす?」って。

──「裏島」もこれだけ言葉数が詰まっていて2分ないという。

齋木 「裏島」は7人それぞれの個性がより強く出た楽曲だなと思っていて。サビでは7つの個性が集まって爆発している。7人それぞれのパートで個性が光っている分、全員集まるサビの爆発力がほかの曲と比べてもすごいなと思います。それはなんでかなと考えると、メンバーそれぞれに合った歌詞を当ててくださってるんですよね。Sのパートだったら頭文字がすべてSでそろっていたり、侑暉のパートは関西弁になっていたり。それぞれのよさが2分に圧縮されているのがこの「裏島」なのかなって。

──それぞれの顔が見えてくる感じは音源だけでも伝わってきます。つくづく変なグループだなという印象を残してアルバムは終わりますが、皆さんはこのアルバム全体についてどんな印象を持ちましたか?

S 普通のアルバムだったら……普通がどういうものかわかりませんけど、アルバムの中でスパイスになるような要素が全部の曲に入っている作品だなって。聴いていて飽きないと思うし、初めてのアルバムがこんなに濃いものになっていることがすごくうれしいです。龍宮城に対して誇らしい気持ちになりました。この龍宮城というグループを象徴する1枚になったと思う一方で、これを超える作品をこれから作っていかなければいけないという思いもあります。

冨田 1つのジャンルに捉われない、“オルタナティブ歌謡舞踊集団”という新しいジャンルを世に広めるうえで、このアルバムさえ聴いてもらえれば伝わるんじゃないかなという自信があります。今の段階での龍宮城が、ここまで1歩1歩進んできた歴史を感じていただける11曲。きっと2ndアルバムを出す頃にはまた違う味が出ていると思うので、この先のことも楽しみになる1枚じゃないかと思います。

冨田侑暉

冨田侑暉

完成形がないのが龍宮城の完成形

──1stアルバム「裏島」は「龍宮城とは何者なのか?」を証明する作品になったと思いますが、改めてその“龍宮城”って何者なんですかね?

冨田 これは僕個人の意見になるかもしれませんけど……完成形がないのが龍宮城の完成形なのかなと。型にはまっていないというか、決められた型がない。ぐちゃぐちゃであるほうがきれいだと考える。ずっと波があることが龍宮城の在り方なんじゃないかと思っています。

──それは的確な表現かもしれませんね。つまりは永遠に迷い悩み続ける宿命にあるグループで、「ついに完成した! もうすべてやり切ったので解散します」という瞬間が一生訪れないグループかもしれない(笑)。先ほどSさんも冨田さんも「次の作品」を視野に入れた発言をされていましたけど、2ndアルバム、3rdアルバム、5周年、10周年……と未来のビジョンはなんとなくでも想像できていますか?

ITARU 自分は具体的なイメージはあまりなくて……わかりやすい例で言うと、少年少女の感覚。歳を重ねていくにつれて見た目も変わっていくし、成長もしていく。その時々の“龍宮城”という生き物の形をお見せしていくことになるのかな、という漠然としたイメージはあります。

ITARU

ITARU

──今は全員が未知なものに飛び込んでいくイノセントな魅力がありますけど、それは経験による“慣れ”が出てくれば変わってきますよね。未知の出来事にも経験則である程度対応できるようになって簡単にクリアしたり、実力が付いたことによって逆に表現できなくなるものもあるかもしれない。イノセントが失われた龍宮城が果たしてどうなるのかも興味深いですね。

Ray 10周年……まったく想像できないですね。今で精一杯。今、自分たちがどういうライブをしたいか、誰にどう届けたいかを考えるだけで精一杯だし……それが僕らのやっていくべきことなんだろうなって。3年後までにこうしたい、10年後にはこうなっていたいと未来のことを想像するのも大切だとは思いますけど、全員が「今何をしたいか」を優先するグループなんだと思います。具体的な目標で言うと、音楽のパフォーマンスではない舞台をまたやってみたいというのはあります(参照:龍宮城が出演する「音楽劇 秘密を持った少年たち」スタート)。それに、音楽以外のアートに対するセンスを持ったメンバーもいるので、それを生かした僕たちだけの個展を開くとか、芸術の幅を広げていきたいという目標を持っています。

齋木春空

齋木春空

柿なら秒で

──前回も今回もけっこう真面目な話を聞いてきたので、最後に何かもっとかわいげのある話があってもいいのかなと思いますけど……最近何かありました?

ITARU なんだろう。かわいげ……。

冨田 これ言っていい? 僕らグループのLINEがあるんですけど、基本僕たちはあんまりリアクションを返さないんですよ。でも一昨日くらいかな、KEIGOが「柿があるんだけど、欲しい人いる?」って書いたらみんな秒で返信していて(笑)。仕事の話だと返信まで時間が空いたりしちゃうんですけど、柿になるとみんながみんなすぐ返信してるのが面白かったし、俺らってまだガキなんだなって(笑)。

KENT 柿だけにね。

KEIGO 言うと思ったわ(笑)。いや、ホント基本返信がないから書いてもなあと思ってたんですけど、家で柿が豊作で。

KENT 家で?

KEIGO 実家でね。まずSは絶対に返事があると思ってたんですよ。フルーツが好きだから。イチかバチかで全員に送ったんですけど、最初に返事があったのがRayか。1分くらいで返事が来て。ただ、春空だけ返ってきてない。

ITARU プライドがね。

齋木 いや、ほかの果物だったら秒で返事してたけど、柿はそんなに……。

──(笑)。基本返事がないと言ってましたけど、そもそもグループ内での話し合いは頻繁にはないんですか? 「武道館どうしよう」とか。

KEIGO 今言ったグループLINEとは別で「龍宮城事務」というグループがあって、そっちは仕事の連絡や話し合いをする場だから絶対に返事があるんですよ。

Ray 事務じゃないほうは本当にひどくて、KENTが面白かったTikTokのリンクを貼って、それに誰も反応せずに春空が何か言って、それにもなんの反応もないままSが話してる、みたいな。完全に一方通行です(笑)。

龍宮城

龍宮城

公演情報

龍宮城 LIVE TOUR「裏島」

  • 2025年1月10日(金)愛知県 名古屋ReNY limited
    [1回目]OPEN 14:00 / START 14:45
    [2回目]OPEN 17:45 / START 18:30
  • 2025年1月12日(日)福岡県 DRUM LOGOS
    [1回目]OPEN 13:30 / START 14:15
    [2回目]OPEN 17:15 / START 18:00
  • 2025年1月26日(日)宮城県 Rensa
    [1回目]OPEN 13:30 / START 14:15
    [2回目]OPEN 17:15 / START 18:00
  • 2025年2月1日(土)北海道 札幌PENNY LANE24
    [1回目]OPEN 13:30 / START 14:15
    [2回目]OPEN 17:15 / START 18:00
  • 2025年2月14日(金)大阪 GORILLA HALL OSAKA
    [1回目]OPEN 14:00 / START 14:45
    [2回目]OPEN 17:45 / START 18:30

龍宮城 日本武道館「裏島」」

2025年2月22日(土)東京都 日本武道館
~表国~
OPEN 13:00 / START 14:00
~裏・裏・裏島~
OPEN 17:30 / START 18:30

プロフィール

龍宮城(リュウグウジョウ)

日本テレビ、スターダストプロモーション、ソニーミュージックがタッグを組み、アヴちゃん(女王蜂)がプロデュースを務めたオーディション企画「0年0組 -アヴちゃんの教室-」の合格メンバーによって結成された“オルタナティブ歌謡舞踊集団”。メンバーはITARU、KENT、Ray、KEIGO、S、冨田侑暉、齋木春空の7名。2023年4月にソニー・ミュージックレーベルズからプレデビューシングル「RONDO」をリリースし、5月にデジタルシングル「Mr.FORTUNE」でデビューした。9月には1st EP「2 MUCH」を発表。10月からは日本テレビ系で主演ドラマ「秘密を持った少年たち」がオンエアされ、11月には「音楽劇 秘密を持った少年たち」が上演された。2024年3月、2nd EP「DEEP WAVE」を配信リリースし、春から夏にかけて「龍宮城 SPRING TOUR 2024 -DEEP WAVE-」「龍宮城 LIVE TOUR『ULTRA SEAFOOD』」と2つのワンマンツアーを開催した。11月に1stフルアルバム「裏島」を発表。2025年1月よりワンマンツアー「龍宮城 LIVE TOUR『裏島』」で全国5都市を巡り、2月22日に東京・日本武道館公演「龍宮城 日本武道館『裏島』」を行う。