ナタリー PowerPush - room12
5人の上で音符が踊る── 注目バンドの成り立ち
2009年の結成以来、シングルやミニアルバムを発売し都内を中心にライブも活発に行っている5ピースバンド・room12の1stアルバム「五線譜で踊る」がリリースされた。3本のギターが色彩を作り、切なくも伸びやかな歌声が響き、闇と光を同時に感じさせるサウンドの本作。この1stアルバムの話を軸に、room12とはどういうバンドなのか解き明かすべく、5人に初インタビューを行った。
取材・文 / 遠藤妙子 撮影 / 小坂茂雄
12号館で出会ったからroom12
──皆さん、大学のサークルが同じだったそうで。
飯沼亮太(G) はい。ちょっとずつ歳が違って、僕が1年のときの会長がボーカルの太樹さんだったんです。
──じゃあ先輩後輩の関係なんですね。
飯沼 大学時代は最低限のマナーはありましたけど。
平野太樹(Vo) それも今はなくなっちゃいましたね(笑)。
──room12ってちょっと変わったバンド名ですよね。
高山和久(B) 12号館っていうところがサークルの活動の場所だったんです。そこで出会って、いろんな話をして、バンドを組んで。すべてはroom12からスタートしたんで。
──最初から5人で?
高山 最初はベースの僕とギターの亮太くんとドラムの官野くんの3人でスタートして、その後太樹さんとギターの亮くんが入って5人になりました。太樹さんがいなかった頃は遊び感覚で、ただ好きに演奏してるって感じでしたね。太樹さんとやるようになって変わったと思います。歌を意識する演奏になっていきました。
──room12はダークでメロディアス、そしてエモーショナルな音ですが、皆さんは好きなバンドや影響を受けた音楽が近かったからバンドを組んだのでしょうか? それとも、気が合う仲間だったからでしょうか?
飯沼 どっちかというと後者ですね。仲がよかったから結成して。
平野 僕は学年も上だし聴いてきた音楽も違うし。でも一緒にいて楽しくて。単純に一緒にやりたいなって思いましたね。
高山 結果、自然にいろいろ混ざった音になって。コンセプトや狙いはなかったんですよ。
武内亮(G) 僕は最後に入ったメンバーなので、ちょっとみんなと状況が違うんですけど。僕は入る前からroom12を観ていて、すごくいい音楽をやってるなって思っていたんです。なんかすごく伝わってきて、ライブもカッコよくて。数年後、自分のバンドが解散して、まさか自分がroom12に加入するとは思いもしなかった(笑)。もちろん一緒にやりたかったんですけど。
──じゃあかなり前からしっかりしたサウンドだった?
武内 うん、そうでした。room12ならではの色があった。
バラバラの感覚を重視
飯沼 でも個人個人で聴いてきた音楽はバラバラなんです。ドラムの官野くんはレゲエも聴いてたし、パンクやメロコアが好きなメンバーもいる。
──各々が影響を受けたバンドっていうと?
高山 僕は向井秀徳(ZAZEN BOYS)さんや後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)さんが好きで、言葉で遊ぶような哲学的なバンドが好きなんです。そこから掘っていって残響レコードのバンドやポストロック、シューゲイザーを好きになって。ダブステップとかも好きですね。
飯沼 僕は、いい音楽ならどんなジャンルでもいつの時代のものでも好きで。で、僕にとっていい音楽っていうと……メロディアスな曲。やっぱりギタリストなんでテクニカルなギターにはグッときます。あと歌ですね。歌がちゃんと聞こえてくる音楽が好きです。
平野 僕も歌ですね。小学生の頃、GLAYやL'Arc-en-Cielといった歌が強いバンドを好きになって。歌っていうのは人間が楽器みたいなもので、人間が音を奏でるってすごいなって思って。あと子供の頃からアニソンが好きで。アニソンって聴いて一発でカッコいいって思う音が散りばめられているんですよね。アレンジの細かいとこまで、歌やメロディを生かすことを考えて作られている。すごく完成度が高い音楽だなって。
官野舎(Dr) 僕は、実はそんなに音楽聴いてないんです(笑)。子供の頃、車でオヤジがかけてたThe Beatlesや嘉門達夫ぐらいしか知らなくて(笑)。中学と高校でヒップホップやレゲエを聴き始めて、大学に入ってからバンドを聴き始めた。だから最近のバンドしか知らないんですよ。今、自分がバンドをやっているのは、新たな挑戦ですね。挑戦の真っただ中です(笑)。
武内 僕は中学の頃に吹奏楽部で、それが土台になってます。まず僕は楽器が好きなんです。ギターだけじゃなく、むしろギター以外の楽器、ドラムの音が気になったり。自分はギターなんだけど、ほかの楽器がカッコいいとアガるし嫉妬しちゃうんですよね、いい意味の嫉妬。聴くものはクラシックからメタルまでなんでも聴きます。特にデカいのが、思春期の中学生の頃に聴いたSum41やLinkin Parkなどですね。ギターが攻撃的だと「どんなエフェクター使ってるんだろう」って調べて、「それでこんな音が出るのかー」って。そこから日本のロックやパンクを聴いて。バンド活動はKen Yokoyamaのコピーをやろうってとこから始まって、room12に入る前まではメロコアのバンドをやっていたんです。
──かなりバラバラですね。
飯沼 バラバラだからこそ、1つになったときにいろんなジャンルが混ざった感じになっているんじゃないかな。
──でも例えば、メロコアっぽくやろうとかレゲエを取り入れてみようとか、そういう感じではないですよね?
飯沼 ないですよね。感覚を重視しているんです。音楽って感覚に訴えるものだと思うから、作るときも感覚を意識して。今作も、全員が感覚を持ち寄ってできたものだと思ってます。
収録曲
- カタルシス
- 改造彼女
- 空蝉
- 時に暴走
- 輪廻
- 廻る洋梨
- Rugen
- Fake
- 僕らは…
- epilogue
東京・Shibuya O-WESTにてroom12企画イベント2年連続開催決定!
room12 presents.
「弱イ犬ホドヨク歌ウ vol.15」
2013年12月12日(木)
東京都 Shibuya O-WEST
<出演者>
room12 / ピストル・ディスコ(仮) / and more
料金:前売 3000円 / 当日 3500円(ドリンク代別)
一般発売日:2013年10月12日(土)
room12(るーむとぅえるぶ)
平野太樹(Vo)、飯沼亮太(G)、武内亮(G)、高山和久(B)、官野舎(Dr)による5ピースバンド。2009年に東京都立川市で結成され、コンスタントにシングルやミニアルバムを発表。現代の孤独をリアルに表現した轟音ギターサウンドとエモーショナルなライブパフォーマンスを武器に、都内を中心に活動している。2013年8月には1stフルアルバム「五線譜で踊る」をリリースした。