音楽ナタリー Power Push - 六弦アリス
エログロ、メタル、三國無双 “壁サー”がメジャーに叩き付ける意欲作
テーマは「エログロ」
──9月にはアルバム「Secret Twilight Theater」でメジャーデビューを果たすわけですが、新作はどういう作品になるんですか?
A助 今回のメジャー盤は「エログロ」がテーマなんです。今までやってみたいなと思ってたテーマなんですけど、それを真正面から捉えた作品って作ったことなくて。
──メジャー最初の作品で「エログロ」とは、かなり攻めてますね。
A助 もちろんエログロって言っても限界があるので、やり過ぎないくらいで。それに13曲すべて重い感じの曲を並べているのではなく、途中にはちゃんと救いのある曲を挟みながらバランスのいいアルバムになるように作ってます。
──まだアルバムは制作中のようですが、手応えはどうですか?
アンナ 通しで聴いていると「あ、コレかも」って感じがするんですよ。A助さんがすごく練って作り上げたものだから、それ相応にいいものができたんだろうなって思ってます。
A助 彼女の反応も今までで一番よかったですね。これまでのアルバムでは、毎回どれか1曲彼女からボツが出るんですよ。でも今回は1曲もなかった。ちなみに3曲目の「眼球遊戯」だけは、アンナが作った曲ですね。
──なぜこの曲だけアンナさんが作ることに?
A助 テーマは決まってたんですけど、どんな感じの曲にしようかなと思って彼女に相談したことがあったんですよ。そうしたらその日の内に曲を送ってきて。
アンナ 今までも浮かんだメロディを「これ、よろしくお願いします」ってA助さんに渡すことがたまにあって。
A助 それがけっこういい曲なんですよ。しかも今回は彼女の作曲が早かったから「ライバル登場やな」って思いましたね(笑)。
1、2曲目は「三國無双」
──今作の音源で特に意識しているところはありますか?
A助 すべてがそういう曲っていうわけではありませんが、基本的にゴシックメタルの色が強い作品になってますね。ヘビーなギターにオーケストラ、そこに混声合唱が入るという形の。それと1曲目と2曲目をつなげていて、シームレスに流れるようにしているんですよ。
──どういう狙いがあって、最初の2曲をつなげたんですか?
A助 なんて言うのかな、最近の「三國無双」的な感じというか。
──「三國無双」って、あのゲームの?
A助 そうそう。最近の「三國無双」って、ムービーシーンからプレイヤーが操作できるゲームパートへの移行がものすごくスムーズなんですよ。ムービーを観てると思ってたらいつのまにか第1ステージに入ってるみたいな。そういうシームレスな導入を一度やってみたかったので、デビュー盤は「無双」をしてるような感じで作品に入ってもらえればと思ってます。
──ちなみに歌詞はどのようなものに?
A助 今まで展開してきた「音哲樂」シリーズとはちょっと違う感じになりますね。「音哲学」は思想を歌詞に書いているんですよ。でも新作では歌詞をストーリー調にして、よりわかりやすいアプローチにしています。
アンナ え? メジャーのアルバムって“エログロ哲学”じゃないんですか?
A助 エログロ哲学? 何言うとんのよ。
──ちなみに今年の8月の「コミックマーケット」には出展するんですか?
A助 もちろん。「コミケ」用の新作も出しますよ。
──9月のメジャーデビューアルバムを作りながら、8月に「コミケ」用の新作を作るのはかなり大変ではないですか?
A助 「コミケ」用の新作は、現時点では何もできてないんですけどね(笑)。ただ新作がないってことはまずないので、期待してほしいですね。
アンナ そういえば私たち、「コミケ」のときに新作を出さなかったことってないですね。
A助 そうなんよ。これは俺の信条やねん。出してファンの気持ちに応えよう……、とかそういうことではなく。
アンナ あ、なんかいいこと言うのかと思った(笑)。
A助 全然そうじゃなくて、「コミケ」って出たいと思ってもみんなが出れるわけじゃないんですよ。出れるかどうかは抽選で決まりますから。それで、もし僕が抽選から漏れたとしたら「今回新作落としました」って言ってる人に、理由はどうあれイラっと来ると思うんですよ。何をしとるんやと。前日に必死こいてシングルぐらい作れるやろって。
──そういうサークルにならないように、六弦アリスは新作を作り続けるんですね。
A助 なんか脅迫観念みたいなものがあって。コミケのシーズンが到来すると何かを出さなアカンって。まだまだ「音哲樂」シリーズでも言いたいことがいっぱいあるんで、メジャーになってからも出し続けていきます。
ライブでは舞台監督
──9月5日には、レコ発ライブがあるようですが、これはどういうステージになりますか?
A助 実はね、僕は出ないんですよ。
──えっ!? サークルの代表なのに?
A助 出ないというか、僕はライブの舞台監督をやらなきゃいけないので。客席の後ろのほうで、パソコンを触って映像や音を制御してる人として参加します。ボーカルがいて、バンドがいて、映像を使って演出をしていくっていうライブを考えているんです。ボーカルが動くと映像で映し出されている森が変化して場面転換する、みたいな。舞台的な演出を全部映像でやってしまう訳です。
──かなり作り込んだライブになるわけですね。
A助 そうなんです。メジャー盤に「コミケ」にライブと大忙しですけど、どれも楽しみにしてほしいですね。
- メジャーデビューアルバム「Secret Twilight Theater」 / 2015年9月2日発売 / とらのあなレコーズ
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 3900円 / TRNA-10010
- 通常盤 [CD] / 2600円 / TRNA-10011
CD収録曲
- Twilight -序幕-
- 青いワルツ
- 眼球遊戯
- 深淵坂の首縊りの家
- 同級生
- 螺旋階段の悪魔
- 人間失格
- Moonlight Roses
- 蜘蛛と樹海
- 老執事の肖像
- トワイライト・デス・パレード
- 幸福論
- Everlasting
初回限定盤DVD収録内容
- 「青いワルツ」MV
- 六弦アリス「Secret Twilight Theater」
- 2015年9月5日(土)東京都 原宿アストロホール
OPEN 16:30 / START 17:30
六弦アリス(ロクゲンアリス)
メインコンポーザーである六弦A助と、ボーカルを担当する櫻井アンナの2人によるユニット。2006年12月にアルバム「ファンタジア」を発表し、音楽同人サークルとして活動をスタートさせる。2012年12月に発表した「不思議の国の音哲樂 まやかし篇 先見」を皮切りに、音楽と哲学を融合させたシリーズ「不思議の国の音哲樂」を展開。また2013年にはアニメ「Super Seisyun Brothers -超青春姉弟s-」にエンディングテーマ「私になりたい私」を提供。このほか、PCゲームへの楽曲提供も多数行っている。2015年9月にアルバム「Secret Twilight Theater」を発表し、メジャーデビューを果たす。