ロイ-RöE-|ついに“羽化”したロイ-RöE-、野望とこだわりについて語る

同世代の人は全員ライバル

──「泡と鎖*」では「只々、駄々」で音をそろえたり、「もっと、もっと」の音をアウトしながら伸ばしていったりするのが印象的でした。

そういう遊び心と響きが一番大事やなと思ってて。あと歌詞を印刷したときの並びで、1行だけ飛び出してたらイヤだとか、そういう変なところにこだわりますね。

──曲を作るときはメロディが先ですか? 歌詞が先ですか?

決まってないですね。全部平等で、出てきたものからやるみたいな感じ。断片がめちゃくちゃよくないと作らないんですけど、例えばサビが最初に出てきたら、それを引き立たせるために前後を作ってつなげていく、みたいな。キーはメロディに絶対に合わせたいので、めちゃくちゃ悩みますね、毎回。それが自分で作る利点なんで。

──そのこだわりはなんにでも発揮される?

いや、私生活はズボラですね。片付けがヘタやし、髪の毛が伸びてもそのままやし、ネイルがちょっと剥がれてもそのままやし、部屋にはリモコンが散らばっとるし、料理も苦手やし。

──どうでもいいこととこだわることが明確に分かれているのかも。

モノを作るときだけはすごくこだわりますね。子供の頃からそうで、図工の授業とかもみんな適当にやってるのに1人だけ徹底的にこだわっていて、賞をもらうこともありました。あと硬筆とか、リコーダーの授業も一生懸命。体育と音楽と図工だけは熱心にやっていましたね。勉強はダメでしたけど(笑)。

──頭が悪いとは思いませんが、今はやりたかったことをやれているんですね。

本当にそうなんです。絶対にイケるとは思ってたんですよ。昔から思ったことはできるって思いよったし、それは自信があった。今は「かましたるぞ」って感じですね。同世代の人は全員ライバルだと思っとるし、負けとるとは思わんし。

ちゃんMARIさんは理想のプロデューサー

──「ウカ*」はゲスの極み乙女。のちゃんMARIさんの初プロデュース作でもありますね。

さっき言ったようにいろんなジャンルの曲をやりたいんですけど、曲の雰囲気に一貫性がないと誰が誰の曲かわからんなってなるから、そこは一貫性を持たせたくて、ずっとそのあたりをサポートしてもらえるプロデューサーを探してたんです。演奏するならピアノで、ジャズができる、遊び心がある方がいいなと思っていたので、ちゃんMARIさんがやってくださることになったときはとてもうれしかったし、実際に一緒にやってみたらかっちりハマりました。ちゃんMARIさんは私の希望を聞いてくれるし、しっかりとした個性もある、理想のプロデューサーです。以前はデモ段階で自分でアレンジを固めてたんですけど、「泡と鎖*」で初めて弾き語りの状態で送ってお願いしたら、何パターンか送ってくださって、どのアレンジも自分の好みだった。ミュージシャンの方々も紹介していただいたんですけど、ちゃんMARIさんが面白いけ、変な人ばっかりで(笑)。みんな面白いんですけど、しゃべりすぎて時間が足りなくなります、いつも。

──ちゃんMARIさんとのやりとりで苦労することはありますか?

私が普通の言葉をあまり知らんから、物事を伝えるのがすっごいヘタなんです。だから歌詞もわかりづらくなってるんですけど。国語が得意じゃなかったのに、いきなり中原中也とか三島由紀夫が教科書だから。そこらへんはちゃんMARIさんにもスタッフにも迷惑かけとると思います。

──ロイ-RöE-さんの不器用な伝え方をちゃんMARIさんはしっかり汲んでちゃんと形にしてくれるんですね。

「こうしてみたい」って言ったらその場で提案してくださるし、「違うかも」って言ったらすぐ別のものが出てくるんです。ちゃんMARIさんは本当にすごいなと思います。自分の音楽的な幅も広がったし、やりたい音楽が明確になりました。今は多少はわかるようになりましたけど昔は音楽の専門用語も全然知らなくて、EQとかコンプレッサーとか言われて「みんな何言いよるんやろ……」とか思っていました(笑)。何がわからんかもわからんし、聞かれたら「はい」でも「いいえ」でもない首の傾げ方をして、毎回レコーディング終わりはすっごい疲れていました(笑)。

──ロイ-RöE-さんの知識もちょっと増えたところにちゃんMARIさんという理解力に長けた方がバチっとハマった。この3曲は自信作ですか?

はい、お気に入りです。「泡と鎖*」が朝、「そそらるる*」が昼、「Heart Beat*」が夜のイメージなんですよ。MVもその時間帯に撮りました。

やるからには売れたいし1位も取りたい

──ちょっと話が戻りますが、根本のテーマは“女”というのをもう少し詳しく聞かせてください。

女だから女として歌いたいと思っていて。心境的には少女から女に変わる間くらいのところで歌っていきたいんです。私は映画が好きで「ひなぎく」とか「ロリータ」とか、女性にみんなが振り回されるみたいな作品に惹かれるから、自分もそういう作品を作りたいと思って。男の気持ちとかわからんしね(笑)。

──「泡と鎖*」を聴くと、わからない男の子の気持ちに翻弄されるのも嫌いではなさそうですけど。

わからんのがいいんですよ。わかったら面白くなくなるから。「こいつも人間なんやな」みたいな。だから好きな人に自分から質問はしない。だんだん知っていくのがいい。

──好きな人のことって知りたくなっちゃいませんか?

知りたくない、逆に。自分の理想に錯覚したまんまでおるのが楽しいんですよね。わかってきたら「ああ、もうイヤだ」ってなるんですよ(笑)。趣味を共有されるのもイヤやし。染まりたくないんですよ。だから自分もせんし。

──共感より解釈、っていうさっきの話と通じますね。純粋に美を愛でていたいとか。

そうそう。一目惚れしかしたことなくて、友達から恋愛対象に変わることが絶対ないんです。会った瞬間にわかるんですよ。「あ、カッコいい! この人ヤバい」って。たぶん染み出してくるオーラみたいな。黒いオーラ。

──黒いオーラ(笑)。では、同性ではどんな人に憧れますか?

女性は芸能人で言ったら土屋アンナさんとか沢尻エリカさんとか、自分の筋を通して突っ走る方が好きです。たぶんタイマン張ったら勝てんような強いイメージがある方。

──そうなんですね。最後にベタな質問ですけど、将来やってみたいことは?

テレビに出たいって最初に言いましたけど、テレビに限らずメディア、雑誌とかCMとかラジオとかライブとか、とりあえず自分を出せる場には誰よりも出ていきたいです。それで忙しくなるのはすごい幸せやなって思うから。目立ちたがり屋だから、表に立つことがすごい好きなんですよ。それに見合うようにいい曲いっぱい作って、外見も内面も磨いて。やるからには売れたいし、音楽チャートで1位も取りたいです。

公演情報

ロイ-RöE- presents first ONEMANSHOW at CIRCUS ─ウカ*─

2018年12月6日(木)東京都 CIRCUS Tokyo