ナタリー PowerPush - rieco

幸せが世界をつなぐ! 希望をふりまく「ONE」

“幸せ”って言葉をたくさん口に出してみよう

──歌詞のモチーフである“幸せ”についてさらに詳しくお話を訊きたいのですが、riecoさんが幸せを感じる瞬間ってどんなときですか?

曲作りとかで自然のある場所へ行くことが多いので、そういう場所で自分を解放すると結構感じられますね。例えば大きな木をギュッと抱きしめてじーっとしてたら、何十年何百年と地面から水を吸い上げながら生きてる木の生命力というものを感じるんですよ。で、そこから自分が生きてる幸せも実感できたりしますし、あとは夕陽をポーッと見てるだけでも「なんて人生は素敵なんだろう、世界って素敵だな」って思えるし。

──自然以外のシチュエーションでも、そういう瞬間はありますか?

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ありますね。歌詞の1番にも書いたんですけど、「街ゆく人たちの誰もが誰かの大切な人」っていうことに気が付くだけで見える世界が違うというか。例えば道で肩がぶつかってイラッとした相手も、誰かにとっての大切な人だと思うだけで心持ちが少し変わるような気がするんです。あと外国の方と街ですれ違って笑顔を交わしたときに、心にぽっと温かいものが宿ったり。大なり小なり、いろんな人との関係性の中で幸せを感じられることはいっぱいあると思いますね。

──でも世の中にはなかなかそういう幸せをキャッチできない人もいるわけで。riecoさんの幸せを感じるスイッチはどこにあるんですか?

以前は私も幸せがなかなか見えない時期がありました。でも、ある本を読んだときに「“幸せ”って言葉をたくさん口に出してみよう」という言葉を見つけて、それから意識的に口に出すようにしたんですよ。おいしいもの食べたら「幸せ」、空がきれいだったら「幸せ」、好きな人と会えたら「幸せ」って、ほんのちょっとしたことでも。

──そしたら何か変わりました?

はい! 最初は意識的に言ってたことでも、そのうち本当に自然と幸せを感じられるようになってきて。だからこれ、すごくオススメの方法です!(笑) まずは演技でもいいので、小さいことでも言い続けたら本当に気持ちが変わっていきますよ。

PV撮影はペンキ入り水風船で大はしゃぎ

──「ONE」のPVは、真っ白な背景にカラフルなペンキ入り水風船を投げつけていくという内容ですね。ドキュメンタリーっぽい要素もあって面白かったです。

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今回はジャケット写真とPVがリンクしてるんですが、真っ白な世界にいろんな人の思いがバーッと重なっていくような、きれいでナチュラルな映像になったのかなって。

──それぞれ違う色なんだけど、それが重なるとまた新たな風合いが出ますね。

はい。いろいろな色をみんなで付け合って、最後にはそれがひとつのキャンバスになるっていうイメージで観てもらえるとうれしいです。ちなみにPVに登場してる人たちは、身近なスタッフさんから私の友達までさまざまで。みんなだんだん水風船の投げ合いが楽しくなってきて、最後はいい大人が子供みたいにはしゃぎ合ってました(笑)。

──riecoさんも?

はい、超楽しかったです。「くらえーーー!」って(笑)。あれ、結構力を入れて投げないと割れないので当たると痛いんですけど、みんなで絵の具まみれになりました!(笑)

自分自身で人生の幕を開けにいく

──カップリング曲「ひまわり」は、強い意思を感じる歌詞が印象的なナンバーですね。これはいつ頃書いた曲ですか?

デビュー前なんですけど、やっぱりその時期ってつい人と比べてしまったり、周りにも人と比べすぎるがゆえに音楽をやめてしまった仲間がいたんです。自分の居場所が見えなくなって、ふさぎこんでしまう人とか……。私も外からのチャンスを待っては「なかなか来ないなー」って思って、その舞台から靴を脱いで降りちゃってた時期があったんですよね。

──はい。

rieco

でも、それじゃいかん!ってことで奮起しまして。いい意味で人と比較するのはいいけど、それで自分を小さく評価したり、明日には変わってしまうような周りの価値観で自らの価値を決めるのはもったいないことじゃないかって。だから自分自身で人生の幕を開けにいくんだっていう、ちょっとリアルな強い思いがこもってます。

──そういう思いが描かれた「この手で幕を開けてやるワ!」というフレーズは今までのriecoさんにはないイメージだなと(笑)。

あはははは。別のライターさんにも「勝気ですね」って言われました(笑)。でも基本的に私は負けず嫌いなので、落ち込むことはあってもまた上がってくぞー!ってなるんです。

──そういうとき、どうやって気持ちを切り替えるんでしょう?

自分の中にある強い部分をたぎらせるというか、視点を変えて見てみようって思いますね。ちなみに、この曲の中盤に出てくる「アシタ ニハ カワル キマグレ ナ コエニ オボレナイデ……」も、そういうことを歌ってるんです。

──全てカタカナなのはなぜ?

心の声っぽい感じを出したくて、あえてこういう表記にしました。でも本当に、価値観って国や時代が変われば全然変わってくるじゃないですか? 例えば日本では納豆をおいしく食べてるけど、他の国ではあり得ないと思われてたり。だからその一時の誰かの価値観で自分の居場所をなくしてしまうのは、本当に危なく悲しいことだなって思います。

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rieco (りえこ)

福岡県出身のシンガーソングライター。4歳からドリマトーンを弾き始め、中学生の頃から作詞作曲を開始する。「音楽塾ヴォイス」にて作曲理論を学びつつ、2010年に地元・福岡の新人発掘プロジェクト「FUKUOKA Music Factory」でグランプリを受賞。2011年3月にインディーズでミニアルバム「Freeway」を発表し、2012年7月に日本コロムビアよりシングル「Shining」でメジャーデビューを果たす。11月には4曲入りの2ndシングル「ONE」をリリース。表題曲は人気番組「王様のブランチ」の10~11月度エンディングテーマに起用されている。