Reol×LiSA対談|異体同心な2人の愛とリスペクトに満ちた親密対談 (3/3)

命の別れを経験してきているからこそ書きたいことがたくさんある

Reol LiSAさんがオープニングテーマ(「QUEEN」)を担当されている「シャンフロ」(「シャングリラ・フロンティア」)はどうでしたか? LiSAさんは作曲も手がけてますよね。

LiSA 1stシーズンの2クール分のオープニングをFZMZが担当していたんだけど、2ndシーズンのオープニングのお話をいただいたときに「ひさしぶりに辛いものが食べたいな」と思って。

Reol ちょっとスパイシーなサウンド?

LiSA うんうん。そう思ってFZMZのHONNWAKA88さんと一緒に景色を固めていって。だったら歌詞もMAQUMAさんに相談しようということで正面突破してきました。「RE RESCUE」の話題に戻るけど、Reolちゃんってアニメに対してちゃんと尊敬の念を込めているところが素晴らしいと思うんです。普段は音楽的にいろんなことにチャレンジするのに、アニメタイアップのときはちゃんとJ-POPをやろうとしていて。

左からReol、LiSA。

左からReol、LiSA。

Reol もともと提出したデモ曲は、メロディによってはJ-POPっぽくなるかもしれないけど、ちょっとドラムンベースっぽくてポップスど真ん中ではなかったんです。でも「今はこういうのがやりたい気分です」ってプレゼンしたら、「これがいいです」と言われて。「いいんですか?」と思いつつ、サビを1回書き直して今の形になりました。私は「青エク」の原作で、双子を育ててくれた養父のバックボーンが描かれる回想シーンを読んだときに、ここは自分が表現すべきだなと思って。というのも、自分が一番多感だった高校生のときに父親を亡くす経験をしていて、それから私にとって人の死が身近にあるものになったから。人生の中で死ということに対して、旅立ってしまった人たちに対して思いを馳せている時間がすごく長いんです。生きている人間としてその人たちに言いたいこともたくさんあるんだけど、じゃあ私は今を生きている間に何を見て、あとからその人たちと合流したらどんな話を聞かせてあげたいんだろうと考えて。そのときにこうやってLiSAさんと会って「こんなことがあったんですよ」っていうエピソードトークをするみたいな感じで、面白おかしくいろんなことを話したいから生きているのかなと。自分の人生をエピソード集めぐらいにポップに捉えていたいんです。同時に身近な人との命の別れを経験してきているからこそ書きたいことがたくさんあるし、「青エク」はそれを許してもらえる土壌でもあったという感じですかね。

──「RE RESCUE」のみならず、「秘色録」の収録曲はどれも爆音で楽しみたくなるくらいに気持ちいい音が詰まっていると思いました。

LiSA わかります。しかも、どの曲もカラーが違うのに全部Reolなんですよね。おしゃれなこともカッコいいこともやっていて、そこにはクラブミュージックやネット音楽の色も感じるしロックの色も感じるんだけど、ちゃんとReolという芯が通っていて。どれもなんとなくやってるところがないのがすごいと思います。

Reol メジャーレーベルにいるから怒られることかもしれないけど、やっぱり書くべきタイミングのテーマじゃないと書きたくないんですよ(笑)。でないと意味がないし、作らなくていい曲なんてこの世に生まれなくていいと思っているから。商業的に見たらもっとハイスピードに、いっぱい曲を出したほうがいいのかもしれないけど、自分にとって絶対に出すべき曲がちゃんと4曲完成したから、このタイミングに出すことができた。そういう意味では、4曲とも薄めることなくちゃんとメッセージを込められたのかな。

──リミックスも含めると、フルアルバム並みの濃さですよね。

Reol そうかもしれない。最初は3曲入りぐらいで「RE RESCUE」というシングルにするという話もあったんですけど、1曲1曲に込めているものが違ったので。今回は全曲リードみたいな気持ちで作ったからシングルはちょっと違うなと思って、「秘色録」というEPにしました。

いつか絶対にコラボを

──LiSAさんとReolさんはプライベートでは深く交わっているものの、音楽的にはまだコラボの機会はないですよね。

LiSA そうですね。いつか絶対にやりたいと思っていて。

Reol いつもそういう話をしてますね。ただ、やるとしてもあんまり何かの事情に乗ってやらないほうがいいと。ここまで深い関係になれたんだからこそ、ラフにいろいろ作ってみたいなと思ったりします。学生が遊びながら作る感覚でやれたら一番いいのかな。それにしても気になりますよね、もし作詞を半々でやるとしたら何を書いてくるんだろうって。

LiSA プレッシャーもあるけどね(笑)。

Reol 私、LiSAさんの歌詞が本当に好きなので、いっぱい読みたいんですよ。やっぱり表現の仕方が全然違うから面白いんです。歌詞には人となりが出ますもんね。1文字のスペースもその人の行間だと思うから大事だし。

LiSA Reolちゃんは歌詞の字面もきれいだし、ラップもするから言葉の音にもしっかりこだわっているし、その響きも美しい。言葉が好きなんだなって感じます。

Reol 確かに言葉は好きかも。日本語って表現がすごく多岐にわたるじゃないですか。そこは日本に生まれてラッキーだったなと思います。

Reol

Reol

変わることを恐れたくない

──お互い10年以上にわたって音楽シーンで活動してきたわけですが、ここから先のキャリアについてどんなイメージを持っていますか?

LiSA 私はReolちゃんがここから何をしてくれるのか、すごく気になっていて。来年の横浜アリーナでどんなステージを作るのか、今から楽しみなんですよ。

Reol ハードルを上げられた(笑)。

LiSA いつも面白いことを仕掛けてくれるし、意味のないことは決してしないから、それを紐解いていくのも楽しみ。

Reol 私は“演者力”があまりないと思っていて。「こういうふうにやってください」と言われると途端に熱が乗らなくなっちゃうんです。そこに適性がないことはわかっているから、ちゃんと自分で「これがやりたい」って見つけられるまでひらめきを待つタイプ。それこそ横アリはまだ場所を取っただけで、そこまで具体的には何も決まってないんですけど、1つ芯にしたいテーマが自分の中にあって。それを元に作っていったら、今のところ武道館とは全然違う仕上がりにたどり着けると思う。

LiSA 楽しみだなあ。

Reol 10年って時間としての区切りもちょうどいいけど、そういう節目を超えると「ここからどうしようか?」と思うじゃないですか。LiSAさんももうすぐ15周年という区切りがきますけどどうですか? 私は最近変わっていきたいなとすごく思っていて。変わることを恐れたくないんです。私たちの仕事ってすごく変化が見える職業じゃないですか。そこに対してあまり怯えたくないし、10年経ってなお変化していたい。そのうえで、たぶん変われないところも絶対にあると思うし、それがなんなのかを知りたいから、そのためにいっぱい動いてみようっていう。LiSAさんもいろいろ変わってきてますよね?

LiSA そうだね。ちょっと話題はズレるかもしれないけど、私は心配性でよかったなと思う。すごく心配性だからめっちゃやるし、めっちゃ考えるし、めっちゃがんばるし、だからおせっかいだし。でも、一生不安だからやり続けられるんだなとも思う。それがいいことだと自覚したのは最近かな。だから、「これでいいのだ」ってハンコを押しながら、今はツアーを回っているところ。そういう意味では、私もまだ変わらないものがなんなのかの答えを探している最中なのかも。

LiSA

LiSA

Reol 心配性っていうのは意外ですね。だって、いつも覚悟を決めた目つきでステージに立っているから。私、武道館公演をやる前に、LiSAさんが初めて武道館に立ったときのBlu-rayを買って観たんです。

LiSA えっ、本当に?

Reol 途中で声が思うように出なくなっちゃいますけど、あの日のコンディションって当人はわかっているわけじゃないですか。なのに、覚悟が決まった表情でステージに立ってる。やっぱり腹のくくり方がすごいし、そこが選ばれし者って感じで。普段のLiSAさんは心配性かもしれないけど、「いくぞ!」と思ったときの潔さは目を見張るものがあるなと思うんです。

LiSA 確かにその通りで、ステージに立つときだけは全部背負って裸ん坊かもしれない。

Reol あと、最近のLiSAさんはしなやかさが増し増しな感じがあります。パフォーマンスも歌い方も、初期とかそれこそ初武道館の頃の勢いやパワーで押し切っているのもすごくいいけど、今はそこにしなやかさや優雅さが加わった気がして、その緩急で泣けるんです。

LiSA 最後まで壮大なLiSAプロモーショントークになっちゃったね(笑)。

Reol だってツアー中なのに対談を快く引き受けてくださって……本当にありがとうございます!

LiSA こちらこそです。そう、こうやって1つひとつ誠実なんですよ、Reolちゃんは。お誘いしたことに対してもそうだし、私が言ったこともやったことも全部深く受け止めてくれる。

Reol だってLiSAさんの言うことが印象的だから。自分の中にフックがあって、それが勝手に引っかかっていくから私は咀嚼しているだけ。でも、普段の会話も今日の対談みたいな感じですよね。

LiSA うん。こういう話をずっとしてるね。

──すでに1時間以上経っていますが、そりゃ終わらないわけですよ(笑)。

LiSA そう、終わらないんです(笑)。

Reol いつも眠くなったら解散するので。

LiSA 私、全然Reolちゃんのプロモーションできてないけど大丈夫?

Reol いやいや、これでいいんです!

左からReol、LiSA。

左からReol、LiSA。

Reol 公演情報

Reol Oneman Live 2025 カルチュア・カリキュラム

  • 2025年1月19日(日)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2025年1月24日(金)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2025年2月2日(日)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)

Reol ワンマンライブ(タイトル未定)

2025年11月9日(日)神奈川県 横浜アリーナ

LiSA 公演情報

ソニー銀行 presents LiSA LiVE is Smile Always~COCKTAiL PARTY~ [SWEET&SOUR]

  • 2024年9月14日(土)大阪府 大阪城ホール(※SWEET)
  • 2024年9月15日(日)大阪府 大阪城ホール(※SOUR)
  • 2024年9月21日(土)愛知県 ポートメッセなごや 第1展示館(※SWEET)
  • 2024年9月22日(日・祝)愛知県 ポートメッセなごや 第1展示館(※SOUR)
  • 2024年9月28日(土)神奈川県 横浜アリーナ(※SWEET)
  • 2024年9月29日(日)神奈川県 横浜アリーナ(※SOUR)
  • 2024年10月19日(土)北海道 真駒内セキスイハイムアイスアリーナ(※SWEET)
  • 2024年10月20日(日)北海道 真駒内セキスイハイムアイスアリーナ(※SOUR)
  • 2024年11月3日(日・祝)福岡県 マリンメッセ福岡 A館(※SWEET)
  • 2024年11月4日(月・振休)福岡県 マリンメッセ福岡 A館(※SOUR)
  • 2024年11月16日(土)宮城県 セキスイハイムスーパーアリーナ(※SWEET)
  • 2024年11月17日(日)宮城県 セキスイハイムスーパーアリーナ(※SOUR)
  • 2024年11月30日(土)東京都 国立代々木競技場第一体育館(※SWEET)
  • 2024年12月1日(日)東京都 国立代々木競技場第一体育館(※SOUR)
  • 2024年12月14日(土)福井県 サンドーム福井(※SWEET)
  • 2024年12月15日(日)福井県 サンドーム福井(※SOUR)

プロフィール

Reol(レヲル)

シンガーソングライター。2012年より動画共有サイトにて歌唱動画や自身が作詞を手がけた楽曲を投稿し始める。2015年7月、れをる名義でソロアルバム「極彩色」をリリース。2016年3月にはサウンドクリエイターのギガ、映像クリエイターのお菊とともにユニット・REOLとしての活動をスタートさせ、同年10月にはアルバム「Σ」をリリースした。2017年8月にユニット・REOLの“発展的解散”を発表。同年10月に行われたラストライブ「REOL LAST LIVE『終楽章』」をもって、ユニットとしての活動に終止符を打った。2018年1月にはReol名義で“再起動”することがアナウンスされ、活動を再開。同年10月に1stアルバム「事実上」、2020年1月に2ndアルバム「金字塔」、2022年11月にはシングル「COLORED DISC」を発表。2023年10月には3年9カ月ぶりとなるフルアルバム「BLACK BOX」をリリース。2024年8月に初の東京・日本武道館ワンマンライブを行った。同年11月にテレビアニメ「青の祓魔師 雪ノ果篇」のオープニングテーマ「RE RESCUE」を収録したEP「秘色録」を発表。2025年11月9日に神奈川・横浜アリーナで単独公演を開催する。

LiSA(リサ)

6月24日、岐阜県生まれのボーカリスト。2011年4月にLiSA名義のミニアルバム「Letters to U」でソロデビューを果たす。2020年には映画「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」の主題歌「炎(ほむら)」で「第62回日本レコード大賞」大賞を受賞。デビュー13周年を迎えた2024年4月に東京・日本武道館で2DAYSワンマンライブ「LiVE is Smile Always~i SCREAM~」を開催。5月にテレビアニメ「魔法科高校の劣等生」第3シーズンのオープニング主題歌「Shouted Serenade」、8月にテレビアニメ「NieR:Automata Ver1.1a」第2クールのオープニングテーマ「ブラックボックス」、10月にテレビアニメ「シャングリラ・フロンティア」2nd season 第1クール オープニングテーマ「QUEEN」を配信リリースした。9月から全国8都市を回るアリーナツアー「ソニー銀行 presents LiSA LiVE is Smile Always~COCKTAiL PARTY~ [SWEET&SOUR]」を開催中。