ナタリー PowerPush - 高城れにのKing of Rock! #03

ロックの申し子・高城れに 単独ラジオ番組を徹底解剖

事の発端は、4月21日・22日に開催されたももいろクローバーZの横浜アリーナ2DAYS公演「ももクロ春の一大事2012 横浜アリーナまさかの2DAYS」にさかのぼる。公演1日目に初披露されたソロ&ユニット曲を多く手がけた前山田健一は、4月23日にTwitter上で「今回のももクロオールスターズ用に書き下ろした3曲、語ることがたくさんあって自分で書くのが面倒なのでどこかの媒体さん、よければ取材に来てやってください」とつぶやいた。ナタリーではこの発言を受け、彼に取材を申請。このたび、事務所では先輩にあたる"高城れに姐さん"の特集スペースを借りてインタビューの掲載が実現した。

取材・文 / 臼杵成晃 インタビュー撮影 / 笹森健一 企画 / 富樫奈緒子

 
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ソロ曲はある意味バトル

インタビュー写真

──今回はですね、前山田さんがももいろクローバーZの横浜アリーナ公演(「ももクロ春の一大事2012 横浜アリーナまさかの2DAYS」)の直後に、Twitterでおっしゃっていたこの発言を真に受けて取材に伺った次第です。

ええ、ええ。半ば呼びつけたようなものなので(笑)。なんでも訊いてください!

──この「ももクロ★オールスターズ2012」、ものすごいアルバムになりましたよね。

名盤ですね。通販限定発売なのがもったいない。

──前山田さんは昨年春のライブ(「4.10中野サンプラザ大会 ももクロ春の一大事~眩しさの中に君がいた~」)にも書き下ろしで楽曲を提供されていて、「あかりんへ贈る歌」と「デコまゆ 炎の最終決戦」は通販限定シングルとして発売され、あーりん(佐々木彩夏)のソロ曲「だって あーりんなんだもーん☆」はアルバム「バトル アンド ロマンス」の初回限定盤に収録されました。今回はその続編と言える展開で。前山田さんの場合は、ファンが初見で反応できる仕掛けを盛り込むのがこのシリーズの定番となっています。

そうですね。ヲタさんが即興で反応できるというのを主眼に置いて。ソロ曲はそれぞれ作家が別なので、自分の中ではある意味バトルなんですよ。俺が一番獲ったるでー、っていう気持ちがやっぱりありましたね。

「あーりんは反抗期!」は難産だった

──あーりんソロは2作連続で前山田さんプロデュースということになりました。

「だって あーりんなんだもーん☆」はすごく好評で、僕の中では1試合目は勝ったと思ってるんですよ。スタッフさんからも好評で、2曲目も僕でと。いやーこれがね、産みの苦しみがすごかったですよ。前作は自分にとってもベストワークと言える曲になったので。

──まずは自分のハードルを越えなければいけないと。

そうなんですよ! まずアプローチをどうすればいいのか。前回はブリッブリのアイドル路線で、おなじみのコールまで入れて。今回も「さーさき!」「あーりんのこと佐々木っていうな!」を入れることは一番に決まってたんですよね。これは絶対に。

──会場でみんなが初めて耳にしたときの光景は壮観でしたね。まず最初に地鳴りのようなどよめきが起きて、徐々にコールに変わる。「ウオオオオオオさーさき! オイ! さーさき! オイ!」って(笑)。あんな大観衆のうなり声は「PRIDE(総合格闘技大会)」以来ですよ(笑)。

はいはいはい。でもね、曲調については本っ当に悩んで、どうしたものかと。悩みまくって友人に相談した結果「最新で行けば?」って。LMFAOだったりリアーナだったり。みんなには「TKサウンド」って言われるんですけど、それはリアーナとかが90'sエレクトロクラブサウンドに近づいてるからですよ(笑)。

──あまりにしっくりきてるんで、迷いなくすんなりできたのだとばかり思ってました。

どんなサウンドでも、あーりんが乗っかればあーりんの曲になるんですよ。そこが彼女のすごいところ。でも、最初にスタッフに聴いてもらった段階のデモでは「パンチが弱い」って言われて、じゃあここはもっと禁じ手の導入だ、オケヒットもDJ KOOも導入だと(笑)。そしたらビシッと締まって。エンジニアもそっち方面に特化した方にお願いしたんですよ。そして歌詞も「こーき こーき」「バーグ バーグ」。ムチャクチャですよ。

──「バーグ バーグ」は新たなキラーフレーズになりましたね(笑)。

今ではあーりんも「バーグちゃん」と呼ばれるようになって(笑)。2012年のももいろクローバーZのあーりんを描いた、言わばキャラソン第2弾ですね。難産でしたけど、うれしかったのが「前回のほうが良かった」って声があんまりないんですよ。ジャンルは違うし、コールも楽しいし。今日は「TKオマージュもありつつも、最新サウンドを意識してるんだぞ」ということをお伝えしたかったんです!

1年越しで実現した「事務所に推され隊」

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──「反抗期」というテーマは即決ですか?

ですね。この曲もユニットの2曲も、僕が作った3作品は全部本人たちにインタビューして、エピソードをノートに書き留めておいて。あ、今日そのノート持ってるかも(バッグからノートを取り出す)。これですこれです。

──おおお。

ちゃんとペンも色分けしてんですよ。このピンクがあーりんですね。「プリクラNG」とか。

──とにかく母親からの抑制に対する不満がずらり(笑)。

そしてこっちの緑と紫が推され隊。「とばっちりはいつも私」「スタッフに剥がされた」とか、全部本人たちの言葉ですよ。

──有安杏果&高城れにの「事務所に推され隊」。このユニットもすごい盛り上がりでしたね。

これは1年越しのオファーなんですよ。1年前は2人とももっと推されてなかったんです。最初のオファーも「でこまゆ作ってください」「桃のソロを」「赤と黄でも何かできないですか」で、「緑と紫は?」って訊いたら「ないです」って(笑)。あまりにかわいそうだったんで「緑と紫の曲がないなら、ほかはちょっと……」ってゴネてみたんです。そのときは叶わなかったんですけど……1年越しでようやく実現しました。

──念願のユニット曲「事務所にもっと推され隊」の歌詞で詳しく書かれていますけど……この扱いはなぜなんでしょうね。2人とも案外ちゃんとしていて気配りも利くから、逆に放っておかれがちなのかなとも思うのですが。

ですよね。いつも後列、PVには映らない……「猛烈宇宙交響曲・第七楽章『無限の愛』」に至っては高城、半透明ですから(笑)。それはある意味推されてるんですけどね。でも「事務所にもっと推され隊」は、ただの愚痴の歌には終わらせたくなかったし、実際に世間を見てみたら2人は決して不人気じゃなくて、すごく均等に人気なんですよ、あの5人は。事務所には推されてなくても、ファンはみんな愛してるぞと。ちょうど横アリでの発表だし、サビは「無数のサイリウム」だなって。でも、ここがももクロの面白いところで。普通アイドルが「事務所に推されてない」なんて言わないですよ。ましてやそれを歌にまで(笑)。ファンもまた、これをネガティブに捉える人は全然いなくて。愛されてますよねー。

──ちなみに、有安さんがセリフでしゃべっている"「デコまゆ」使い回し"説は……実際に意識して?

その……作ってるうちに若干似てきたなと気付いて(笑)。どうしようかなーと思ったんですが「あ、間奏で言わせればいいんだ」と(笑)。そのあとの高城の「アイ・ウォント・オフィス・プッシュ!」はアドリブですからね。好きなこと言って、って言ったらコレ。

ももいろクローバーZ「ももクロ★オールスターズ2012」/ CD販売終了 / iTunes Store

収録内容
  1. 渚のラララ / 百田夏菜子 with ザ・ワイルドワンズ[作詞・作曲:加瀬邦彦 / 編曲:上田健司]
  2. 涙目のアリス / 玉井詩織[作詞:松井五郎 / 作曲・編曲:林哲司]
  3. あーりんは反抗期! / 佐々木彩夏[作詞・作曲・編曲:前山田健一]
  4. 教育 / 有安杏果 with 在日ファンク[作詞・作曲・編曲:浜野謙太]
  5. 津軽半島龍飛崎 / 高城れに[作詞:田久保真見 / 作曲:田尾将見 / 編曲:伊戸のりお]
  6. シングルベッドはせまいのです / ももたまい(百田夏菜子&玉井詩織)[作詞・作曲・編曲:前山田健一]
  7. 事務所にもっと推され隊 / 事務所に推され隊(有安杏果&高城れに)[作詞・作曲・編曲:前山田健一]
  8. 渚のラララ(off vocal ver.)
  9. 涙目のアリス(off vocal ver.)
  10. あーりんは反抗期!(off vocal ver.)
  11. 教育(off vocal ver.)
  12. 津軽半島龍飛崎(off vocal ver.)
  13. シングルベッドはせまいのです(off vocal ver.)
  14. 事務所にもっと推され隊(off vocal ver.)
前山田健一(まえやまだけんいち)

1980年7月4日生まれのソングライター。3歳でピアノを始め、作詞・作曲・編曲を独学で身につける。京都大学を卒業後、2007年に本格的な音楽活動を開始。前山田健一として、倖田來未×misono「It's all Love!」、東方神起「Share The World」などのヒット曲を手がける一方、ニコニコ動画などの動画投稿サイトに匿名の「ヒャダイン」名義で作品を発表し大きな話題を集めた。2010年5月にはヒャダインのブログにてヒャダイン=前山田健一と告白。その後も、ももいろクローバー「行くぜっ!怪盗少女」やアニメ「みつどもえ」関連楽曲などのヒット曲を量産し、2011年4月にシングル「ヒャダインのカカカタ☆カタオモイ-C」でヒャダインとしてメジャーデビュー。2012年5月9日には通算4枚目のソロシングル「Start it right away」をリリースした。