金子ノブアキ&来門インタビュー|RED ORCAのロマンチシズムと現在地を示す5曲 (2/3)

このメンツの中で歌えるのは俺しかいない

──今回の5曲では来門さんが高いキーを多用していますよね。ほかのボーカリストにない魅力ってそこだと思うんです。つまり来門さんのよさをいっそう強調するための曲たちでもあるというか。

金子 それはあります。もっと来てくれ、という感じ。しかも「音源は音源だし、ライブのことはあとで考えればいいから」と伝えていて。

来門 確かに高いですね、どの曲も。20歳ぐらいからバンドをやってきて、今が一番高いキーを出してます。でも高いキーを出すための歌い方があって、そういうことを試せるのがすごく面白いんです。このプロジェクトで進化させてもらえてるし、このメンツの中で歌えるのは俺しかいないだろうと思ってる。あっくんも草間さんも、作ってくる曲の転調がすごいんですよ。違う世界を飛び越えていっているような感覚。場面が変わるたびに歌い方のさじ加減も変わってくるから、そこもすごく勉強になってます。

来門(Vo)

来門(Vo)

──好きなこと、自分に合っていることをやって進化していけるというのは素敵なことだと思います。2曲目の「Buddhism(The shine will comeback)」と3曲目の「grave digger man」はスピードが抑え気味で、攻撃的な曲とはまた違った魅力を感じます。

金子 ドラムンベースの申し子でもあるので、来門は。そこを大事にしたいというのがたびたび話に出ていて。

来門 ドラムンベースの時代がまた巡って来てるからね。

金子 確かに。だから、ヘビーウェイトなドラムンベースの曲を、1作に1曲は入れたくて。草間さんが持ってきてくれた「Buddhism(The shine will comeback)」の原曲がまさにそういう感じで、そこから自分で解釈を深めて、京ちゃんたちに投げました。

来門 コード進行に導かれるようにしてリリックが書けましたね。

俺なりの「grave digger man」

──「grave digger man」についてはどうですか?

金子 この曲もカッコいいですよね。コロナが大変なことになってきた時期に作った曲で、この曲だけギターが全面的に同道くんなんです。来門に対しては、「きれいな音色になってるところほど同調しないでくれ」というリクエストをしました。不特定多数に対しても1人ひとりに対しても投げかけられるラップというか。このトラックを作ったときは、ドラムンベースやクラブミュージックにも精通している来門は乗りこなせるはず、という思いがありました。

来門 乗りこなせましたし、楽しかった。リリックは自分で作るんですけど、タイトルはあっくんが先に決めてくるときもあるんですよ。

金子 仮タイトルって意味も特にないし適当に付けてることが多いけど、妙にカッコいいときがあって。「grave digger man」と付けて来門に送ってみたら「自分の墓は自分で掘る、お前じゃない」という内容のすげえカッコいい歌詞が出てきたんです。

来門 俺は曲のタイトルを付けるのがめちゃくちゃ下手なんです。ものすごくダサいタイトルを平気で付けがち。「スーパー・ダンディ・ボーイ」とか「グレート・アドヴェンチャー・エアライン」みたいな(笑)。ただ、「WILD TOKYO」に収録されてる「Night hawk」だけは自分で付けました。

金子 確かROS(Dragon AshのHIROKIを中心に組まれたバンド。来門も参加している)を組んだときに、来門がNIGHT HAWKSというのをバンド名候補として出したんだよね? HIROKIさんに秒で却下されたと聞いたけど(笑)。

来門 1週間考えた末に出てきたのがそれしかなくて。だから金子ノブアキが“Night hawk”を飛翔させてくれたんです!

左から金子ノブアキ(Dr)、来門(Vo)。

左から金子ノブアキ(Dr)、来門(Vo)。

──そこに落着してよかったですね。リリックの書き手としては、作曲者から提示されるキーワードがあるとイメージが膨らみやすそうです。

来門 そうなんですよ。あっくんはこういう気持ちでこのトラックを作ってきたんだろうな、というのがそのタイトルのひと言から伝わってくる。この曲の場合だったら俺なりの「grave digger man」を書いていく。するとあっくんが「いいじゃん!」と言ってくれる。そういう感じで落着しました。

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不死身の音