Rockstar Games「レッド・デッド・リデンプション2」特集|もはや哲学!熱血ゲーマー・増子直純が体験した「RDR 2」の深淵な世界

もはや哲学、深すぎる「RDR 2」の世界観

──今回は前作の10年前という設定で、前作の主人公だったジョン・マーストンも登場します。さらに今回の主人公アーサー・モーガンは、現役バリバリのギャング団「ダッチ・ギャング」の一員という設定です。

「レッド・デッド・リデンプション2」プレイ画面

もうさ、「スターウォーズ」じゃねえんだからさ(笑)。最高すぎるよ。自分がこれまでプレイしたキャラクターの過去を知るなんて、一番テンション上がるっつーの。すごく興味深いのは悪という概念の考え方だよ。善悪の基準なんて、すごく曖昧でさ。その時代時代に生きてる人間が決めてるわけだよ。前回はちょっと厭世的だったジョン・マーストンも、今回は10歳若い分、より衝動的に動いてる感じがした。何をするにしても判断が早いというか。あれは現代人が失ってしまった獣としての本能だね。

──主人公がギャング団の一員というのもテンションが上がる設定ですよね。

増子直純

この時代背景から言って、貧富の差を逆転するにはギャングになるしかないもんね。すごく哲学的だなと思ったのは、主人公が別のギャング団の人間を捕虜にしたシーンで「俺もお前らも外から見りゃ同じだよ」って言われて「それは違う」って怒るシーン。ギャングみたいなところに所属してると、その異常性が自分たちではわからないものなんだよ。チームごとにそれぞれの正義があるから。だって主人公は自分たちのボスのこと、英語で「Teacher」って言ってたもん。ただの無法者のまとめ役ってことじゃなくて、もっとカリスマ的な指導者ってニュアンスなんだろうな。革命家って言うか。だから当時のギャング団もある種宗教がかった感じだったのかも、って思ったんだ。

──深すぎますね……。

こういうのは人間が集団化すると逃れられない。大きな意味では国とかにも言えることなんだよ。しかも「RDR 2」のギャング団は、背に腹は代えられないような状況の奴らだから、どっちが正しいとかそういうことではない。でも、部外者にしたらみんな同じっていう。ホント、深すぎるよ。そんな感覚を体感できるゲームなんてほかにないと思った。あの捕虜のやつ、スティーブ・ブシェミみたいな顔で全然信用できない雰囲気だったね(笑)。

──PS4版の「GTA V」が出た際の取材で、増子さんは「他人の人生を追体験できることが素晴らしい」とおっしゃってました(参照:有名アーティストもさらに参加!PS4で新登場の「グランド・セフト・オートⅤ」怒髪天・増子直純インタビュー)。それは今回もさらに深化しているみたいですね。

増子直純

俺、ゲームやってて発狂することが多いのね。夜中に奇声を上げたり、コントローラーぶっ壊したりすんのよ。親とか嫁さんには「脳に障害があるんじゃないか」とか言われてて(笑)。近所の人にヤバいやつだと思われてないか不安なんだよね。嫁さんに暴力振るってるんじゃないか、とかさ。でもね、ゲームはそのぐらい入り込まないとダメでしょ。声を上げて後悔するくらい、その選択の重さを感じながらやらないと。だからハマってるゲームがあるときは、バンドなんかやってられないのよ。

──それとこれとは話が別なんじゃ……?

何言ってんだよ。何かを歌ったり表現するときは、全身全霊を込めなきゃ伝わんないんだよ。それと同じで、ゲームやるときも全神経をゲームに埋没させるんだよ。しかも「RDR 2」みたいに広大な世界が用意されてるんだったら、安全な部屋でゲームやってるって感覚じゃなくて、自分も1899年のアメリカの荒野にいるつもりでやんきゃいけない。俺はいつも完全に没入して、真剣に自分と向き合い続けてるわけ。そりゃコントローラーの1つや2つ壊すことだってあるよね。

──本当に大げさな話じゃなくて、これで人生が変わる人もいると思うんですよ。

「レッド・デッド・リデンプション2」プレイ画面

本当にそう思うわ。「RDR」や「GTA」シリーズにスーパーマンは1人もでてこない。だからより実人生に近いし、ものすごくいろんなことを学べる。技術を磨けばどうにかなるってタイプのエンターテインメントではないんだよね。映画以上に作り込まれた世界が用意されてて、そこに参加できるわけだよ。そりゃ経験しないともったいないでしょ。携帯ゲームに課金するより、よっぽどリーズナブルだと思うわ。エンターテインメントとして何歩も先に行ってる。まるっきり違うものだよ。みんなそろそろ認識を変えたほうがいい。

増子直純(マスコナオズミ)
ロックバンド・怒髪天のボーカリスト。1984年に地元北海道・札幌で怒髪天を結成し、1991年にアルバム「怒髪天」でクラウンレコードよりメジャーデビューを果たす。1996年から約3年間バンド活動を休止するも、1999年の再始動後は独自のスタイル“JAPANESE R&E(リズム&演歌)”を確立し、再び注目を集める。2004年にテイチク内IMPERIAL RECORDSに移籍。テレビCMなどメディア露出の増加により知名度を全国区に広げた。人情深い性格でバンド仲間からの信頼も厚く、“増子兄ィ”の愛称で親しまれる。大のゲーム好きとしても知られており、新旧さまざまなゲームに造詣が深い。
怒髪天「夷曲一揆」
2018年7月11日発売 / テイチクエンタテインメント
怒髪天「夷曲一揆」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
4104円 / TECI-1589

Amazon.co.jp

怒髪天「夷曲一揆」通常盤

通常盤 [CD]
3240円 / TECI-1590

Amazon.co.jp