音楽ナタリー Power Push - ЯeaL

SNS世代の本音ぶちまける「仮面ミーハー女子」

曲のことをこんなにも理解してくれたんだ

──「仮面ミーハー女子」のミュージックビデオの監督は、星野源、KANA-BOON、ユニコーンなどの作品を手がけてきた山岸聖太さん。ストーリー性のある短編映画みたいな作品ですね。

Ryoko はい。めっちゃ好きですね、このMV。企画書を見せてもらったときも「このままお願いします! ありがとうございます!」って感じだったし、できあがったMVをメンバー全員で観て「おー!」って盛り上がって。「曲のことをこんなにも理解してくれたんだ」って思ったし、まさに私が思い描いていた世界観だったので。海に突き落とすシーンとか、最強ですね。

──主人公の女の子が、海辺でデートしているさわやかカップルを海に突き倒していくっていう……。

Fumiha 男の子の胸ぐらをつかんでましたからね(笑)。キャストの皆さんも体を張ってくれて。

Aika 観たあとはスッキリしますね(笑)。

Yurika 私はちょっと怖かったです……。

Ryoko 投げられる側の立場で観るからや(笑)。ぜひ、このMVを観てストレス発散してほしいですね。

Ryokoのムチャ振りアレンジ

──カップリング曲「星が見えないこの街で」についても聞かせてください。サウンドはヘビーで、アレンジもかなりぶっ飛んでいて、強烈な曲ですね。

Yurika この曲も「仮面ミーハー女子」のようにテンポが速いし、今までやったことがないような速弾きのフレーズもあって。手が追い付かないです(笑)。

Ryoko ギターやベースのフレーズはメロ重視というか。デモの段階では鍵盤で作ってるんですよ。テンポチェンジも強引にやってるし、メンバーにはかなりいろんな要求をしちゃいましたね。いろんな意味で破壊的な曲だと思います。

Fumiha ベースに関しては「ここはスラップで」くらいでしたけどね。あとは自分のやりやすいようにやってます(笑)。

Aika プリプロのときはアレンジャーさんとRyokoからめちゃくちゃ言われましたけどね。「そんなん無理やねんけど」っていう要求がどんどん来て。

Yurika しかも、Ryokoのムチャ振りにアレンジャーさんの手が加わるから、「これならギリギリやれる」という感じになっちゃうんですよ。

Aika ホントにギリギリやけどな。

──当然、ライブでもやるんですよね。

Yurika そうですね。怖い……。

Ryoko 歌も難しいんですよ。楽器のこともそうですけど、自分が歌うことも考えないというか、作ってるときはいい曲にすることだけを意識してるので。だから、いきなりキーが上がったりするんです。「星が見えないこの街で」は息継ぎするところがないから、肺活量を増やしておかないと(笑)。でも、そうやってハードルを上げることが自分たちの成長につながるから、がんばってライブでやります。

──3曲目の「レモンスカッシュ」はポップに振り切ったナンバー。1曲目、2曲目とはまったくテイストが違いますね。

Ryoko 真逆ですね。

Yurika めちゃポップですからね。この曲は、ワンマンライブで2回やったことがあるんですよ。

Ryoko 高校2年のときに書いた曲なんですけど、コアなファンの中ではわりと有名で。今回のシングルはリード曲と2曲目がゴツイから、息抜きになるような曲を入れたかったんですよね。

Fumiha これは涼しい顔で演奏しました(笑)。

Ryoko 「仮面ミーハー女子」で駆け抜けて、「星が見えないこの街で」でゴツさを出して、最後に「レモンスカッシュ」でさわやかになる。

Aika で、「もう1回聴こう!」ってなるな。

Ryoko ЯeaLにはいろんな面がありますからね。ゴリゴリの2ビートの曲もあるし、こういうポップな曲もあるし、みんなで飛び跳ねる曲もあるし、コール&レスポンスができる曲もあるし……。で、シングルでいろんな部分を出すというのが、1つの目標なんです。

ちゃんと売れて、見返してやる

──メジャーデビュー、2ndシングルのリリースを経て、2016年後半はどんな展開になりそうですか?

Ryoko 次のシングル、アルバムに向けて制作もやってますが、今年が終わるまでにライブが注目されるバンドになっていたいですね。楽しいし、盛り上がるし、面白いしみたいな。関西人なので「面白い」って言われたいんですよ。「ЯeaLのライブはヤバいよ。面白いよ」って。あと、ガールズバンドというだけで食わず嫌いしている人もいるんじゃないかなって思うんです。でも、モッシュとかするような男性のお客さんにも絶対に届くと思うんですよね。

──そういう偏見みたいなものってあります?

Fumiha あります、あります。ビンビン感じてます。

Ryoko 最近は対バンライブとかで私たちの思いや熱さをわかってくれる人も増えてますけど、以前は全然友達のバンドがいなかったんですよ。「調子に乗ってる」って言われることもあったし、バカにされることも多かったので。

Fumiha 「どうせ大人がついてるんだろ」とかね。

Ryoko 「オーディションで組んだバンドでしょ」って言われたり。そういう悔しさが曲にもなってるし。

Fumiha だからヒネくれちゃったんですよ、Ryoko。

Ryoko いや、もともとヒネくれてるから(笑)。バカにされても媚びるつもりはなかったし、「ちゃんと売れて、見返してやる」という気持ちは4人共持っていますね。

Aika とりあえずライブに来てほしいんですよね。

──カッコいいライブを見せれば、偏見や誤解も一発でひっくり返せるはずだと?

Ryoko はい。そのために、今からコツコツがんばっていこうと思ってます。

「仮面ミーハー女子」MV監督

山岸聖太 コメント
山岸聖太

わざわざ口に出したり、SNSに書いたりもしない。心の中にとどめておく言葉や感情が、ある日、妙な形で爆発してしまうかもしれない恐怖を抱えながら生きるのはしんどいですから、そんな感情をもし抱えているのであれば、どんどん裏アカでぶちまければいいと個人的には思います。この曲はそんな人たちにとっての“共感ソング”な気がします。MVはできるだけ歌詞に忠実に女の子の二面性を描く事を目指しました。日頃の暮らしの中で「こいつら海、突き落としてえー」って思ったこと、何度もあります。その願いをついに叶えることができました。

山岸聖太(ヤマギシサンタ)
1978年生まれの映像ディレクター。これまでにユニコーン、ASIAN KUNG-FU GENERATION、乃木坂46、KANA-BOON、星野源らの楽曲のミュージックビデオを制作している。星野源、大原大次郎とともに結成した映像制作ユニット山田一郎でも活躍。2017年2月に初の長編映画監督作「傷だらけの悪魔」の公開を控えている。

「仮面ミーハー女子」MV主演

阿知波妃皇 コメント
阿知波妃皇

今回“仮面ミーハー女子”役をやらせていただくことになって、事前に山岸監督からどういう役なのか説明いただき、曲を聴いた際に共感してる自分がいました。高校生活はわりと楽しく過ごしていたほうだと思うのですが、学校が終わって帰宅してからはパソコンが友達だったし、学校出たらみんな他人だよなあとか思っていた気がします。

私がこの曲の中の好きな歌詞は「何人友達がいたって一人きり」というところです。撮影現場では私が最年長だったので、“おじさん感”が出ないようにがんばりました。山岸監督の世界観がとても素敵だと思っていたのでMVで携わることができてとてもうれしかったし、またご一緒できるようにがんばりたいです。

ЯeaLの皆さんもフレッシュで、撮影が終わるまで外で待っていてくださったり、気軽に話しかけてくださって素敵なバンドだなと思いました! 仮面ミーハー女子は今のこの時代だからこそみんなが共感できる歌詞だと思うし、時代が進んでも聴きたくなるような曲だと思います!

阿知波妃皇(アチハヒコ)
1993年生まれ。「KERA」「CUTiE」「ゴシック&ロリータバイブル」といったファッション誌でモデルを務める一方で、CMや映画にも出演している。MY FIRST STORY、SawanoHiroyuki[nZk]らの作品のミュージックビデオにも参加。2015年11月には初主演映画「チェーンブレイカー」が公開された。
ニューシングル「仮面ミーハー女子」2016年8月3日発売 / 1300円 / SECL-1966 / SME Records
「仮面ミーハー女子」
Amazon.co.jp
収録曲
  1. 仮面ミーハー女子
  2. 星が見えないこの街で
  3. レモンスカッシュ
  4. 仮面ミーハー女子 ~Instrumental~
2ndシングル「仮面ミーハー女子」リリース記念インストア&アウトストアイベント
2016年8月6日(土)大阪府 ディスクピア日本橋店
[第1部] OPEN 13:30 / START 14:00
[第2部] OPEN 16:30 / START 17:00
2016年8月7日(日)大阪府 タワーレコード難波店
[第1部] OPEN 15:45 / START 16:00
[第2部] OPEN 16:45 / START 17:00
2016年8月14日(日)東京都 Shibuya eggman
OPEN 11:30 / START 12:00
ライブ情報
Escapism vol.4
2016年8月31日(水)東京都 Shibuya Milkyway
OPEN 18:00 / START 18:30
<出演者>ЯeaL / 赤と嘘 / Unfitcooder / WTCヤンチャ倶楽部 / and more
ЯeaL(リアル)

Ryoko(Vo, G)、Yurika(G, Cho)、Fumiha(B, Cho)、Aika(Dr, Cho)からなるガールズバンド。2012年12月、当時中学3年生だった4人によって結成され、関西圏を中心にライブ活動を開始する。2013年には「eo Music Try」の決勝大会に進出し、2014年7月には大阪・阿倍野ROCKTOWNで行われた初のワンマンライブのチケットを完売させ、12月には初の全国流通盤「Change Your ЯeaL」を発表するなど注目の存在に。また2015年8月にはオーディション「出れんの!?サマソニ!?」を勝ち上がり「SUMMER SONIC 2015」に出演。4人の高校卒業月となる2016年3月、シングル「秒速エモーション」でメジャーデビューを果たす。8月に2ndシングル「仮面ミーハー女子」を発表。