「京都音楽博覧会2017 IN 梅小路公園」特集 くるりインタビュー|11年目の音博は“生歌謡ショー” 未開の領域へと足を踏み入れた理由

ホンマ僕らデタラメですよね

──音博の少し前にライブDVD / Blu-ray「くるくる横丁」も発売になるのでこちらのお話も伺えればと思うのですが、作品に収録される「チミの名は。」ツアーはどんなツアーでしたか?

佐藤 これもあんまり覚えてなくて(笑)。でも、バンドメンバーも7人編成っていう大人数で回ってね。最近全然やってなかった曲とかもいっぱいできたんで、すごい楽しんでた記憶はあります。

岸田 このDVDの特典に、結成20周年を記念してオリジナルメンバーが大学の部室で演奏したやつが入ってるんですけど、それが一番よかったです。僕がくるりに持ってたイメージそのまま、みたいな。オマケでそういうの入れてるのがいいなと思いました。ライブの映像集はいっぱい出してるんで、これに限らずいいモンたくさんありますから、好きなの買ってください(笑)。

佐藤 自分がこのツアーで「面白いな」と思ってたのが、オリジナルドラマーの森信行くん。彼が参加してる曲のチョイスがね。

岸田 昔のメンバーが入ったら普通は昔の曲やると思うんですけど、なぜか新しい曲をやってるっていう(笑)。もうホンマ僕らデタラメですよね。面白そうなことはなんでもやってしまう。だから観てる人はわけわからんかもしれないんですけど、僕らはそれなりに楽しみながらやってます。

──実際やられてみていかがでした? 森さんが当時はやってなかった曲を叩かれるっていうのは。

佐藤征史(B)

佐藤 正直言っていいですか? 繁くんとも言ってたんですけど、「もっくんとやるんやったら3人でやりたい」っていう気持ちになりましたね(笑)。もちろんファンちゃんがラッパ吹いてくれてもいいんですけど、違うギターの人がいたりするよりはもっと少人数でやるほうが濃いものになるんじゃないかなっていう気持ちになりました。でも、もっくんはホント、映像で観てるだけで面白いっすよ(笑)。

岸田 天才ドラマーですからね。ホントに天才ドラマーです。

佐藤 だからこそ自分たちが昔やってた感覚で「この曲やりたいな」っていう感情も生まれたわけですし、そういうことも踏まえて観ていただければありがたいです。

くるりの音楽はもう、誰のものでもない

岸田 ……なんか、聞かれたことに対する答えを言えば言うほどに自分らのデタラメさ具合っていうのがあからさまになっていくなあ。

一同 あはははは(笑)。

岸田 いや、デタラメですよ。昔脱退したメンバーが新しいツアーに参加して昔の曲やない、彼が叩いたことない新しい曲をやってるとか、メンバーが去年の音博に客として観に来てるとか。

佐藤 確かになあ(笑)。

手前から岸田繫(Vo, G)、佐藤征史(B)。

岸田 俺が田島貴男(ORIGINAL LOVE)さんの曲の管弦のアレンジを黙々と書いてるとかさ。いろいろデタラメなんですけど、でも大体みんなそういうことっていうのは「やったらアカン」と思ってるからやらないだけやと僕は思ってて。それは例えば「不倫をしたらアカン」とか「こういうことを言うと人は傷付くから言ってはいけない」とかね。そういう最近の世間のムードには堅苦しさを感じてます。世の中が便利になればなるほどそういうことが増えていってるような気がしてるんだけど、でも音楽の世界に関しては「何をやろうが楽しければええんやないの?」っていう。外に出るとよくないこともいっぱいあると思うんですけど、くるりの音楽っていうのはもう、誰のものでもないっていう感覚なんですよ。「その“場”のものである」っていう感覚と言いますか。その場の中やったら、自分の書いた曲が誰のものであってもいいし、誰かの曲も自分のものになるし……その敷地内やったら、裸で歩いてて出会ったもん同士がいきなり恋に落ちてもいいんですよ。そんな考え方ができるようになってからは、「くるりはデタラメでいいや」と思って。まあもともとデタラメやったんですけど、よりいろんな可能性を感じられるようになりました。

──すごく自由ですね。

岸田 ロックバンドが「絶対こうだ」って主張するのって、すごいカッコいいと思うんですよ。昨日もYouTubeでくるりがロックバンド然としているときの映像を観て「うわカッコいいわ。これマネできひんな」と思ったしね。今はある意味職業ミュージシャンの集まりみたいな感じになってますから。でも、職業ミュージシャンの集まりにできることっていっぱいあるんですよね。みんなやってないだけで。そういう「普通やったらありえへんでしょ」っていうことを、今はどんどん見つけてやっていってるっていうタームだと思います。期待しておいてください。

──わかりました。

岸田 僕ら、相当なことすると思うんで。

くるり
京都音楽博覧会2017 IN 梅小路公園

2017年9月23日(土・祝)京都府 梅小路公園芝生広場
OPEN 10:30 / START 12:00

  • 出演者 くるり / アレシャンドリ・アンドレス&ハファエル・マルチニ / UA / Gotch(ASIAN KUNG-FU GENERATION) / 田島貴男(ORIGINAL LOVE) / ディラ・ボン / トミ・レブレロ / 二階堂和美 / 布施明 / 京都音博フィルハーモニー管弦楽団
くるり「くるくる横丁」
2017年9月20日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
くるり「くるくる横丁」Blu-ray Disc

[Blu-ray Disc]
6480円 / VIZL-1248

Amazon.co.jp

くるり「くるくる横丁」DVD

[DVD2枚組]
5940円 / VIZL-1249

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収録内容
  1. ワンダーフォーゲル
  2. トレイン・ロック・フェスティバル
  3. 魔法のじゅうたん
  4. 愉快なピーナッツ
  5. BIRTHDAY
  6. Bus To Finsbury
  7. Morning Paper
  8. Tonight is the night
  9. 琥珀色の街、上海蟹の朝
  10. ふたつの世界
  11. 京都の大学生
  12. 帰り道
  13. Long Tall Sally
  14. Superstar
  15. ロックンロール
  16. Ring Ring Ring!
  17. HOW TO GO
  18. The Veranda
  19. 遥かなるリスボン
  20. 春風
  21. 夜行列車と烏瓜
  22. ワールズエンド・スーパーノヴァ
  23. Liberty&Gravity
特典映像

「くるりの20 回転ワープ」from SPACE SHOWER TV

─公開練習─

  1. 尼崎の魚
  2. Jam Session
  3. 7月の夜
  4. 夜行列車と烏瓜
  5. モノノケ姫
  6. ばらの花
  7. GO BACK TO CHINA(イントロ)
  8. ARMY
  9. 東京
くるり
くるり
1996年に立命館大学の音楽サークル「ロック・コミューン」内で岸田繁(Vo, G)、佐藤征史(B, Vo)、森信行(Dr)により結成。その後メンバーチェンジを経て、2011年からは岸田、佐藤、ファンファン(Tp, Key, Vo)の3人編成で活動している。1998年10月にシングル「東京」でメジャーデビューを果たして以降、2016年7月にシングル「琥珀色の街、上海蟹の朝」をリリースするまで11枚のアルバムと34枚のシングルを発表した。同年9月には、結成20周年を記念したオールタイムベスト「くるりの20回転」をリリースする。なお2007年9月に主催イベント「京都音楽博覧会」をスタートさせたり、「ジョゼと虎と魚たち」「奇跡」といった映画作品の音楽を担当したりと、その活動は多岐にわたる。2017年5月には、岸田による交響曲「交響曲第一番」の初演の模様を収めたCD「岸田繫『交響曲第一番』初演」が発表となった。9月には全国ツアー「チミの名は。」の模様を収めたBlu-ray / DVD「くるくる横丁」がリリースされる。