「王道に捉われない王道」を進むメンズアイドルグループPROUDIeS、ファンへの思い詰まった2ndシングルリリース

7人組メンズアイドルグループ・PROUDIeSの2ndシングル「君といつも、いつまでも」が11月29日にリリースされた。

PROUDIeSは2019年に結成されたメンズアイドルグループ。現在は天然すい、坪井海斗、とうり、はるかわれんや、ゆっけ、日向陽葵、百瀬陸の7人で活動している。「君といつも、いつまでも」は、ファンに向けたメッセージが込められた歌詞やキャッチーなサビのメロディが印象的な楽曲。音楽ナタリーでは2ndシングルの発売に際して、天然、坪井、とうり、はるかわ、ゆっけの5人にインタビューし、グループに加入した経緯や「君といつも、いつまでも」の聴きどころについて聞いた。

取材・文 / 真貝聡撮影 / KOBA

磨かれていく宝石の原石たち

──所属されている音楽レーベル・rock fieldのメンズアイドルだと、音楽ナタリーにはBLACKSHEEP SYNDROME.や秘密結社ニルヴァージュ∀などにご登場いただいたことがありまして。2組ともロック色の強い男っぽい雰囲気のアイドルなので、PROUDIeSのキラキラした感じは新鮮です。

はるかわれんや 確かに、rock fieldにいるメンズアイドルって、バンド系サウンドのグループが多いですよね。

坪井海斗 今のメンズ地下アイドル界隈ではロック系やかわいい系が流行っていて。逆に、僕らのような王道路線のグループは珍しいかもしれないです。

はるかわ 犬や猫とか、動物をコンセプトにしてるグループも多いよね。

天然すい ちょっと媚びた感じのね。

坪井 おい、言い方!(笑)

天然 ハハハ(笑)。媚びてるというか「よしよし」したくなるようなアイドルが多いなって。

坪井 そんな中、僕たちは王道アイドルではありつつキラキラしているだけでもないので、そういう部分が新しいなと思ってます。

PROUDIeS

PROUDIeS

──グループを結成したのは2019年ですよね?

坪井 そうです。ただ、結成してから現在までメンバーの入れ替わりが多くて、グループの中では僕が一番先輩なんですけど、期で言うと2期生なんですよ。ちなみに1期生が事務所の社長です(笑)。

──今は何期生までいるんですか?

坪井 4期までですね。ただ、ゆっけくんはもともと先輩グループで活動していたんですよ。なのでいろいろと複雑な感じではあります(笑)。

見ていたら元気が出る存在になりたい

──それではグループの活動歴が長い坪井さんから順番に、加入した経緯を聞かせてください。

坪井 僕が会社員だった頃、なにわ男子さんやほかのジャニーズグループとか、自分よりも年上のジャニーズJr.の人が輝いているのを見てうらやましいなと思ったんです。自分も「この人を見ていたら元気が出る」と思われる存在になりたいと思って、2019年11月29日にPROUDIeSへ加入しました。

──加入のきっかけはスカウトですか?

坪井 いえ、自分で調べて応募しましたね。「給与明細」というテレビ番組を観ていたら、事務所の社長とゆっけさんのいたグループが密着されていて。番組ではアイドル業界の黒い部分だけが取り上げられていたんですけど、僕には魅力的に見えたんです。それで「このグループに入りたいな」と思って応募しました。

坪井海斗

坪井海斗

──「給与明細」って世の中のリアルな部分に踏み込んでいく内容ですよね。どこに魅力を感じたんですか?

坪井 それまで僕は、みんなが知ってるような有名アイドルしか知らなかったんですよ。番組を観たときに、メンズ地下アイドルはテレビで活躍するアイドルよりも、お客さんとしっかりコミュニケーションを取れるのがいいなって。アイドルとお客さんの距離が近い分、より人のために輝けるかなと思いました。

──それで会社員を辞めて加入したんですか?

坪井 そうですね。

──いきなりですか? 最初はアイドル業と並行していたわけではなくて?

坪井 えっと……これは言ってもいいのかな? 会社員を辞めてアイドルになりたいと思ったんですけど、生活費のこともあるし、すぐには踏み出す勇気がなかったんです。なので4カ月ほど歌舞伎町でホストをやりまして、ある程度のお金を貯めてからアイドルになりました。

──そのルックスがあれば、ホストで稼げたんじゃないですか?

坪井 始めて1週間で100万は余裕で行きました(笑)。

──そっちでやっていこうかなと、心が揺らぐことはなかったですか。

坪井 それはなかったです。ホストはちょっとお客さんとの距離感が近すぎるのもあったし、そもそもアイドルになりたくて夜の仕事を始めたので、気持ちは変わらなかったです。目的がお金だけならホストをやりますけど、お金じゃ得られないものが欲しかった。きれいごとに聞こえるかもしれないですけど、本当にそう思ったんですよ。

──ゆっけさんはどういう流れで、グループに加入したんですか?

ゆっけ 大学生の頃、普通の仕事はしたくなかったので、みんなが就活してる時期にいろんな芸能プロダクションのオーディションを受けていたんです。それでとある事務所に合格して、そこで3年ほど舞台役者をやってました。ただ……舞台役者の仕事だけでは、ぶっちゃけ稼げないし食っていけないんです。周りの先輩方を見ていても、お金で苦労している人がほとんど。食っていけないんじゃ、正直この世界で生きていけないと思うようになっていたんですね。そんなとき、メンズ地下アイドルというジャンルを知りました。最初は稼げるとかは気にしてなくて。ゆくゆくはミュージカル俳優になりたかったので、「歌と踊りを経験するためにアイドルもいいかな」と思ったんです。そしたら、運よく今の事務所の社長に声をかけていただいて、アイドル活動を始めることになりました。最初は歌と踊りのスキルを身に付けたらすぐに辞めようと思っていたんですよ。でも、やってみたら楽しい気持ちが強くなって、今も続けてる感じです。

ゆっけ

ゆっけ

──社長とはどこで知り合ったんですか?

ゆっけ フリーランスで活動していた頃、社長がいた事務所に僕もお世話になったことがあって。しばらくしてから社長に「独立してアイドルグループを作ろうと思うんだけど、一緒にやらないか?」と声かけていただきました。それで2018年から2020年になるまで別のアイドルグループにいて、2020年の年末にPROUDIeSへ誘ってもらいました。

──誘われたときの心境はどうでした?

ゆっけ 社長がいる前で言いづらいですけど、PROUDIeSには入るつもりがなかったんです。なぜかと言ったら、グループのキラキラした方向性に自分が合わないと思ったから。パフォーマンスを見てもやっぱり「自分には絶対合ってない」と思ったんですけど、ほかに行くところもないし、もうここしかないと腹をくくって入りました。でも加入してみて「絶対合ってない」というのは思い込みだったと気付いたんですよ。で、今に至ります。

メン地下のイメージが変わった

──とうりさんは?

とうり 今の事務所が3社目なんですけど、前の事務所を辞めたあと、仲よくしている事務所のプロデューサーに「どこか入れそうなアイドルグループないですか?」と聞いたら、ここの社長を紹介してもらって。「PROUDIeSというグループが新体制になるので、そこに入りませんか?」と誘われて入りました。

とうり

とうり

──そもそも芸能界に入ることになったのは?

とうり 18、9歳のときに六本木でバーテンダーをしてまして。そこにお客さんとしていらっしゃった芸能関係の人から、ある地方で活動しているメンズグループに入らないかと誘われたんです。ただ、当時はアイドルに興味がなくて。SMAP、嵐、AKB48、SKE48という有名なグループを知ってる程度。だけど、気付いたら話に乗せられていたんですね(笑)。右も左もわからないまま「とりあえず配信から始めて」と言われて、SHOWROOMで配信を毎日やりました。そしたら途中で、誘ってくれた事務所ともう1社の事務所が揉めちゃったらしくて「ごめん、あのグループの話はなくなった」って。その時点で300日ぐらい毎日配信を続けてたんですよ。インフルエンザに罹っても毛布にくるまりながら配信したり、そこまでがんばっていたのが急に……。

──いきなり夢が断たれた。

とうり はい。しかも配信で「デビューする」と言ってしまっていたし、けっこういろんな人が配信を観てくれていたのに、デビューの場がなくなっちゃって落ち込んでいたんです。そしたら、たまたま配信を観ていた芸能事務所の社長に「うちに来ない?」と言われて。めちゃくちゃラッキーだと思いましたね。その誘いを受けて、2019年12月23日にアイドルデビューをしました。今日お休みしている、メンバーの百瀬陸とはその頃からの付き合いなんです。ただデビューはしたものの、結局コロナの影響もあり、半年でそのグループは解散しちゃって。6人組のグループだったんですけど「出資してくれる事務所を探して、年下組3人でグループを作ろう」という話になったんです。なんとかお金を出してくれる人が見つかって、またアイドルデビューしたんですけど、そこはパワハラがひどくてけっこう揉めちゃって。最終的には裁判をして、なんとかグループを抜けることができたあと、最初に話したプロデューサーさんに「どこかアイドルグループを紹介してほしい」と言って、2021年3月29日にPROUDIeSに入ることができました。

──はるかわさんは、どういう流れで加入したんですか?

はるかわ 友達がPROUDIeSをはじめとしたメンズアイドルのチェキを撮るスタッフをしていて、その子から「チェキスタをやらない?」と誘われたんです。初出勤の日が年越しライブで、会場へ行ったら社長が声をかけてくれて「スタッフというか、キミはアイドル寄りだよね。一度レッスンに来てみたら?」と言われました。それが2020年の年末ですね。そのときはやる気がなかったので「機会があったら……」みたいな感じで流していたんですけど、ゆっけさんが前にいたグループの子が一緒にPROUDIeSに入るという話を聞いて、その子に誘われて「じゃあ、やろうかな」と思って加入しました。

はるかわれんや

はるかわれんや

──そもそもアイドルに興味はありました?

はるかわ 高校生のときにM!LKのリリースイベントに行ったりしてたので、見ている分には好きだったんですけど、別に自分がやりたいとは思ってなかったです。でも、声をかけられてから「PROUDIeSなら入りたい」と思いました。というのも、自分が抱いていたメン地下(メンズ地下アイドル)の悪いイメージと違ったんです。メン地下は言ってしまえば、ホストみたいなことをしてるのかなと思っていたんです。だけど、チェキスタをしながらメンバーのことを見ていたら「そんなこともないのかな」と、いい意味での心変わりがあって。この人たちとならやってみてもいいなと思いました。

──天然すいさんは?

天然 僕だけPROUDIeSの弟グループのREVERIeSと兼任しているんです。実は、PROUDIeSの新メンバーになるはずだった人が初日のレッスンに来なかったらしく、当日に呼び出されて「兼任してみない?」と言われて、そのまま加入することになりました(笑)。

天然すい

天然すい

──声をかけられたときは、どんな気持ちになりましたか?

天然 PROUDIeSのメンバーとほとんどしゃべったことがなかったんですよ。だから「PROUDIeSの人にとって迷惑じゃないのかな?」と心配しつつ「REVERIeSのメンバーが大丈夫だったらやりたいです」と言って。あっさり了承をもらったので加入しました(笑)。