アイナ・ジ・エンド、CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN、[Alexandros]が参加した配信番組「ポッキー音楽祭」が“ポッキー&プリッツの日”である11月11日からYouTubeで順次公開されている。この企画では応募者の中から選ばれた3組のメンバーが、プロで活躍するアーティストのアドバイスを受けながら楽曲を制作。配信番組はその成果としてライブパフォーマンスを披露するという内容だ。
本特集では同企画での楽曲制作を経たアーティストにインタビュー。また、3日間に分けて行われた収録の模様をレポート形式で掲載する。
取材・文 / 湯澤穂波(P1)、ナカニシキュウ(P2、3)
撮影(インタビュー・レポート) / 曽我美芽
江崎グリコ「ポッキー」ブランドは「ポッキーって、楽器じゃん。」というメッセージを軸に、音楽を愛する人を応援する施策を展開中。その一環である「ポッキー音楽祭」は、数多くの応募者の中から選ばれ、この企画の“仲間”、“一員”となった音楽好き3組とアーティスト3組による配信番組で、“ポッキー&プリッツの日”である11月11日から3週連続で配信されている。参加アーティストはテレビCM「ポッキーって、楽器じゃん。」編にも出演したアイナ・ジ・エンド、CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN、[Alexandros]の3組だ。
アーティストと応募者メンバーは、アイナ・ジ・エンド×とま、CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN×MIA、[Alexandros]×Apatiteという組み合わせ。とま、MIA、Apatiteはポッキーのブランドスローガン“Share happiness!”をテーマに、プロのアーティストから直々にアドバイスを受けながらオリジナル楽曲を制作した。
番組では、とま、MIA、Apatiteがこの企画でアーティストとともに制作したオリジナル楽曲を披露。さらにアイナによる「ハートにハート」、CHO CO PAによる「tradition」、[Alexandros]による「Backseat」という、テレビCM「ポッキーって、楽器じゃん。」編で使用されている楽曲のパフォーマンスも観ることができる。映像の監督は数々のミュージックビデオなどを手がける林響太朗が務めた。
アイナ×とま編、CHO CO PA CO×MIA編はすでに配信済みで、現在動画を公開中。[Alexandros]×Apatite編は11月25日19:00に配信がスタートする。巨大LEDを背景にした大迫力のステージを舞台に、音楽で気持ちがつながる瞬間を期間中、何度でも楽しもう。なお12月2日には3日間の総集編が公開される。
アイナ・ジ・エンド×とま 配信番組はこちら
過去、今、未来を紡いでいく瞬間に立ち会えた
──収録はいかがでしたか?
とまちゃんとは会うのが3回目で、初めて会ったときはすごく緊張されていたんですけど、今日はいろんな関係者がいる中で立派に弾き語りを披露していて。人ってここまで短期間で殻を破れるんだということを目の当たりにできて、素晴らしい企画だなと思いました。今日のバンドメンバーには、BiSHで活動していた頃のサポートメンバーの方がいて、さらに目の前にはBiSHの頃から私を応援してくれているとまちゃんがいて。すべてがエモーショナルというか、過去、今、未来を紡いでいく瞬間に立ち会えた気持ちになりました。
──とまさんにアイナさんがアドバイスをして一緒に楽曲を制作したということですが、どのように曲作りを進めていったんですか?
まずはとまちゃんが2曲持ってきて、弾き語りで聴かせてくれました。そのどちらも唯一無二のワードセンスや世界の見方が本当にすごくて。だから「もっとこの歌を情緒的に表現するとしたら」というアドバイスくらいしかしてないです。例えばギターのコードを1つだけセブンスにして、少し悲しいニュアンスを入れるのはどう?とか。あとはもう本人が一生懸命に練習してくれました。一緒に作ったとは全然言えないほど、とまちゃん1人の力が大きいです。
──2曲制作したんですね。
はい。そのうちの1曲をとまちゃんは今日披露してくれて。もう1曲もすごくよかったので、本人もすごく悩んで決めたと思います。「ポッキー音楽祭」はこれでおしまいだけど、彼女の音楽人生はここから始まるので、もう1曲も改めて紡いでほしいし、「ポッキー音楽祭」を観た人がとまちゃんの音楽をもっと聴きたいと思ってくれたらいいなと思います。披露してくれた楽曲では、自分の“楽しい”という感情を表現したかったんですって。まず自分が楽しんで、その楽しさを広げるっていうのはまさに“Share happiness!”だし、その手段が歌であるというのも素敵だなと思いました。
温かい場所でしか出せない歌声
──とまさんとの制作や収録から、どんな刺激を受けましたか?
私は妹がいて、妹の前ではけっこうカッコつけちゃうんですよ。それが年下の女の子の前でも出てしまう。だから今回もそんなふうに“お姉ちゃん気取り”しちゃうのかな、ダサいなあと思っていたんですけど、とまちゃんはすごく肝が据わっていて、ずっと私のことを応援してくれていることもあってか、私をアイナ・ジ・エンドでいさせてくれたんですよ。“お姉ちゃん”にさせなかった。相手を居心地よくするのは彼女の生まれ持った才能だと思いますが、そこが刺激的でしたね。そういう方だからこそ、あの柔らかい歌声が出るんだな、あの子が棘を持った瞬間の歌声が楽しみだなと思ったりしました。
──アイナさんが披露した楽曲は、CM「ポッキーって、楽器じゃん。」編のために書き下ろした「ハートにハート」。この曲に込めた思いを教えてください。
「目には目を歯には歯を」はいい言葉じゃないけど、それを「愛をもらったら愛で返す」という意味に変えたら、“シェアハピ”に近いと思ったんです。歌詞にはもともと「シェアしてあげる」とか入れていて、あまりにもポッキーすぎると思って(笑)、いろいろ組み替えて作りました。あとポイントは、変拍子。ポッキーってみんなの人生の記憶に絶対に存在していると思っていて。人生は山あり谷ありじゃないですか。そんな紆余曲折を変拍子で表現できたらと考えました。
──最後に「ポッキー音楽祭」の注目ポイントをお聞かせください。
どうやって持ってきた!?と思うような、でっかい画面の前で歌ってます。そういう美術はもちろん、林監督が自ら回したカメラワークにも注目してほしいです。とまちゃんとアイナは、これ以上ないくらい温かい現場で歌うことができて、そういう場所でしか出せない歌声になっているので、私たちなりの愛を感じてほしいです。ほかの配信日のアーティストさんや、参加者の方とはお会いできていないんですよ。だからどんなふうに音楽を紡いできたのか、私もイチ視聴者としてピュアな心で楽しみたいと思います。
憧れの人と一緒に楽曲を制作し、その成果を披露する──それがどんなに特別なことか想像できるだろうか。本企画の参加メンバーに抜擢されたとまさんは、アイナの楽曲のアンサーソングを作ったことがあるほどのアイナファン。彼女のアコースティックギターにはアイナのステッカーが大事そうに貼ってある。
収録当日、多くのスタッフとカメラに囲まれ、真正面では憧れのアイナがこちらを鼓舞している。そんな環境の中、とまさんは緊張感をにじませながらも落ち着いて準備を整え、アイナと数カ月間にわたり制作してきたオリジナル楽曲「19」の演奏を開始した。穏やかな人柄が表れたような優しいアコギの音色とエアリーな歌声がスタジオに響く。最後の1音まで丁寧に、堂々と届けた彼女は、アイナやスタジオ中から大きな拍手を浴び、はにかんだ表情を見せた。
続いてアイナの「ハートにハート」の収録へ。純白のタイトなワンピース姿でバンドメンバーの前に立ったアイナは「今日はバンドが自分のほうを向いていてカッコいい。臨場感があります」とにっこり笑う。ロートーンで始まった彼女の歌声は徐々に熱を帯び、サビではソリッドなバンドサウンドを突き抜けるほどの声量でスタジオの空気を支配。愛おしそうに両手を伸ばしたり、髪を振り乱しながらターンしたり、衝動に突き動かされるようなパフォーマンスも観る者を圧倒した。そして気迫に満ちた表情をフッとゆるませ、テイクを撮り終えるたびに感謝の言葉を述べたアイナ。そんなパフォーマンスの様子を、とまさんは特等席で噛みしめるように観賞した。
その後も収録はアットホームな雰囲気で進行。とまさんが東京ドームで行われたBiSHの解散ライブを観に来ていたことが判明し「エモいね」とアイナが感慨に浸る場面もあった。そして、とまさんの撮影がすべて終了したところで、まもなく20歳の誕生日を迎える彼女へのサプライズケーキが登場。アイナやスタッフが「Happy Birthday to You」を歌って感激するとまさんを祝福するなど、スタジオは最後まで温かな空気に包まれていた。
プロフィール
アイナ・ジ・エンド
大阪府出身。2015年から2023年までBiSHのメンバーとして活動する。2021年に全曲の作詞作曲を手がけた1stアルバム「THE END」をリリースし、ソロ活動を本格的に開始。2022年に日本初上演となるブロードウェイミュージカル「ジャニス」で主演のジャニス・ジョプリン役を務め、2023年に岩井俊二監督による映画「キリエのうた」で映画初主演を務めた。2024年1月に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)でBiSH解散後初のワンマンライブ「BACK TO THE(END)SHOW」を行い、3月からはワンマンツアー「Grow The Sunset」を実施。9月には東京・日本武道館でワンマンライブ「ENDROLL」を開催した。同年11月27日にソロ3rdアルバム「RUBY POP」をリリースする。