Oval|個性×3のバンド力で完成した“究極の9曲”

自分が聴いてきたものの蓄積

mabanua(Dr)

──ちなみに皆さんは時代性をどれだけ意識されているんでしょうか。

mabanua 割合で言ったら、1割ぐらいですかね。残りの9割は自分が聴いてきたものの蓄積から何を出すか。アルバムを作るタイミングになって、ここ2、3年で流行っているものを聴き漁って「何を作ろう?」じゃなくて、例えば10歳から音楽をちゃんと聴くようになったとしたら、自分が25年の中で培ってきたリスナーとしての貯蓄をいかに作品に出すかなんです。そうじゃないと聴いている側は面白くない。厳しいことを言うと、今の音楽のブームも、たぶんあと5年以内には終わると思っていて、そうなったときにどうなるか……Ovallは何年やってたっけ?

Suzuki この3人になってから13年くらいかな。

mabanua 13年やってきたので、向こう20年以上やり続けていく自信はあるんです。そういうスタンスにOvallはなっている。基本的に今のイケていると言われているアーティストとは考え方がちょっと違うのかもしれません。

──制作期間に何をよく聴いていたとか、リファレンスがあってアルバム制作に取りかかったとかっていうわけではないと。

mabanua そうですね。トム・ミッシュとかたぶん言わない。

Suzuki やりたくてもできないもん(笑)。やっぱり音楽を聴くのも好きだから最近の作品も古い作品も聴くけど、いざ作るときに「あの曲っぽいものを作ろう」というのは、まず出てこないかな。

mabanua むしろ3曲目の「Dark Gold」はロイ・ハーグローヴというトランペッターに向けた追悼曲というか、オマージュしているんです。実際に彼の似たような曲があるわけじゃないんですけど、なんかロイハーっぽいニュアンスは入っているんじゃないかな。

Suzuki うん、リスペクト。

mabanua リスペクトを感じてもらえるような曲にしたというか。この3人が知り合ったとき、ちょうどみんな聴いていたのがロイ・ハーグローヴだったので、それをこの曲に入れ込んでみたんです。

ちょっとエヴァンゲリオン感

──ジャケットのイラストは何かを象徴しているんですか?

Ovall「Ovall」ジャケット

Suzuki これは、アートワークをお願いした鷲尾友公さんに完全にお任せしたもので、鷲尾さんのイメージで描いてもらっています。僕らからこうしてほしいという要望はモノクロにしてほしいということ以外言っていない。よく見ると右の方にOvallらしき人が3人いたりして面白いですよね。

関口 ちょっとエヴァンゲリオン感もあるよね。

Suzuki これは使徒っぽいね。

関口 (渚)カヲルくんみたいな人もいる(笑)。

mabanua レコーディング中のお互いの接し方に関しても、自分たちの作品に対してもそうなんですけど、相手に頼んだ以上、ああしてこうしてっていう指示をしたくないんですよ。ちょっと変な上下関係みたいなものができちゃうし、自分たちのカラーを尊重してくれる人と一緒にやりたい。今回、鷲尾さんに音を聴いて描いてもらったんですけど、出てきたもので絶対にOKなはずだって確信があったんですよね。藤城くんに対してもそうだし。人を選んだ時点で完成しているようなところはあると思っています。

Suzuki 細かいことを何も言わないでオファーすることが一番いいものを生んでくれるというか、純度が高いんですよね。こういうのも入れてほしいとか、こういうふうにやってほしいと言うと、やっぱりそこでバイアスがかかってしまうから。アーティストの方に頼むときは、最大限信頼して、リスペクトしてお願いしています。やってもらった以上、本当に自由にしてもらいたいという気持ちはありましたね。

Ovall

──アルバムに入っている楽曲をさまざまなアーティストにリミックスしてもらってDISC 2に収録していることについては、どういった意図があるんでしょうか?

関口 単純に面白いからかな(笑)。「In TRANSIT」のときにも同じようにリミックスで、僕らの曲を料理してもらったこともあるので、その流れでという感じですね。あと、僕らが聴いてみたいというところもある。

──このアルバムを出したあと、どのような活動を構想されているんでしょうか?

関口 2020年3月からツアーがあるのと、4月に大阪、5月に東京で「origami SAI」というレーベルイベントも行います。そこに向けてのライブはもちろんなんですけど、なるべく期間を空けずに次の作品の制作もできたらいいなとみんなで話しています。

Suzuki 僕はシンプルにバンド活動を続けていきたい気持ちがあります。この先、自分たちがツアーをすることができて、レーベルイベントもできて、おそらくフェスとかもこれから入ってくると思うので、そういう活動の中で次の作品を作りたいなという欲求も自然に出てくると思います。

──mabanuaさんのスタジオも完成したということで、より楽曲制作のフットワークが軽くなっていきそうですね。

mabanua そうですね。どんどん曲を上げていかないと……。

Suzuki 回収がね(笑)。

mabanua そう! スタジオ代を回収しなければいけないので(笑)。

※記事初出時、本文中の曲名に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。

ライブ情報

Ovall Tour 2020
  • 2020年3月15日(日)群馬県 Block <SOLD OUT>
    OPEN 14:00 / START 16:00
  • 2020年4月25日(土)福岡県 THE Voodoo Lounge
    OPEN 17:30 / START 18:00
  • 2020年4月26日(日)愛知県 CLUB UPSET
    OPEN 16:30 / START 17:00
origami SAI 2020 Osaka
  • 2020年4月5日(日)大阪府 ユニバースOPEN 14:45 / START 15:30<出演者> Ovall / Kan Sano / Michael Kaneko / mabanua / Nenashi
origami SAI 2020 Tokyo
  • 2020年5月31日(日)東京都 TSUTAYA O-EASTOPEN 14:00 / START 15:00<出演者> Ovall / Kan Sano / Michael Kaneko / mabanua / Nenashi / 関口シンゴ / and more

2019年12月4日更新