音羽-otoha-とは何者なのか?はまじあき(「ぼっち・ざ・ろっく!」作者)、ヒトリエ、野間康介(agehasprings)の証言で紐解く (2/3)

証言者2:ヒトリエ
ヒトリエ

最初は意外だった

──ヒトリエの皆さんが音羽-otoha-さんに出会ったきっかけは?

シノダ(Vo, G) 我々が大阪でライブをしたときに、楽屋挨拶に来てくれたんです。まだ彼女がバンドをやってた頃で。そのときが初対面だったかな。

──2020年8月にヒトリエがベストアルバム「4」をリリースしたタイミングで掲載された音楽ナタリーの特集では、「今聴いてほしいヒトリエの曲10選」というテーマで音羽-otoha-さんから選曲とコメントをいただきました(参照:ヒトリエ ベストアルバム「4」メンバーインタビュー+著名人選曲プレイリスト 企画)。

ゆーまお(Dr) その頃から「影響を受けた」というメッセージを本人から直接いただくようになった感じですね。音羽-otoha-さんはヒトリエと同じようにインターネットシーンから出てきたので親和性はあると思ったんですけど、その頃は交わらなさそうなところで活躍をしていたので、そう言っていただけて、ちょっと意外でした。

イガラシ(B) 自分はもともと彼女がやってたバンドを観に行ったことがあったんですけれど、そのときの印象がけっこうパワフルで。キャンキャンにブチ上げるライブをやられていたんです。そのあとに音羽-otoha-さんとして活動されているときに、ヒトリエに影響を受けているという話を聞いて。自分が観ていたライブの印象に結びつかなかったので、最初は意外でした。ただ、弾き語りでヒトリエの「青」を歌った動画をSNSにアップしてくれていて、それで初めて音羽-otoha-さんとしての歌を聴いたんですけれど、その動画を観たときに「こういうふうに好いてくれていたのか」としっくりきたんですね。彼女はしっかりと自分の世界観を持っていて、その中で「青」を歌ってくれていたので。

──音羽-otoha-さんとの交流はどれくらいあるんですか?

シノダ じっくり話したことはまだないんじゃないかな。

ゆーまお でも、大阪でライブをやるときは毎回来てくださっていて。で、我々も最近音羽-otoha-さんのワンマンライブに行かせてもらいました。

すべてを駆使してお客さんを楽しませようとしているエンタテイナー

──音羽-otoha-さんのライブを観ての印象は?

イガラシ 最初はどんなライブなのか想像できなかったんですよね。バンド時代と近い感じでやるのかなと思ったけど、曲調的に幅広いので同じではないだろうと。実際に観てエンタテイナーだなと思いました。バンドという枠でもないし、ソロのシンガーソングライターみたいな感じでもなくて、すべてを駆使してお客さんを楽しませようとしているライブだった。パフォーマンスも、楽曲も、すごくスケールが大きかったんです。歌唱だけじゃなく指先まで美しく見せるパフォーマンスというか、シルエットもこだわり抜いてる感じがした。そういう意識の向け方が、自分が思ってるスケールよりはるかに大きかったので、ある意味裏切られた感じで。かつて自分が観たライブの印象をはるかに超えていくようなライブをしているし、これからどんどん大きくなっていくんだろうなと思いました。

シノダ 非常に華があるなと思いました。それとフロアを見たら絶対にうちらのライブには来ないような年齢層の小さな子たちが来ていて。すごいところに影響を与えているなと思いましたね。彼女のライブを観て音楽を始めよう、エレキギターを手にしようと思う子供たちが絶対に現れるだろうなという。それぐらいの影響力を感じました。

ゆーまお 小さい子が本当にキャーキャーして観ているというのは、強みでしかないなと思いました。小学生ぐらいの子供たちがあんなふうに熱狂的に観てくれているってことは、10年後もお客さんがティーンエイジャーとか20歳くらいの可能性がある。うらやましいなと思いました。

シノダ そういう人たちを引っ張っていけるアイコニックな存在なんですよね。ある種、偶像的というかキャラクター的というか。そこもしっかりデザインされてる感じがいいなって。

音羽-otoha-

音羽-otoha-

健康で、健やかに、気を病むことなく音楽を続けてくれれば

──音羽-otoha-さんの音楽的な魅力はどういうところにあると思いますか?

シノダ ギタリストであることがいいなと思っていて。幅広い楽曲の中でも、ギターが軸にあるんですよね。曲の中にハイゲインなギターソロがガーンと入ってきたり。そこはギター弾きとしてすごくシンパシーを感じます。

イガラシ 一方でライブを観たときに、ギターヒーローになることをあくまで“ひとつの手段”にできているところがカッコいいなと思いました。ギターをパフォーマンスにおけるマストにしていないよさというか。バンドサウンドに依存しなくていいという。そういう意識でライブをやっているし、曲も作られていると思います。そこに想像以上のポテンシャルを感じましたね。弾いてるギターがまたカッコいいからすごいんですけど。

ゆーまお ジャンルの幅もめちゃくちゃ広いし、バンドサウンドにこだわらなくてもいい。ギターにこだわる必要のない楽曲もたくさん用意してる感じがある。これから先に届けていくリスナーをイメージしている楽曲なのかなと。

シノダ 音羽-otoha-という存在というかキャラクターデザインがしっかりちゃんとできてるから、何をやっても違和感がないというのもある。

ゆーまお 自分の学生時代の頃の感覚で言うと、テレビに出てくるカッコいい歌手の楽曲という印象だったんですよね。ロックというよりJ-POPというか。もちろんロックが軸にある曲をたくさんあるし、これからも作っていくと思うんですけれど、とにかく音が繊細なんですよね。

シノダ モダンな作りをしている。

ゆーまお メロディとか歌詞とかサウンドとか、いろいろ総合的に見て、女性的なきめ細かさ、粒の細かさみたいなものを感じる曲が多いなと。

──それぞれ、音羽-otoha-さんの楽曲の中で個人的な推し曲を挙げると?

イガラシ 「駆落」は一番新鮮な驚きがあって好きです。めちゃくちゃ裏切られたというか、こんなにキラキラした曲も歌うんだと思って。ライブでもこの曲が印象的でしたね。

シノダ 俺も「駆落」ですね。とにかく音がよかったんですよ。ちゃんとスキルアップしてるのが見て取れた。

ゆーまお さっき言った女性的なきめ細かさを感じたきっかけになった曲が「ifのマーメイド」という曲ですね。自分に刺さりやすいタイプの曲だったというのもありますが。

──最後に、この先の音羽-otoha-さんへの期待を聞かせてください。

イガラシ スケールが大きい会場でライブを観てみたいです。そういうところで、幅広い年齢層のお客さんが一様に楽しんでいるようなところを観たい。

ゆーまお がっつりしたサウンドの曲にも期待したいですね。もっとサウンドがハードな曲も歌うようになったら、声もきっと変わっていくでしょうし。これからたくさんの曲を作っていくと思うので、そういう方向の曲にも出会いたいし、ライブでも聴けたらいいなと思っています。

シノダ 健康で、健やかに、気を病むことなく音楽を続けてくれれば。で、いつか共演できたらいいなと思ってます。

プロフィール

ヒトリエ

wowaka(Vo, G)、シノダ(G, Cho)、イガラシ(B)、ゆーまお(Dr)の4人により結成されたバンド。ボカロPとして高い評価を集めていたwowakaがネットシーンで交流のあったシノダ、イガラシ、ゆーまおに声をかけ、2012年に活動を始める。2014年1月にメジャーデビューし、精力的なリリースとライブ活動を展開するが、2019年4月にwowakaが急逝。残るメンバーは3名体制で同年9月より全国ツアーを行った。2021年2月にアルバム「REAMP」をリリース。2021年6月に発表したシングル「3分29秒」がテレビアニメ「86ーエイティシックスー」のオープニングテーマ曲、2022年5月発表のシングル「風、花」がテレビアニメ「ダンス・ダンス・ダンスール」のエンディングテーマ曲に採用される。2022年6月にアルバム「PHARMACY」をリリース。2024年1月にメジャーデビュー曲「センスレス・ワンダー」を再レコーディングした「センスレス・ワンダー[ReREC]」を配信リリースした。9月にメジャーデビュー10周年を記念したワンマンライブ「HITORI-ESCAPE 2024 10-NEN-SAI~日比谷超絶野音~」を東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)で行う。

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