大竹しのぶ「ち・ち・ち」 PR

大竹しのぶ|素晴らしき音楽家たちと“人生”を歌う

大竹しのぶが11月22日にニューアルバム「ち・ち・ち」をリリースする。かつてデビュー間もなかった頃の大竹が先輩俳優から「仕事にあたって大事にするように」と授けられたという3つの“ち”(知・痴・稚)をタイトルに冠したこのアルバムには、鬼龍院翔(ゴールデンボンバー)、高橋優、中村中、佐藤良成(ハンバート ハンバート)、松尾スズキ、玉城千春(Kiroro)、山崎まさよし、森山直太朗ら豪華作家陣が書き下ろした8曲のオリジナル曲と、不朽のスタンダードナンバー「The Rose」「愛の讃歌」の日本語詞カバーという全10曲が収録される。

もはや女優としては説明無用と言える知名度とキャリアを誇る大竹は、2016年の「NHK紅白歌合戦」への出場をはじめ、近年は音楽活動にも精力的に取り組んでいる。音楽ナタリー初登場となる今回のインタビューでは、アルバム制作の舞台裏から本作の2曲目「キライナヒト」にゲストボーカリストとして参加した明石家さんまの話題、知られざる音楽遍歴までを大いに語ってもらった。なお特集の後半には、楽曲提供アーティストからのコメントを掲載する。

取材・文 / 内田正樹 撮影 / 須田卓馬

最初の旦那に向けて歌おうと決めた「願い」

──今回のアルバムには、バラエティに富んだアーティストの皆さんが参加されています。この人選やオファーはどのように?(参照:大竹しのぶ新作に鬼龍院翔、高橋優、山崎まさよし、森山直太朗らが楽曲提供

まずは友達から攻めていきました(笑)。ハンバート ハンバートさんとKiroroの玉城さんとは「初めまして」でしたが、以前から一方的にアルバムを聴かせていただいていたので「もし書いていただけるなら、ぜひ」とお願いして。そのほかの方はもう半ば強引に(笑)。

──例えばマネジメントやスタッフを通してではなく、大竹さんが直接会ったりお電話をかけて依頼をしたりとか?

それは……ありましたね(笑)。(鬼龍院)翔くん、(山崎)まさよしさん、松尾(スズキ)さんあたりは、確かそうしたんじゃなかったかな。

──皆さん、基本的には大竹さんのパーソナルへの当て書きと言うか、大竹さんであり、1人の女性が過ごしてきた人生の中の、どこかの季節のシーンを切り取ったような歌を寄せられています。

大竹しのぶ

そうですね。やっぱり皆さんすごい方々だなあと思いました。

──何曲かについてお伺いしていきます。山崎さんが作詞作曲を手がけた「願い」は、アルバムのリリースに先駆けて、大竹さんがレギュラー出演中のTBS系「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」(10月20日放送回)で歌われていましたね。この曲は、山崎さんが1987年に亡くなられた大竹さんの最初の旦那様(TBSプロデューサーだった服部晴治)をイメージして書き下ろされたということですが。

はい。この曲を渡されたとき、まさよしさんからは「蜷川(幸雄)さんでも(忌野)清志郎さんでも、しのぶさんにとって、今は会えないけどずっと大切に思っている人を思い浮かべながら歌ってみて?」と言われて。歌いながら私の中で密かに、けれどしっかり浮かんできたのは最初の夫でした。そうしたら歌入れのあとに「実はこれ、最初の旦那さんのことを思って書いたんだ」と言われて。びっくりしましたね。

──初期の山崎まさよしナンバーの佇まいもあって、とてもいい曲だと思いました。

ありがとうございます。まさよしさんも「我ながらいい曲が書けたかも」と言っていました(笑)。

メッセージソングのはずがさんま&しのぶの漫才に

──高橋優さんからの提供曲「キライナヒト」は、やはり同日の「金スマ」でその模様が放送された大竹さんの還暦記念パーティ(7月に東京・ブルーノート東京で開催された「大竹しのぶと60人の男たち」)から着想を得たそうですが、そもそもこのパーティはどういった経緯で実現したのでしょうか?(参照:大竹しのぶが鬼龍院翔と「女々しくて」、金スマで豪華すぎる還暦パーティ映像

5年ほど前、仲良しの友達から「もうすぐ還暦じゃん。何か面白いことやろうよ」と言われたので、本当に冗談のつもりで「じゃあ60人の男たちでも集めようか?」と言ったら、なんだか実現しちゃって……(笑)。

──RADWIMPSの野田洋次郎さんや、このアルバムに参加されている鬼龍院さん、山崎さんと一緒に歌のセッションも披露されていたようですね。

大竹しのぶ

あの日集まってくださった役者さんたちや監督さんたちは、もちろん皆さんもれなく素晴らしい方々でしたけど、音楽をやってよかったと思えたことの1つは、ああいう機会の場でライブができたことでした。私にはこんなに素晴らしい音楽の仲間たちもいてくれる。それが本当にうれしくて、とても誇らしく思いました。「金スマ」の放送では、(明石家)さんまさんとのトークがずいぶんと長く使われちゃっていましたけど、本当は編集されちゃっていたセッションのほうをもっと流してほしかったぐらいで(笑)。

──そのさんまさんと大竹さんが当日繰り広げられた、ほとんど漫才のようなトークセッションを会場で観ていた高橋さんから、後日届いた曲がお二人のエピソードで構成された「キライナヒト」だったという(笑)。

そうなんです。私は優さんが歌う社会的なメッセージのロックっぽい曲が好きだから、最初はそういうのを書いてほしいとお願いしていたんです。で、彼も「わかりました。女性の視点から歌えるメッセージソングを書きましょう」と言ってくれていたんです。でも届いてみたらこれだったから「全然違うじゃん!?」って(笑)。びっくりしてすぐ連絡したら「ダメですか? 怒ります? でもあのパーティを見たら、もうこの曲しか浮かばなかったんですよ」と。

別れさえをも笑いにして生きていく

──「キライナヒト」にはなんと、歌と言うか掛け合いのゲストとして、さんまさんもレコーディングに参加されています(笑)。

優さんの作ってくれた仮歌のイントロ、間奏、アウトロに「なんやこれ!」みたいなツッコミが2、3個入っていたんですね。それで「これ、どうしようか?」という話になったので「もう本人呼んじゃってやってもらおうか?」と私が提案して。優さんは「そんな夢みたいなこと!」みたいに驚いていたけど、連絡したらOKしてくれたんです。優さんもレコーディングに立ち会ってさんまさんに「歌を聴きながら思ったことを自由にしゃべって下さい」と伝えたら「わかったわかった」と。で、吹き込んだのがこの曲(笑)。

──収録はなんテイクぐらいやられたんですか?

大竹しのぶ

打ち合わせもナシで、2人そろって通しで1回だけです。だから間も言葉も全部アドリブ。「ここ、うるさ過ぎる」って私がお願いしてカットしてもらった箇所が2、3ありますけど(笑)。

──すごいですねえ。むちゃくちゃ息がぴったりじゃないですか。

そうですか? 

──ある意味、芸能史でありお笑い史に残るナンバーとも言えるんじゃないかと。

そんなことない。私としては彼との掛け合いは、アルバムの“おまけ”ぐらいの気持ちなので(笑)。

──いえいえ、そんなことはないですし、そもそもさんまさんに怒られますよ?(笑)

正直、この曲が届いたときは「やだなあ、歌うの恥ずかしいよ……」と困ってしまいました。でもよくよく考えたら、これは私とさんまさんの「別れさえをも笑いにして生きていく」という関係性をポジティブに許してもらえた曲のように思えてきたんです。さんまさんも優さんも、表現の中で“笑い”という要素をとても大切に捉えているお二人ですし、これで皆さんに笑っていただけるのならばと思い直して。だから優さんには改めて「ありがとう」とお礼を伝えました。ただ娘(IMALU)に聴かせたら「えー、ちょっとうるさーい。優さんの歌で聴きたい」って言ってましたけど(笑)。

大竹しのぶ「ち・ち・ち」
2017年11月22日発売 / Victor Entertainment
大竹しのぶ「ち・ち・ち」

[CD]
3000円 / VICL-64790

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収録曲
  1. Miren
    [作詞・作曲:鬼龍院翔(ゴールデンボンバー)]
  2. キライナヒト
    [作詞・作曲:高橋優 / ゲストボーカル:明石家さんま]
  3. 天使じゃないけれど
    [作詞・作曲:中村中]
  4. きもち
    [作詞・作曲:佐藤良成(ハンバート ハンバート)]
  5. 変な芸術の先生
    [作詞:松尾スズキ / 作曲:門司肇]
  6. まばゆい君へ
    [作詞・作曲:玉城千春(Kiroro)]
  7. 願い
    [作詞・作曲:山崎将義]
  8. しのぶ
    [作詞・作曲:森山直太朗、御徒町凧]
  9. The Rose
    [作詞・作曲:アマンダ・マクブルーム / 日本語詞:渡辺えり]
  10. 愛の讃歌
    [作詞・作曲:マルグリート・モノー / 日本語詞:松永祐子]
大竹しのぶ ミニライブ&握手会

2017年11月23日(木・祝)
東京都 タワーレコード渋谷店8階イベントスペース
START 14:00

大竹しのぶ(オオタケシノブ)
1957年7月17日生まれ、東京都出身。1975年に映画「青春の門 -筑豊篇-」のヒロイン役で本格デビュー。同年、NHK連続テレビ小説「水色の時」に出演し幅広い世代から人気を集める。以降、映画や舞台への出演を重ねながら主要な演劇賞を数々受賞し、女優としての存在感を確立。歌手活動も継続的に行っており、2016年には舞台「ピアフ」で2011年より歌い続けている「愛の讃歌」で「NHK紅白歌合戦」に初出場した。2017年10月には朝日新聞にて連載中のコラムを収載した単行本「わたし、還暦? まあいいか2」が発売された。2017年11月にはニューアルバム「ち・ち・ち」をリリース。12月には東京・シアターコクーンにて主演舞台「欲望という名の電車」が上演される。