ナタリー PowerPush - おおたえみり
大ファン・三浦大知が語る魅力
すごすぎて笑っちゃう
──では、新作の「セカイの皆さんへ2 / 最短ルート」について。前作に続きDVD+CDという形式の作品ですが。
はい。いや、もうバッチリですね! DVDが始まって背中が映った瞬間「やった。これはいい!」って思いました(笑)。えみりちゃんの作品を作るのは、ホントに大変だと思うんですよ。とにかくライブの衝撃がすごいので、それを音源や映像にするのはすごく大変じゃないかなって。今回はさらにライブを観てるときの感じに近いので、すごく良いと思いますね。
──楽曲についてはどうですか?
“この世界に生きてる感じがする”って言うとヘンですけど、1作目よりもさらにリアルになってる気がしましたね。1作目はもっとファンタスティックなイメージだったけど、今回は人間的な部分も見えてくる感じがあって。
──しかも、前作以上にぶっ飛んでますよね。「パカパカ大学生」とか「フェードアウト人生」とか、タイトルのインパクトもすごくて。
すごすぎて、笑っちゃいますよね。僕が目指してるエンタテインメントだったり、一番カッコいいと思うものって、笑えるものなんですよ。これは僕の勝手な価値観なんだけど、マイケルにしても、ちょっと笑っちゃうじゃないですか。すごすぎて。
──あー、なるほど。
あの感じって、やろうと思っても出せないと思うんですよ。すごい!ってニヤニヤしちゃうっていう……。それくらい圧倒的なものだと思いますね、えみりちゃんの音楽は。多分彼女にしかできない音楽があって、それは決まってると思うんですよね。たとえ音楽性が変わっていったとしても、“変わった”とは思わないかもしれない。内側からあふれてるものだし、何かでコントロールするとか、そういう次元の話ではないですからね。
──本質的な部分は揺るがないだろう、と。例えば大きな会場でライブをやるようになったとしても……。
うん、どんなに大きい会場でも平気だと思うし、距離は全く関係ないでしょうね。10万人であっても、ピアノ1本で魅了すると思います。1つのきっかけで一気に広がると思うし。だって、どうしてもチェックしたくなりますからね。
──まずは彼女の音楽の衝撃をそのまま感じてほしい、と。
そうですね。うらやましいですね、今からおおたえみりちゃんの音楽を聴ける人は。最初の衝撃は1回だけだし、自分はもうそれを体感してるので。あの衝撃をたくさんの人が経験するんだなって、勝手にワクワクしてます(笑)。
えみりちゃんと出会って「自分は間違ってなかったな」という気がした
──大知さん自身、アーティストとして共感できる部分も多そうですね?
そうですね……。2012年は“理屈じゃないもの”をテーマに掲げて活動してきたんですよ。曲にしてもライブにしても、人の心に直接つながれるものをやりたいな、と。そういうときにおおたえみりちゃんと出会って「自分は間違ってなかったな」という気がしたんですよね。理屈じゃないパワーって、音楽の魅力だなと改めて思えたというか。
──なるほど。
子供の頃に海外の音楽を聴いたときって、言葉の意味はわからなくても、踊ったりワクワクしていて。音楽の概念とかはわからないわけじゃないですか、その頃は。でも、子供ながらにグッと来てたんですよね。そういう感覚って、どんどん知識が増えるほどフィルターがかかるというか、ちょっと理屈っぽくなるところもあると思うんですよ。大人になると「どうしてこれがいいのか?」っていうことを無意識のうちに考えることもあるし、それがもったないないような気がして。何かわかんないけどこの曲を聴くと涙が出るとか、何かわからないけどこういう状況のときにこの曲が聴きたくなるとか。耳に入ってすぐに心にまで届く、脳を経由しない感じが音楽のパワーだと思うんですよね。
──その感覚が、現在の大知さんの音楽に対する基準?
もちろん、計算された楽曲に魅力を感じることもありますけどね。でも、やっぱりニヤッとする感覚を味わったときに「音楽、楽しいな」って思うことが多いかな。イントロが鳴った瞬間にワクワクしたり……。その時点では歌詞の内容もわからないし、どういう世界観かもわからない。でも、感覚的にワクワクできることは確かにあって。それはひとつの基準かもしれないですね。
──自分の音楽もそういうものであってほしい、と。
そうですね。何を感じたかは人それぞれだし、理屈付けも聴いてくれる人がやってくれればいいと思うんですよね。自分はこういうつもりで書いてるからこういうふうに受け取ってほしい、という説明も必要ないし。多分「理屈じゃないものを作りたい」って言わなくなったら、本当にそういう音楽を作れてるんだと思いますけどね。今はそこに向かってる途中っていう気がする。今のところ、えみりちゃんに負けてますね(笑)。
──最後に、おおたえみりさんに訊いてみたいことはありますか?
え、訊いてみたいことですか……? 「僕のライブ楽しかったですか?」とか、それくらいかな(笑)。えみりちゃんの音楽については、あんまり訊かないほうがいいかもしれないと思ってるんですよね。さっきも言いましたけど、どんな気持ちで歌ってるのか?って訊いても、全部はわからないだろうし。まっさらな状態で体感するのが一番いいですよね。あ、でも、お母さんのことはちょっと訊いてみたいかな。
──「セカイの皆さんへ2」には「母のもとへ」という楽曲も収録されていますからね。
ほかの曲で「ママに相談してから」(「カーテン」 / 「セカイの皆さんへ」に収録)という歌詞もあるんですよね。多分、お母さんの存在も大きいんじゃないかなって。お母さんにお会いしてみたいです(笑)。
おおたえみり / セカイの皆さんへ2ダイジェスト映像
- おおたえみり DVD+CDシングル「セカイの皆さんへ2 / 最短ルート」 /2012年11月21日発売 / 2100円 / cutting edge / CTBR-92084/B
- DVD+CDシングル「セカイの皆さんへ2 / 最短ルート」
DVD収録内容
- パカパカ大学生
- 猿の宴
- フェードアウト人生
- 輪廻
- 母のもとへ
CD収録曲
- 最短ルート
- 最短ルート(instrumental)
- 三浦大知 ニューシングル「Right Now / Voice」2012年12月12日発売 / SONIC GROOVE
- 「Right Now / Voice」MUSIC VIDEO盤 [CD+DVD] 1890円 / AVCD-16305/B
- ニューシングル「Right Now / Voice」LIVE盤 [CD+DVD] 1890円 / AVCD-16306/B
- ニューシングル「Right Now / Voice」通常盤 [CD] 1200円 / AVCD-16307
CD収録曲
- Right Now
- Voice
- Far away
MUSIC VIDEO盤 DVD収録内容
- Right Now -MUSIC VIDEO-
LIVE盤 DVD収録内容
- 「DAICHI MIURA LIVE 2012“exTime Tour 2012” Digest & Off Shot」
おおたえみり
兵庫県出身。1992年9月14日生まれのシンガーソングライター。幼少期からピアノを弾き始め、小学生の頃から曲を作るようになる。15歳で関西を中心に定期的なライブ活動を行う傍ら、次々とオリジナル楽曲を制作。ほぼ関西のみの活動にも関わらず、エキゾチックな容姿とぶっ飛んだパフォーマンスが噂を呼び、じわじわと話題になり始める。2012年8月、DVD+CD作品「セカイの皆さんへ / 集合体」でcutting edgeからメジャーデビュー。11月には第2弾作品「セカイの皆さんへ2 / 最短ルート」をリリースした。
三浦大知(みうらだいち)
沖縄県出身。1987年生まれ。1997年にダンスユニット・Folderのメインボーカルとしてデビューし、類い稀な歌唱力とパフォーマンスで「和製マイケル・ジャクソン」と評される。2000年から変声期に伴い、一時的に歌手活動を休止。ダンスレッスンやボイストレーニングに明け暮れる日々を経て、2004年から活動を再開する。2005年1月にシングル「Keep It Goin' On」でソロシンガーとして再デビュー。2007年にはアメリカで開催された「Rock Steady Crew 30th Anniversary」に日本人初の単独出演を果たし、2012年には初の日本武道館ライブを成功させるなど、その圧倒的なパフォーマンスは国内外問わず高く評価されている。