ナタリー PowerPush - おさむらいさん

アコギ道を極めんとする「歌い手盤」と「弾き手盤」

歌い手それぞれの個性がものすごく出てると思う

──今回リリースされるアルバムには、動画共有サイトで人気を集める豪華な歌い手陣が参加した“歌い手盤”と、インストで構成された“弾き手盤”の2枚が用意されています。そこにはどのような意図があったんでしょう?

このアルバムは動画共有サイト界隈に向けた感謝の気持ちで作ったんです。みんなで作ってきた文化だから、それにリスペクトと感謝を込めて、よりたくさんの人と作った歌い手盤がメインといった感覚があります。インストだけで構成したアルバムにアーティスティックな価値があるかっていうと、そう思わなかったりもします。弾き手盤は好きな人が聴いてくれたらいいんじゃないかなって。作業用には間違いなくいいと思いますが。

──いやいや、インストでもめちゃくちゃ楽しく聴けましたよ。そこには歌がなくても聴かせられる、おさむらいさんとしての自信も感じることができましたし。

今までいろんな曲をアレンジしてきたことでノウハウもあるし、曲ごとにいろんなアイデアを詰めることができたので、聴いて損はしないと自負はしています。ソロギターではない、アンサンブル的なサウンドにこだわっていたところもあったので、CDにしておかないのはもったいないな、という気持ちもありましたね。

──なおかつこの作品は2枚を照らし合わせて聴くのがまた面白いと思うんですよ。同じ曲であっても、全然違った聞こえ方をするというか。

ありがとうございます。うれしいですね。確かに、歌い手さんによっては僕が作ったコーラスとは全然違うものを乗せる人もいましたし、声も含めて個性がものすごく出てると思うんですよ。ぐるたみんさんなんかはすごく凝ったコーラスをつけてくれましたから。そういう意味でも、僕だけで作ったものと、ほかの人と組んだものでは聴き心地は全然変わってくると思います。なので2枚を一緒に楽しんでもらうほうがオススメではありますね。いや、ホントにいい作品になったと思いますね。めっちゃいいです(笑)。

ピエール中野さんはたぶん、凛として時雨のコピー動画は全部観てる

──本作はネット音楽シーンに寄った作品になっていますが、おさむらいさんは「SUMMER SONIC 2011」への出演や、テレビドラマのBGMを手掛けるなど、すでにそこから飛び出した幅広い活動をされています。普段、ネット音楽をあまり聴かない層にも積極的にアピールしていきたい気持ちはやはり強いですか?

はい。ネット上の音楽に対して、「プロはもっとうまい」とか「こんなものを聴くのは中二病だ」とか、いろんなことを言う人がいます。でもそういった先入観で音楽が聴かれていることがすごくイヤなんです。とにかくいいものはいいので、純粋に聴いてほしいと思います。音楽の価値はクオリティとかうまさとは違うところにあって、いわゆる「プロ」じゃないからこそ表現できるものもあるので。とは言え、ネットじゃないリアルの場所でいろんな経験をさせてもらうと、みんな意外にあたたかいなって思うところもあって。立場的には僕自身ネットの人だと思うんですけど、そんなこと関係なく迎え入れてくれるんですよ。垣根みたいなものはなくなっているなって感じるときもあるし、これからはもっとそういう状況になっていくと思うし、壊していきたい。

──アウェイ感をあまり感じない状況になってきていると。

そうですね。僕がやっていることってスタイルからしておかしいわけじゃないですか(笑)。ギター1本、1人で、歌わないでライブハウスに立っているって。そう考えるとアウェイが当然、アウェイじゃない場所がないというか。そこを楽しめているかな。

──過去には凛として時雨のピエール中野さんのイベントにも出演されてましたよね。あれはどんな経緯で実現したものなんですか?

突然、TwitterでDMが来たんです、ピエールさんから。「(イベントに)出ない?」って。で、「もちろんです!!」って返して(笑)。どうやら僕が動画共有サイトにアップした凛として時雨のコピーを観てくれたみたいで。ピエールさんはもう、あまりにもネットを見てるから。たぶん凛として時雨のコピーは全部観てるんじゃないかって気がします(笑)。

──でも本人から声がかかるってすごいことですよね。

本当に光栄です。今後も何かあればぜひ一緒にやってみたいですね。ネット特有のフットワークが軽いところも素晴らしいと思います。遠いクリエイター同士でも気軽に素早くコラボレーションができて。

昔のライブでは座ってポロポロンって弾いてた

──アルバムのリリースに合わせてツアーもスタートしています。おさむらいさんにとってライブも大事なものですか?

そうですね。ライブをしてないとやりたくなるし、でもあまりにずっとやってると疲れちゃうから制作で引きこもりたくもなるんですけど(笑)、両方があることでバランスが取れてると思います。求められるものはそれぞれに違うけど、一方から、もう一方に取り入れられるアイデアもありますからね。

──初ライブは4年前くらいだそうですけど、見せ方も変化してきています?

当初のライブと最近のライブでは全然違いますよ。最初は10人くらいのカフェでやったんですけど、座ってポロポロンって弾いて、MCでボソボソっとしゃべってる感じで……お客さんもじっとしていて、厳かなクラシックのコンサートみたいでした。

──それが一般的なアコギ1本でのライブのイメージですよね。

そうなんですけど、いやこれじゃないなと思って立って弾くようにしたんですよ。そうしてるうちにどんどん弾き方も含めて熱くなってったっていう。今はもう元気にやってますよ(笑)。もちろん、しっとりした曲も好きなので、両方とも楽しめるようにしていますが。ステージ上にたった1人で、音源とは違った聞こえ方にもなりますが、だからこそ一期一会の音で、そのライブだけの楽しさがあると思います。お客さんと一緒に音楽を創れる瞬間もある。ぜひ今回の「勝負前夜」ツアーにも遊びに来てほしいですね。

豪華特典

豪華特典

販売店頭別初回購入者特典

販売店頭別初回購入者特典

【8月7日発売】勝負前夜 / おさむらいさん 【全曲クロスフェード】

ニューアルバム「勝負前夜 弦月 ~弾き手盤~」 / 2013年8月7日発売 / 2000円 / EXIT TUNES / QWCE-00291
「勝負前夜 弦月 ~弾き手盤~」ジャケット
収録曲
  1. 夜咄ディセイブ(じん[自然の敵P])
  2. 再教育(Neru)
  3. リスキーゲーム(黒うさP)
  4. fix(keeno)
  5. 東京テディベア(Neru)
  6. 吉原ラメント(亜沙)
  7. 小夜子(みきとP)
  8. 独りんぼエンヴィー(koyori[電ポルP])
  9. 心臓デモクラシー(みきとP)
  10. ナイトウォーカー(ラムネ[村人P])
  11. さよならミッドナイト(大柴広己)
  12. StarCrew(赤髪)
  13. セツナトリップ(Last Note.)
  14. 千本桜(黒うさP)

(カッコ内はオリジナルアーティスト)

ニューアルバム「勝負前夜 吟風 ~歌い手盤~」 / 2013年8月7日発売 / 2000円 / EXIT TUNES / QWCE-00290
「勝負前夜 吟風 ~歌い手盤~」ジャケット
収録曲
  1. 夜咄ディセイブ / しゃむおん
  2. 再教育 / ぐるたみん
  3. リスキーゲーム / りぶ
  4. fix / りょーくん
  5. 東京テディベア / 伊東歌詞太郎
  6. 吉原ラメント / そらる
  7. 小夜子 / しゃむおん
  8. 独りんぼエンヴィー / そらる
  9. 心臓デモクラシー / 伊東歌詞太郎
  10. ナイトウォーカー / りょーくん
  11. さよならミッドナイト / 新社会人
  12. StarCrew / りぶ
  13. セツナトリップ / 新社会人
  14. 千本桜 / ぐるたみん
おさむらいさん

動画共有サイトの「演奏してみた」カテゴリに2007年から演奏作品を投稿しているアコースティックギタリスト。テクニカルな奏法を取り入れてさまざまな曲をアレンジする「アコギでロックしてみた」と題した一連の投稿映像が話題になり、演奏動画の総再生数は1000万回を超える。2011年には一般投票&ライブ審査を経て「SUMMER SONIC」に出演し、ピエール中野(凛として時雨)主催の「ピエールナイト」にも登場。台湾でのワンマンライブがソールドアウトになるなど、その人気は海外にも及んでいる。2013年8月には、ボカロ曲を中心にカバーするインスト盤「勝負前夜 弦月 ~弾き手盤~」と、人気歌い手をゲストに迎えたボーカル盤「勝負前夜 吟風 ~歌い手盤~」を同時リリースした。