ORβITが11月23日に2ndミニアルバム「Alter Ego」をリリースした。
ORβITはHEECHO、YOUNGHOON、YOONDONG、JUNE、TOMO、SHUNYA、YUGOの7名による日韓合同ボーイズグループ。昨年2月に結成されたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で日本と韓国に分かれての活動を余儀なくされてきた。そんな中でも彼らはそれぞれの国でレコーディングやミュージックビデオの撮影を行い、昨年11月に1stフルアルバム「00」、今年の4月に1stミニアルバム「Enchant」をリリース。その後、ついに韓国で7人の合流が9月に叶い、メンバー全員で同じ時を過ごしている。
2ndミニアルバム「Alter Ego」は7人が初めて同じ場所に集って制作に取り組んだ作品だ。ORβITは作品のコンセプト決めから選曲、ジャケット制作までメンバー主導で行っており、今作にも7人の音楽への情熱やこだわりが注がれている。音楽ナタリーでは韓国にいる7人にリモートインタビューを行い、ミニアルバムに収録されている5曲について話を聞いた。
取材・文 / 中川麻梨花
今までとは違う姿に変わりたい
──昨年2月、グループ結成を発表した直後に新型コロナウイルスが世界に広がり、メンバーが集まれない状況がずっと続いていました。前回のインタビューでも「今は何よりも7人そろいたい」とおっしゃっていましたが、ついに合流できましたね(参照:ORβIT「Enchant」インタビュー)。
YOUNGHOON ずっと夢に見てきたことなので、本当にうれしいです。やっとスタート地点に立てたと思いますし、これからいろんな活動をするつもりです。
SHUNYA 韓国の3人(HEECHO、YOUNGHOON、YOONDONG)と合流して、すごく心強いですね。ダンスの練習1つにしても、聞けることや学ぶことが多くて。結成から1年半経ってやっとこういう体験ができて、新鮮な気持ちでいます。
──9月に韓国で合流してから、7人でどういう時間を過ごしているんですか?
YOONDONG 練習してごはんを食べて、練習してごはんを食べる生活をしています。
一同 (笑)。
HEECHO 今まで7人で練習できなかったので。
──ミニアルバムの制作やオンラインライブの準備もあったでしょうし、合流するなり忙しそうな日々ですね。
YOUNGHOON そうです。
JUNE がんばってます!
HEECHO インタビューや撮影もあって、ようやくグループで活動ができているという感覚です。
──ミニアルバムのタイトル「Alter Ego」は、そんな7人そろったORβITのことを“Alter Ego=別人格”に例えているという認識でいいのでしょうか?
SHUNYA はい。どういうタイトルにしようか考えていて、JUNEくんに「何かいいアイデアないですか?」と相談したときに「ゲームの中で『Alter Ego』というワードを見て、心に残ってる」という話を聞いたんです。これまでORβITは日韓に分かれて楽曲やミュージックビデオを制作してきたので、今回が初めて7人そろって1つの作品を仕上げるタイミングで。僕たちの中に「今までとは違うORβITの姿に変わりたい」という気持ちがあり、このミニアルバムでそういうメッセージを打ち出しかったんですよね。そういった7人の思いに「Alter Ego」という言葉がぴったりと重なって、このタイトルに決まりました。
曲を通して話をしよう
──前作「Enchant」は“植物”というコンセプトに沿って作られた、幻想的で美しい絵が目に浮かんでくるようなミニアルバムでした。一方、今作「Alter Ego」は物や場所というよりは、まずメッセージが大きな軸にあるような気がして。今ORβITが思っていること、伝えたいことがそのまま音楽になっているような印象を受けました。
HEECHO ミニアルバムのコンセプトが決まっていない状態で、まずデモを聴いて「Eclipse」をリードトラックにしようと決めたんです。「Eclipse」の歌詞は僕が書いたんですけど、歌詞の内容を考えた結果、「僕たちだけの話をしましょう」ということになって。僕たちの状況を踏まえて、7人がそろったからこそできる話がある。「Eclipse」がこういう曲になったことで、そこを軸にほかの曲もメッセージ性の強いものになっていきました。
──歌詞は自然とHEECHOさんが書くことになったんですか?
HEECHO そうですね。作詞家さんに任せるのもありなんですけど、作詞家さんもそこまで僕たちの状況や話を知ってるわけじゃないから、僕たちが書けるものなら自分たちで書くのがいいんじゃないかなって。川の流れのように僕が書くことになりました。
──ORβITはこれまで作家さんたちからデモを集めて、自分たちでどの曲をアルバムに入れるか話し合ってきました。今回もたくさんのデモの中から7人で話し合って楽曲をピックアップしたと思うんですが、「Eclipse」をリードトラックとして選んだ決め手は?
HEECHO 「Eclipse」には前作の「Blind」のような雰囲気があると思ったんです。「『Blind』の神秘的な感じにはORβITのよさがある」と言われることがよくあって。それならその雰囲気がありつつ、さらにそこから音楽性が広がっているような「Eclipse」がリードトラックに合っているんじゃないかなという話になりました。
──なるほど。トラックにおいては確かに「Blind」の地続きになっている感じはあるんですが、歌詞に関してはかなり書き方が違う印象を受けて、ちょっと驚いた部分もあったんです。同じHEECHOさんが書いた歌詞でも「Blind」はもう少し抽象的な表現が多かったと思うんですが、「Eclipse」では「待たせすぎた This feeling 僕達の奏 ay yeah 地球を抱きしめる」と今のORβITの姿や思いがかなりストレートな形で描かれていて。
HEECHO 要するに今回は美術作品的なものじゃなくて、7人のメッセージや意気込みがしっかり伝わる形にしたほうがいいんじゃないかなと思ったんです。普段僕はそういう話をしないからこそ、曲を通して話をしようという感じでした。あと、ファンの人が深掘りできるような歌詞にしたいとも思っていましたね。「地球」と書いて「きみ」と歌ったり(※ORβITのファンネームはEαRTH)。「偽りのない欠片」というところは「Lazurite」(1stフルアルバム「00」収録)を意識しているんです。ほかにも「UNIVERSE」(「00」収録)や「Blind」を意識したフレーズも入れているので、そういう部分もファンの方に楽しんでもらえたらうれしいです。
──7人そろったORβITの姿から“「Eclipse」=日食”という言葉が出てきたのは自然なことだったんですか?
HEECHO そうですね。もともと科学的なことに興味があって、調べたことがあったんです。7つの軌道(=ORβIT)が重なった瞬間を日食に例えるのは合っているなと思って決めました。
SHUNYA ミニアルバムのタイトルを決めた話の補足なんですけど、JUNEくんが「『Alter Ego』というタイトルはどう?」と提案してくれたタイミングで、ちょうどHEECHOさんから「『Eclipse』っていうタイトルで、こういう感じの歌詞を書こうと思ってる」という話があって。日食のときって普段白い月が真っ赤に染まったり、いつも眩しかった太陽がリングのように見えたり、別の天体に変わったように見えるから、「Alter Ego」というタイトルはぴったりだなと思ったのも決め手でした。
──これまでレコーディングは日韓に分かれてやっていましたが、今作では7人そろって録ってるんですよね?
一同 そうです!
YUGO 今作の制作においてこれが一番大きかったですね。「こんなにやりやすいんだ!」と感動しました。作家さんに直接会ってディレクションしてもらえますし。
──「ここはこういうふうに歌おう」というメンバー同士のディスカッションもしやすそうですね。
YOUNGHOON はい。それぞれに意見があるので、話し合いながら録りました。曲によって歌詞を書いたメンバーが「ここはこういう雰囲気でやったらどう?」と提案したり。
──「Eclipse」で印象に残っているやりとりはありますか?
JUNE 僕のラップパートでYOUNGHOONくんがダブリングしてくれました。急に「ヒップホップを教えてやる」と言われて(笑)。
一同 ははははは。
JUNE よく聴いてもらえたらわかると思うんですが、「Let's do do」のところで「do do」というYOUNGHOONくんの声が入ってます。
YOUNGHOON 一生懸命歌ったんですけど、「いいねー」と思いながら音量をちょっと下げました(笑)。
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人に疑われる“別人格”