セルフカバーの魅力

──アレンジの作業はどのように進めていきましたか？ 特にこだわったポイント、聴きどころなどもお願いします。

まずアレンジャーの方々に元々の大野デモをお渡しし、加えてこういう風に仕上げたいというイメージ、キーワードを伝えました。曲によっては物語を作って説明したり（笑）。で、あがってきたアレンジに触発されてアイデアが浮かんでは、それに沿って組み立て直していただいたり……の地道な繰り返し作業です。とにかく耳当たりがよく、飽きのこないよう、総じて私の声をのせたメロディーが光る形にこだわりました。また、全曲通してSTORY性をもたせて、一曲一曲丁寧に作り込みましたので、ぜひ楽しんで聴いていただければと思います。

──今回の制作を通して新たな発見はありましたか？

今回はより踏み込んでセルフプロデュースさせていただいたので、プロデュースすることの大変さを知りました（笑）。

──大野さんはどうしてセルフカバーをするのでしょうか。また、今後ご自身のオリジナルアルバムをリリースする予定はありますか？

ひとつのメロディーでも、角度を変えればパラレルワールドのように様々な世界を表現することができますよね。それがすごく面白いなと。オリジナルアルバムをリリースする予定は今のところないですね。自分が歌うことを前提に曲をつくるというより、出来上がった曲にどんなヴォーカルと歌詞がのるのかをいつも楽しんで曲作りをしています。

15周年を迎えて

──作家デビュー15周年を迎えての率直な気持ちを教えてください。

えー！ もう15年経ったの!? ……あー……そういや色々あったなー……うーん……（遠い目）。うん。面白きかな我が人生。

──大野さんが作曲する際に大事にしていることはなんですか？

独りよがりになっていないか、自分以外の人の耳の存在を意識することは勿論のこと、まず自分自身が浮かんだそのメロディーを愛せるかどうかですね。

──15年間で変わったもの、逆に変わらないものはありますか？

変わったものは……機材かな？（笑） 変わらないものは……マイペースな自分？

──作家生活においてターニングポイントとなった作品はありますか？

ZARDさんの「少女の頃に戻ったみたいに」は、作家生活というか、私の人生のターニングポイントですね。そして、やはり倉木さんの「Love, Day After Tomorrow」。周りの空気がガラッと変わった気がします。

──作家生活の中で特に印象に残っているエピソードは？

作家生活の最初の頃、ほんの数曲聴いただけで私の悪い癖をプロデューサーさんに言い当てられたことかな。当時の自分では見抜け無かった盲点だったので、目からウロコでした。

──作家活動を続けるモチベーションになっているものはなんなのでしょう？

極言すれば、風の音、雨の音、ドアを開ける音、箸を置く音、鳥のさえずり、波の音、飛行機の音、笑い声、……耳から聞こえるありとあらゆる音。それが私のモチベーションなのかもしれません。