音楽ナタリー Power Push - nowisee

現代のいびつな音楽市場にアプリで勝負を挑むプロジェクト

2015年8月8日8時8分8秒。nowisee(ノイズ)と名乗る正体不明のクリエイター集団が、オリジナル楽曲とアニメーションで構成された動画をYouTubeで公開した。その後nowiseeは毎月8日に1本の新作を発表し、10月8日には独自のスマートフォンアプリを無料配信。音楽や電子ノベルなどが集約されたアプリをアルバム作品に見立てた“アプリアルバム”と提唱し、アニメーションによる楽曲MVと連動したコミックや小説などを展開している。

nowiseeが毎月発表している作品は、全24話構成の「52Hz」と題された1つの物語となっている。つまり彼らは24カ月、丸2年をかけて物語のテーマである「生きる意味を問う」を表現することを目的に誕生したプロジェクトだ。

nowiseeを構成するメンバーは、1人の女性ボーカリストと5人の男性クリエイター。「外見や実績に囚われず、鳴らす音楽の力で勝負したい」という思いから匿名性を貫き通しているため各メンバーの素性はわからないが、それぞれ各分野のプロフェッショナルとして活動しているという。「6人組」という情報以外は一切明示していなかった彼らだが、この特集では初公開となる6人の名前とイラスト、それぞれのパートを紹介する。またnowiseeの首謀者であるMinimum Rootには、初のメールインタビューを試みた。

取材・文 / 臼杵成晃

MEMBER

nowisee。左からAdd Fat(G)、Turtle 7th(Piano)、Strange Octave(Vo)、Minimum Root(G)、残酷 tone(Artwork)、Chotto Unison(B)。

  • ・Strange Octave(Vo)
  • ・Minimum Root(G)
  • ・Add Fat(G)
  • ・Turtle 7th(Piano)
  • ・Chotto Unison(B)
  • ・残酷 tone(Artwork)

Interview

nowiseeが描く「52Hz」の世界

「nowisee イントロダクション・ムービー」のワンシーン。

「52Hz」の物語で描かれているのは、現実世界に絶望し、自ら死を決意した人間が死ぬ直前に訪れる異世界“sea”(シー)の住人、“null”(ナル)の姿。seaで目覚めた主人公・アイと、その親友ユウを取り巻くダークファンタジーが展開される。なお「52Hz」というタイトルは、ほかのどのクジラとも異なる周波数で鳴く、世界に1頭だけの「世界で最も孤独なクジラ」による鳴き声の周波数に由来する。