ナタリー PowerPush - NOTTV×ナタリー「風とロック LIVE福島 CARAVAN日本」

箭内道彦が描く“ライブイベント”

今後の活動のために全国に先輩の声を聞きに行く

──箭内さんのようにアクティブに活動していても福島県外の声って聞こえてこないものなんですか?

箭内道彦

皆さんがどんなことを思って暮らしているのかは、なかなかわからないですよね。以前、福島から札幌に自主避難している人に「猪苗代湖ズは好きだけど『I love you & I need you ふくしま』を聴くのはツラいんです」「自分が福島を捨てたって言われているような気がする」って言われたこともありましたし。ただ、その言葉をきっかけに、キヨサク(MONGOL800)とMummy-D(RHYMESTER)と亀田誠治さんと僕の、THE HUMAN BEATSの「Two Shot」っていう新曲が生まれたりもしていて。震災当時の神戸の抱えていた問題と今の沖縄の問題と福島の問題をひとくくりにはできないし、人々の悩みもそれぞれなんだけど、それでも皆さん大きな困難、苦難を乗り越えた、または乗り越えようとしている先輩たちであることに変わりはない。今回のキャラバンではそういう先輩のいる街を回るんですけど、そこで経験したこと、知ったことを最後9月に福島に持ち帰ることって、これから自分たちが福島での活動を続けていく上できっと意味のあるものになるんですよね。

──実際に札幌の自主避難者の方との対話の中から新曲が生まれたわけですし。

そうそうそう。それにもっと直接的に「コンサートを観に行きたいんだけど、福島から出てしまった自分たちが福島のライブを観に行くことはできない」「札幌に来てくれたらうれしい。札幌にもたくさんの自主避難者がいますから」って言ってくれる人もいました。そして僕たちも東日本大震災の復興支援をしてくれている全国の人たちに直接お礼を言いに行きたい。だったら全国を回ってみようっていう発想ですよね。あと、福島に暮らしている人が「へえ、福島でしかやってなかったライブを沖縄でもやるんだ」「だったら行ってみようかな」って言い訳しながら沖縄旅行してくれたらすごく楽しいかなって(笑)。

主語が「僕」だからできること

──さっきからお話を聞いていると、箭内さんの言葉の主語ってだいたい「自分」か「僕」ですよね。

あっ、そうでした?

──ええ。3.11の問題は当然社会全体で取り組むべきことがらではあるんですけど「社会が!」「今の日本は!」っていう大きな主語を持ち出されると身構えちゃう人も多いと思うんですよ。でも箭内さんは「みんながイベントを言い訳に沖縄旅行をしたら、僕が楽しい」「僕は困難を乗り越えた人たちのことを知りたい」と言っている。だから見ているこちらもいい意味で気軽に話に乗りやすいんです。

ああ、確かにいわゆる「Theチャリティ」じゃないかもしれない。

──イベントの出演メンバーもTheチャリティっぽくはないですよね。

箭内道彦

Theチャリティなら違う人を集めますよね、普通(笑)。

──いやいやいや(笑)。全員人気アーティストじゃないですか。ただあまり「チャリティ=慈善事業」っぽい雰囲気のしない面々だというだけで。でも、それが今回取材させていただいている理由の1つでもあって。チャリティっぽくはないんだけど、いわゆる音楽ファンに確実にハマるメンバーを揃えているわけですから。

それは僕がナタリーユーザーだからです(笑)。僕も音楽ファンの一員なんですよ。タワーレコードの広告を作るときがまさにそうなんですけど、みんなの代表としてたまたま撮影に行けて、ミュージシャンに会えて、ポスターのデザインもできてっていうだけ。音楽に関する仕事はたいてい音楽ファンとして音楽と出会うためにやっている。フリーペーパーの「月刊 風とロック」を作る仕事もそうだし、ミュージシャンのMVを作る仕事もそうだし、CMにミュージシャンをむりやり出演させてみる仕事もそう。「風とロック LIVE福島」の出演メンバーも「月刊 風とロック」の編集長でナタリーユーザーで音楽ファンである僕が好きな人たちを集めただけなんです。

0円でその場の自由な空気を買う

──だからか、いわゆるチャリティイベントはもちろん、ほかの中規模ライブイベントとも一線を画してますよね。例えばTHE BACK HORNとTOKYO No.1 SOUL SETが共演するライブなんてけっこう珍しい気がしますし。

しかも出演ミュージシャンはそれぞれ音楽性だけじゃなくて、イデオロギーというか、震災や原発に対する考え方、復興っていうものの捉え方も実はバラバラだったりする(笑)。ただ「福島を支援したい」っていう気持ちが同じなだけで。

──「風とロック LIVE福島」がそのメンツを束ねられるのはなぜなんでしょう?

箭内道彦

だとすると、やっぱり「僕」っていうところからスタートしているからなのかもしれません。「月刊 風とロック」に出てくれるミュージシャンや女優さんのマネージャーの方々からよく言われるんですよ。「こんな写真、よそではOKしませんよ(笑)」って。でも「月刊 風とロック」はフリーペーパーだから利益を追求するものではない。「みんなが僕の思いに賛同してくれた」っていうと美しすぎるし、全然そんな感じじゃなくて「なんか箭内がタダで雑誌とか作っちゃって心配だからついてきた」って感じではあるんだけど(笑)、だからこそ僕のムチャを笑って受けてくれる人たちが集まってくれるんですよね。たぶんそれは「風とロック LIVE福島」も同じで。収益を全額寄付しているから、その0円であることを言い訳に場の空気を自由にすることができる。そして僕は出てほしい人には誰にでも声をかけられるし、逆に福島を支援したいミュージシャンは「また箭内がなんか始めたぞ。大丈夫か?」って感じで、それぞれの福島への思いとともに出演してくれるんでしょうね。

風とロック LIVE福島 CARAVAN日本
風とロックLIVE福島CARAVAN日本 9公演ダイジェスト
放送日
4月27日(土)22:00~23:00 長崎公演ダイジェスト版
5月18日(土)22:00~23:00 東京公演ダイジェスト版
※放送スケジュールは変更になる場合があります。番組表でご確認ください。
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