≠ME「す、好きじゃない!」特集|アイドル力100%のラブソングを語るインタビュー&手書きの“ラブレター”

指原莉乃がプロデュースする≠MEが4thシングル「す、好きじゃない!」をリリースした。

前作「チョコレートメランコリー」ではあふれんばかりの独占欲と“激重”な愛情が描かれたが、今作の表題曲「す、好きじゃない!」はそこから真逆とも言えるベクトルに振り切ったポップかつキュートなラブソング。音楽ナタリーでは本作の発売に合わせ、メンバーのうち尾木波菜、蟹沢萌子、谷崎早耶、冨田菜々風にインタビューし、新曲のアピールとともに2022年上半期の出来事や、姉妹グループである=LOVEと≒JOYへの思いを語ってもらった。また、特集の最後には4人がファンや読者に向けて書いた“ラブレター”を掲載する。

取材・文 / 近藤隼人撮影 / 梁瀬玉実

櫻井ももの休養と復帰を経て

──新曲の話の前に、今年上半期のトピックをいくつか振り返っていただきたいと思います。昨年11月から今年3月までの約4カ月半、メンバーの櫻井ももさんが休養していましたが、その期間を通して新たに気付いたこと、グループとして得たものはありましたか?(参照:≠ME櫻井もも、本日より活動再開!リーダー蟹沢萌子「泣いちゃう……」

尾木波菜 やっぱり、メンバーが1人減るのってすごく違和感があるんですよ。それまでは12人でいることが当たり前だったので、円陣を組むときや、楽屋でみんなでいるとき、ステージでパフォーマンスしているときにどこか落ち着かない、しっくりこない感じがありました。だから、ももきゅん(櫻井もも)が戻ってきてくれたときに「これが≠MEだ」という安心感があって。≠MEと言えば12人、というメンバーみんなの気持ちを再確認できました。

尾木波菜

尾木波菜

冨田菜々風 ももちゃんが何も不安な気持ちがなくゆっくり休めるように、そしていつでも安心して戻ってこられるようにグループとしてもっと強くなりたいという気持ちがありました。実際、その期間で≠MEとしてかなり成長できたんじゃないかと感じています。ライブでのフォーメーションを12人から11人に作り直した経験は、今後もきっと役に立つと思うんですよ。この先、≠MEがもっと成長して大きくなったとき、別のお仕事の都合などで人数が変わり、フォーメーションも変更しなきゃいけないときがあると思いますが、今回そのやり方をメンバーそれぞれがつかめた気がします。お互いにカバーし合える力が身に付いたんじゃないかなって。

──櫻井さんは≠MEの中で特に歌唱力が高いメンバーなので、その穴をカバーし合うのは大変だったのでは?

冨田 そうですね。でも、ここまで活動してきた中で、ライブ中にメンバーの歌を聴いていて「このパートすごくよかった!」と思うことが増えてきたんですよ。パフォーマンス面でも、それ以外のところでもメンバーみんな力が付いたんだと思います。

谷崎早耶 私はももきゅんのアイドル力、アイドル性、そしてパフォーマンスや歌声が大好きなんです。そんなももきゅんが活動を休止している間、11人でパフォーマンスして、ももきゅんのパートも歌って。その期間があったからこそ、菜々風が言っていたように個人個人が成長できたのはもちろんなんですけど、やっぱりももきゅんが戻ってきたときに「やっぱり、このパートはももきゅんだな!」と思いました。そして、ももきゅんが戻りたいと思っていた居場所を私たちで守ることができたのかなと思うと、うれしい気持ちでいっぱいです。

谷崎早耶

谷崎早耶

蟹沢萌子 11人でいられることって当たり前のことじゃないんだなと、改めてメンバーの大切さを感じた期間でしたね。私たちは結成時から誰1人欠けることなく活動してきて、12人でいることが当たり前になりすぎていたので、その分、この4カ月間は寂しさがありました。でも、ももに対しては、これからも一緒にいるために無理せずに活動休止という選択肢を取ってほしいと感じて、本人にもそう伝えました。「ずっと一緒にいたいからこそ、ゆっくり休んでね」って。私たちみんなで叶えたい夢がたくさんあるし、きっとメンバーみんな同じ気持ちだったと思います。これから先、ほかの誰かがお休みすることがあっても心はずっと12人でいたいです。

──櫻井さんは完全に活動を休止していたわけではなく、3rdシングル「チョコレートメランコリー」ではレコーディングに参加していました。休養中も櫻井さんの存在を感じることができたのは、ファンやメンバーにとって大きいことだったんじゃないでしょうか。

蟹沢 はい。私たちは連絡を取ったりしていたので、寂しいなと思いつつも存在はずっと感じていたんです。もものパートを歌うときも、頭の中にももがいるような感覚で、12人でステージに立っている気持ちでパフォーマンスしていました。そして、ももが帰ってきたときは私も「やっぱりアイドル櫻井ももって最高だな」と思いました。それはほかのメンバーに対しても同じで、普段一緒にいるから1人ひとりが輝いてる姿が当たり前に感じられるけど、キラキラしたみんなとステージに立てるのはすごく幸せなことなんですよね。そんな≠MEをずっと守っていきたいです。

蟹沢萌子

蟹沢萌子

──蟹沢さんは「『君の音だったんだ』」の終盤の冨田さんと櫻井さんのハモリパートで、櫻井さんの代役を担当していましたよね。プレッシャーもあったと思いますが、そのパートを歌うときも頭の中に櫻井さんがいた?

蟹沢 はい! 「『君の音だったんだ』」は≠MEが初めてライブでハモリに挑戦した曲なんですよ。私も、ももと菜々風のパートが大好きなので、それを任せていただけると決まっときはとにかくがんばろうという気持ちになりました。そのパートのももの声だけの音源をもらって、ライブ前に何回も繰り返し聴いて練習していました。ファンの方にとっても大事なパートだと思うので、ライブのたびに背筋が伸びる思いで歌っていましたね。

左から尾木波菜、谷崎早耶、冨田菜々風、蟹沢萌子。

左から尾木波菜、谷崎早耶、冨田菜々風、蟹沢萌子。

初挑戦だった舞台「≠ME ACT LIVE『おジャ魔女どれみドッカ~ン!』」

──今年5月にはアニメ「おジャ魔女どれみ」シリーズとのコラボ企画として、≠MEメンバーがダブルキャストで演じる舞台「≠ME ACT LIVE『おジャ魔女どれみドッカ~ン!』」が上演されましたが、これもグループにとって大きな経験になったんじゃないでしょうか(参照:≠ME「おジャ魔女どれみドッカ~ン!」開幕、冨田菜々風・蟹沢萌子が意気込み語る)。

尾木 最初は怖さや不安があって、経験のない私たちが初舞台で主演を務めること、長く愛されている作品をやらせていただくことへのプレッシャーを感じていました。でも、舞台を通して、それまで気付けなかったことに気付けたり、自分が演じたハナちゃんに教えてもらったりしたことがたくさんあって。これが結成してすぐの出来事だったらいろいろとまた違っていたと思うんですよ。結成3周年を迎えたタイミングだったからこそグループ全体に響くものがあったし、全力でやりきることができてよかったです。

谷崎 私は前からお芝居の仕事に興味があったんですけど、そのきっかけは≠MEの活動なんですよ。セリフがなくても、心情や雰囲気をMVなどで表現するのが楽しくて、いつか自分じゃない自分になってみたかったんです。≠MEでは自分自身、谷崎早耶として活動していますが、お芝居では自分以外の存在を演じられるじゃないですか。だから、この舞台の話をいただいたときはすごくうれしかったです。私が演じた瀬川おんぷちゃんはチャイドルで芸能人のキャラクターなので、自分に通じるものもあって。仲間の大切さを教えられましたし、自分も今この瞬間を大切にしてもっとがんばろうという気持ちになりました。

左から尾木波菜、谷崎早耶、冨田菜々風、蟹沢萌子。

左から尾木波菜、谷崎早耶、冨田菜々風、蟹沢萌子。

──ライブで歌って踊るのと、舞台で役を演じるのはまた違う種類の表現ですよね。主人公の春風どれみを演じた冨田さんと蟹沢さんは、舞台を通してどんなことを感じましたか? どれみちゃんはかなりハツラツとしたキャラクターで、なりきるのが大変だったのではと思うのですが。

冨田 お客さんに向かってストレートに表現を届けるアイドル活動とはたいぶ違うものなのかなと思っていたんですけど、どちらも気持ち、ハートの部分が大事だなと感じました。あと、どれみちゃんと私は意外と近しいところがあるというか、役を研究していくうち私も自分に通じるものを見つけられました。ファンの方が言ってくださったんですよ。萌子が演じたときと私が演じたとき、どちらもちゃんとそこにどれみちゃんがいたって。そして萌子なり、私なりのそれぞれのどれみちゃんができあがっていて、ダブルキャストのよさを自分で感じることができました。舞台って、演じる人によって違うものに見えてくるのが面白いところですよね。

冨田菜々風

冨田菜々風

蟹沢 私は舞台を通して、今まで知らなかったメンバーのいいところ、すごいところをたくさん見つけられました。もう1つのチームのコロンチームのことはお客さんと同じように正面から観て、逆に私がいたジュエリーチームのみんなに対しては一緒にステージに立ちながら感じることがあって。みんなの役に対するアイデアやお芝居の仕方が素敵なところばかりで、刺激を受けながらお互いに切磋琢磨できたのがうれしかったです。それと、私も何かになりきるのが好きで、いつも曲の主人公の気持ちを想像しながらステージに立つことを大事にしているんです。それを歌じゃなくてセリフで表現するのがいつもと違うところだったんですが、私の中では自然とどれみちゃんになれたんですよね。舞台が決まってからアニメを観返したんですけど、私ががんばってどれみちゃんに寄せたというよりかは、どれみちゃんを感じながら一緒に走っていった感覚で。その気持ちが12人全員にあって、このメンバーにしかできない演技をお届けできたんじゃないかと思います。原作ファンの方にも褒めていただけたこともうれしくて、舞台を通してグループとしても個人としてもステップアップできました。