──そして、もう1人、他ジャンルから。エッセイスト / マンガ家のしまおまほさんです。
しまおまほ(エッセイスト / マンガ家)
西寺 うれしいですけど、そうとうがんばってひねりだしてくれた感ありますね(笑)。ありがとう、まほちゃんって感じです!(笑)
──ちなみにコメントの内容に合わせて、写真は中学時代のものだそうです。
西寺 この写真!(笑) こうしてみると、新作でベースを弾いてくれたTRICERATOPSの林幸治くんに似てる気がしますね(笑)。まほちゃんには“東京の人”っていう印象がありますね。ご両親も作家で、東京で生まれ育って。
──しまおさんは、「タマフル」や「アトロク」でもつながっている、言わば郷太さんと同じ文化圏にいる方でもありますね。
西寺 はい。番組でも何度か共演してるし。まほちゃんは米米CLUBの大ファンなんですけど、「タマフル」で一緒に米米の「Time Stop」を歌ったこともありますよ(笑)。
奥田 しまおさんと最初に会ったとき、なぜか30分ぐらいオシッコの話をしていて(笑)。なんか面白い空気感を出す人だなあという印象を持ちました。僕の場合、直接的な付き合いというよりも、間に知り合いがいっぱいいる感じなんですよね。でも、このコメントを見たら絶対に仲良くなれるなと思いました(笑)。文章からも頭のよさを感じますね。
小松 よく僕らみたいな距離感の人たちにでも、ちゃんとしっかりしたコメントが書けるなあ。
西寺 そもそも僕は彼女が書く文章が大好きで、エッセイは全部読んでるんです。短編の場合はすぐ読んじゃうともったいないなと思って、少しずつ読んだりして。まほちゃんは現代の向田邦子さんと呼べるほど、とんでもないエッセイストだと思います。今、「クロワッサン」という雑誌で連載を持ってるんですけど、ページの上が僕で下がまほちゃんっていう。そういう意味でも常に近況報告してる仲間意識みたいなものを感じています。
──なるほど。今回の企画ではノーナより下の世代のミュージシャンにも声をかけています。若手を代表してLUCKY TAPESの高橋健介さん。
高橋健介(LUCKY TAPES)
Comment
首都高速を車の窓を開けて駆け抜けるような“疾走感”という意味でもあるんだけど、窓を開けた時に部屋に入ったそよ風の優しさだったり、くるくると吹くつむじ風の遊び心だったり。とにかくノーナのどの曲を聴いても風が吹く景色が浮かぶんですよね。そんなバンドほかにいないなって。 風って太陽の熱で空気が温められるから起こることなんですけど、3人の音楽への熱さは楽曲の中に風を吹かせているんだと思います。
小松 LUCKY TAPESとは、去年の8月に渋谷のLa.mamaで対バンしたんですけど、僕らと親和性のあるこういう若いバンドがいるんだなと思いました。打ち上げでもメンバーみんないい感じでクダけてて、すごく楽しかった思い出があります。
奥田 高橋くんは僕と名前が一緒で、しかもストラトキャスターを弾いてる時点で信用できるギタリストだなと思いました(笑)。実際に話したらすごく話せる人で、今っぽいんだけど、どこか昭和の佇まいもある。ちょっとイナセというか、洒落てるイメージ。プレイスタイルも僕と近いので、フレーズの意図も伝わってくるし。専門的な話をすると、僕は基本センターピックアップを使うんですけど、彼はフロントピックアップを使っていて、フロントでこんな抜ける音が出せるんだということを打ち上げのときに話しました(笑)。
──ノーナは最近、若いバンドとの共演も多いですよね。LUCKY TAPESもその中の1組ですが。
西寺 そうですね。特に去年は、そういうイベントとかに積極的に出ていこうというのがありましたし。若いバンドとたくさんライブをやったことで、今僕らがどんなふうに音楽をやるべきかを教わったところはあるかも知れないですね。すごくいい影響を与えてくれた……まさに、いい風を吹かせてくれましたね。「君らのほうが風やで」って書いといてください(笑)。
──わかりました(笑)。
西寺 LUCKY TAPESのメンバーとは、音楽的な嗜好性がすごく近いんだろうなということをまず感じました。それでいて、ルービックキューブじゃないけど、「同じものでも裏面から見ると、育った時代が違うとこうやって見えんねんな」ということがよくわかるというか。歌詞で使う言葉なんかでも僕らが使いそうなものがあったり……まあ、彼らは僕らを見てというより、いろんなものを見てそうなってるんでしょうけど、たどり着いた場所が比較的近くて。彼らをはじめ、最近は80'sやブラックミュージックをベースに持っているような若くて面白いバンドがたくさん出てきましたよね。90年代、ゼロ年代と、NONA REEVESはかなり孤独な道を進んできたんで、時代がひと回りして仲間が増えたことはうれしいですね。
──次はアイドル。NegiccoのMeguさんからは、こんな回答をいただいています。
Megu(Negicco)
Comment
多くのミュージシャンに愛され、たくさんの影響を与えた、3人!
connieさんもノーナさんからたくさんの影響と刺激を受けて、Negiccoに反映してくださり、たくさんの名曲が誕生しました。大先輩なのに、ノーナさんを見ていると、音楽は楽しい!音楽って最高!と一番大切な事を思い出させてくれます。これからも3人が作る音楽、楽しみにしていますね。最後に声を大にして言わせていただきます!!
NONA最高~~~!!!
西寺 「最高~~~!!!」って、すごくMeguちゃんぽい(笑)。Negiccoの3人はみんないい子なんですけど、特にダンスミュージックが好きなMeguちゃんは音楽的な好みがノーナに近いなと思います。
小松 Meguちゃんはいつもニコニコしてる印象で、すごく感じがいいですよね。
──ちなみにノーナとNegiccoとの最初の接点は?
西寺 「愛のタワー・オブ・ラブ」という曲の作詞、作曲、プロデュースを僕がやらせてもらって、それが最初……いや、違うな。エレキコミックと片桐仁くんがやってる危険日チャレンジガールズ!という女装ユニットに僕が「ニコらス!」という曲を提供したことがあって、その曲にフィーチャリングでNegiccoが参加してたんだ。厳密にいえば、それが最初の接点ですね。
──こんなところにも、やついさんが(笑)。
西寺 やついくんのおかげですよ(笑)。で、「愛のタワー・オブ・ラブ」のあとに作曲とプロデュースを担当した「ときめきのヘッドライナー」では、奥田がギター、小松がドラムを演奏していて。そのシングルのカップリングで、Negiccoの楽曲をずっと作られているconnieさんが「さよならMusic」という曲を書かれてるんです。「この曲はノーナへのオマージュで作りました」って彼は言うんですが、そのまんまやん!っていう部分もあって(笑)。「さよならMusic」には、奥田と小松、今KIRINJIで初期ノーナのベーシストだった千ヶ崎学が参加してるんですけど、演奏メンバーも同じなんて、そりゃノーナっぽくなるはずですよ。で、めっちゃ人気あるんですよね(笑)。ファンが選ぶ1位とかになってて。うれしいです(笑)。
奥田 僕はけっこうNegiccoのレコーディングでギターを弾かせてもらっているんですけど、3人に会うたびに、「なんでこの人たちはこんなに自然なんだろう」って、いつも感動するんです。あと、「バスセンターのカレー」とか、Negiccoがいなかったら知らなかったであろう新潟のローカル文化をけっこう輸出してますよね。人間力があるというか、徳が高い人たちなんだろうなと思います。
──ちなみに小松さんがサポートメンバーで加わってるORIGINAL LOVEの田島貴男さんもNegiccoに楽曲提供していますね。
小松 そう、とにかく田島さんのNegiccoへの入れ込み方がハンパなくて(笑)。Negiccoのことをしゃべってるときの田島さんのテンションの高さといったら! 新潟にもちょいちょいライブを観に行ってますからね。人を引き込む魅力がある3人なんだなと思います。あとNegiccoはメンバーはもちろん、スタッフのチームワークも本当に素晴らしいなと思います。
──最後はこの方。NONA REEVESというバンドの真理をつくような回答をいただきました。
坂本真綾
Comment
長く活動することは大変ですが、進化し続けることはもっと難しい。NONAが長年愛され進化し続けているのは、この3人だからで、3つの歯車が絶妙に噛み合っているからなのだろうなと思います。それぞれが色んなアーティストの作品に参加されていることも、いい形でNONAの音楽にフィードバックされているのかな。ひとりでやっている私には味わえないような、3人ならではの可能性がたくさんあるんだろうなと思うと、羨ましいです。
奥田 さすがの回答ですね。
──真綾さんといえば、一番交流があるのは奥田さんですよね。
奥田 10年以上前からサポートとか曲提供をさせてもらってるんですけど、とにかく超人的な人ですよね。音楽的な体力もすごいし、瞬発力や反応する力とか、あらゆる面が強い人なんです。真綾ちゃんの曲は複雑な構成のものが多くて、あれを平然と歌ってることだけで超人だなと思います。1つのブランドを築いたというか、もはや「坂本真綾」というジャンルがある感じすらしますよね。誰が真似しようと真綾ちゃんを越えることはできないだろうし。それをキャリアの早い段階で確立してたと思うと恐ろしい。
小松 声優さんということもあり、演じることができる人なので、歌の世界に入る込むことができるし、それを客観的に見ることもできる。真綾さんは、そういう冷静さを持ったパフォーマーだなと思います。真綾さんが自ら作詞した「レコード」という曲の歌詞がとにかく素晴らしくて、作詞家としてもすごい才能を持ってるんだなと思いました。この才能を伸ばしていったら、専業作詞家にもなれるんじゃないかというぐらいのクオリティで。
奥田 本当に超人ですよ(笑)。
西寺 僕は1回しかお会いしたことがなくて、ほかの2人ほど真綾さんのことを知らないんですけど、すごく気持ちのいい人なんだろうなというのが自分の中での印象です。これを機にと言ったら変ですけど、何かの形で一緒に音楽を作れたらいいなと思いますね。
──あり得ない話ではないですし、実現すればこれまでの西寺ワークスとはひと味違ったものができそうな気がしますね。ここまでNONA REEVESに関する、さまざまなアーティストからのコメントをご覧になっていただきましたが、いかがでしたか?
西寺 ほかのアーティストにコメントを提供する機会は多いんですけど、逆に自分たちがコメントをもらうことって今まであまりなかったんで、すごく新鮮でしたね。「こういうふうに見られてたんだ!」って。他ジャンルの人たちの意外な意見もあって面白かったです。この記事をきっかけに、いろんな人たちに僕らの新しいアルバムに興味を持ってもらえたらうれしいですね。
──というわけで、ここからはニューアルバム「未来」についてお話を伺いたいと思います。
次のページ »
アルバム「未来」インタビュー
- NONA REEVES「未来」
- 2019年3月13日発売 / Warner Music Japan
-
[CD] 3240円
WPCL-13008
- 収録曲
-
- 未来
- ガリレオ・ガール
- 今夜はローリング・ストーン feat. RHYMESTER
- Physical
- Sad Day
- プレジデント・トゥナイト
- Go Home
- Sorry JoJo
- Aretha
- Disco Masquerade
- 遠い昔のラヴ・アフェア
ツアー情報
- THE FUTURE 2019
-
- 2019年5月3日(金・祝)東京都 新代田FEVER
- 2019年5月4日(土・祝)東京都 新代田FEVER
- 2019年5月11日(土)大阪府 Music Club JANUS
- 2019年5月12日(日)愛知県 ell.FITS ALL
- 2019年5月18日(土)北海道 札幌KRAPS HALL
- 2019年5月25日(土)福岡県 DRUM SON
- 2019年6月1日(土)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
- 2019年6月23日(日)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA(※追加公演)
- NONA REEVES(ノーナ・リーヴス)
- 西寺郷太(Vo)、奥田健介(G, Key)、小松シゲル(Dr)の3人からなる“ポップンソウル”バンド。1995年に結成し、1997年11月に「GOLF ep.」でメジャーデビューを果たす。初期はギターポップ色の強い楽曲を得意としていたが、1999年のメジャー2ndアルバム「Friday Night」を機にディスコソウル的なサウンドを追求し始める。その後も精力的に活動を続け、コンスタントに作品を発表。ポップでカラフルなメロディと洗練されたアレンジによって、国内でほかに類を見ない独自の立ち位置を確立する。西寺は文筆家としても活動し、80'sポップスの解説をはじめとする多くの書籍を執筆。さらにメンバーは3人とも他アーティストのプロデュースや楽曲提供、ライブ参加など多岐にわたって活躍している。2017年3月にメジャーデビュー20周年を記念したベストアルバム「POP'N SOUL 20~The Very Best of NONA REEVES」を、10月には通算13枚目となるオリジナルアルバム「MISSION」をリリース。2019年3月にはニューアルバム「未来」を発売し、5月からレコ発ツアー「THE FUTURE 2019」を行う。
2019年3月13日更新
Comment
100%妄想ですが・・・兄もいないし。
年齢的にノーナはちょっと先輩。でも、同じ学校って感じじゃない。
近所の・・・っていう感覚もしっくりこない(西寺さんが関西出身ってこともあり)。
そう、強いて言えば・・・ダサい兄の部屋にちょっとずつ趣味の良いCDやらポスターやらが並び始めたと思ったら・・・
あ~、あの人たちの影響なんだ。へ~校内でノーナ・リーヴスってバンド組んでる人なんだ。へー。
って距離が一番ピッタリかも。
時々家に来たり、サークル合宿の写真に写ってたりするのを見たりして。
いいなーお兄ちゃん、こんな人たちと遊んでるんだーって。
あれ? わたし、ノーナにこんなにも憧れの感情抱いてたんですね。今気づきました(笑)。