NOMUZOがB2takes!!を迎えたスプリットシングル「シャンパン」でCDデビューした。
NOMUZOは現役ホストのコータと、1999年に芸能活動を始めたオジュンによる“異色イケメンユニット”で、夜の世界を盛り上げるべく2023年2月に結成された。デビューシングルの表題曲「シャンパン」は韓国のグループ・NORAZOによるヒット曲「CIDER」をアレンジしたコミカルかつクールなパーティソング。B2takes!!はバックダンサーとコーラスで参加し、楽曲のにぎやかなムードをさらに引き立てている。
音楽ナタリーではNOMUZOと、B2takes!!のIGUと奥山ピーウィーにインタビュー。2組のトークは、「ホストクラブでの酔興」をテーマにした「シャンパン」さながらの盛り上がりを見せた。
取材・文 / 小松香里撮影 / 梁瀬玉実
空から落ちてきたオジュン、売り上げナンバー1のコータ
──まずは、NOMUZOのデビューシングルがB2takes!!とのスプリット作品になった経緯を教えてください。
奥山ピーウィー(B2takes!!) オジュン様が地球に来られたところからお話したほうがいいですよね……?
オジュン(NOMUZO) (笑)。設定がブレブレなんですけど……日本のナイトレジャーを盛り上げようと俺が“オジュン星”からやってきたことがきっかけなんですよね。新たに音楽を始めるなら相方がいたほうがいいなと思って、現役ホストでしかも「NUMBER ONE」という店で先月売り上げナンバー1を取ったコータに「ユニットを組もうぜ」「飲むぞ」と声をかけました。
コータ(NOMUZO) 最初にオジュン様と出会ったとき、僕は散歩してたんですけど、空からキラリと光るオジュン様が目の前に落ちてきて、いきなり「飲むぞ」と声をかけられました。僕はちょうどシャンパンを持っていて、オジュン様が裸で寒そうだったので、「シャンパンでも飲んで温まってください」と言って。そこから僕たちの物語が始まったんですよね。
奥山 B2takes!!は“真面目にふざけるアイドル”というのをコンセプトに10年ほどやってきまして、コロナ禍で暗くなった世の中を元気に明るくしようと思っていたところ、オジュンのおとんから、「ぜひうちのオジュンと一緒に地球を盛り上げてくれ」と言われまして。NOMUZOのデビュー曲「シャンパン」にダンサーとコーラスで参加させていただいております。
オジュン ……スベってると思います?(笑)
一同 (笑)。
オジュン 何度もツッコミどころがあったと思うんですけど、ずっとスルーしてますよね?(笑)
──(笑)。いや、「本当ですか?」と聞いていいのかどうなのかと……。
奥山 全然言ってください!(笑)
オジュンの友達・田口淳之介
奥山 本当のことを言うと、B2takes!!は長いこと活動してるんですが、コロナ禍でライブがまったくできなくなったこともあり、もともと12人だったメンバーがこの2人だけになってしまったんです。
オジュン 「シャンパン」のミュージックビデオ撮影のときは4人いたもんな。
奥山 そうなんです。その頃は4人だったんですけど、そこからまた2人減ってしまいました。今の状況だと、僕たちだけでCDを出すよりもほかのアーティストと組んでリリースしたほうがいいなと思って。オジュン様はアイドルとして大先輩で……。
オジュン “オジュン様は大先輩”?
奥山 (笑)。いや、オジュン様は大先輩じゃないんですけど……設定が難しい‼
──田口淳之介さんはオジュンさんの友達だという情報もありますが……。
オジュン そうなんですよ。でも、NOMUZOのホームページにも普通に“田口淳之介”って書いてるので大丈夫です(笑)。
奥山 (笑)。それで、アイドルの大先輩から「一緒に活動しませんか?」と誘っていただいたので、いろんなことを吸収させてもらえるチャンスじゃないかと思って「ぜひ参加させてください!」とお答えしました。今一緒にリリースイベントを回らせてもらっていて、いろんなことを学ばせてもらっています。IGUはよくオジュン様に「クビ!」って言われてるんですけど。
IGU(B2takes!!) そうなんです。
オジュン (笑)。IGUは10年以上活動してるとは思えないほど緊張しいなので、「ステージは俺らのものなんだから緊張するなよ」と。何よりも来てくださっているファンの方々に楽しんでもらうためには、毎回同じステージをやってちゃダメだと思うので、よく「クビ!」って言ってます(笑)。
IGU (笑)。愛のムチをいただいています。そのたびに反省して「もっとがんばろう」と思います。
コータ トライ&エラーですからね。
オジュン お前も危ないぞ!(笑) 「リリース日は4月25日」っていう簡単なワードを何回も噛んだり、しまいには2月とか言い出してさ。
コータ (笑)。それは言わない約束じゃないですか。
──コータさんは俳優として活動されていた経験はあるけど、アーティスト活動はこれが初めてなんですよね。
コータ そうなんですけど、それを言い訳にせず、みんなと対等にプロとしてやりたいと思っています。失敗も糧にして、1つひとつステップアップしていきたい。こういうことを言うとオジュンさんから「定型文すぎてつまらない」とか「話が長いぞ」って言われるんですけど(笑)、これからどう個性を出していくか考えているんです。
オジュン コータはツラがいいっていうのは1つの強みですよね。びっくりしたのが、「シャンパン」のMV撮影のとき、初めてなので慣れてなくて、俺がアクションやらカメラに対するアプローチの指導をしたんですけど、できあがった映像を観たらコータのほうがいい表情をしてたんです。作品になったときに目を惹くものがあるっていうのは、かなりセンスを感じましたね。
コータ まあ、オジュンさんの相方としては当然のことですね。自信はちゃんと持ってないといけないし。過信はしちゃダメだと思いますけど。
決勝戦はピーウィー対IGU
──そもそもオジュンさんはB2takes!!にはどんなイメージがあったんですか?
オジュン もともと“田口”がメンズユニットのイベントにゲスト出演したことがあって、俺も袖からB2takes!!のライブを観たことがあるんですけど、活動歴が長いだけあって安定感があるんですよね。「シャンパン」の振り入れもスムーズでした。この前、リリースイベントの折り返し地点で中打ちをやって、B2takes!!ともう1組一緒にやってるXURS!っていうグループのメンバーに「俺、まだ君らのことを全員ちゃんと覚えられてないから、自己PRやってよ」とお願いしたんです。彼らはもうちょっと面白くなれると思ったから。コータは最初の乾杯だけ参加して「NUMBER ONE」に行って、それで9人ぐらいで自己PR対決をした結果、このピーウィーとIGUがやっぱり面白くて。2人で決勝戦をやって結局ピーウィーが優勝しました。
奥山 そうなんです。それで田口さんから金一封をいただきました!
オジュン オジュンな?(笑)
奥山 はい、オジュン様から(笑)。事務所にずっと先輩がいなくて僕らが一番上だったんですけど、やっと先輩ができた気がしてすごくうれしいです。お客さんの盛り上げ方とかオジュン様が教えてくれたり。オジュン様はファンをすごく上手に巻き込んでライブをするんですよ。MCで特定の子に話しかけたり。僕たちはそういうことをやってなかったんですが、声をかけられた子も喜んでいたのでマネしていきたいと思ってます。あと、驚いたのが本当に毎回違うライブなんです。“こなしてない”っていうか、1つひとつのライブを本当に楽しんでることが伝わってくる。だからこそ、ファンの子も楽しめるんだなと思いました。
IGU 僕はアガり症ではありますが、なるべくファンの子ともしゃべっていきたいなと思ってるし、もっとオジュン様と仲よくなりたいなと思ってます。
──コータさんがこの3人から学ぶことというと?
コータ 学ぶことしかないです。芸能活動は20歳ぐらいからやってるんですが、役者とアーティストでは見せ方が全然違う。撮られるというよりは、自分から能動的に動いていく必要があります。僕自身、けっこう内にこもりがちなので自分を解放している段階です。
オジュン コータはホストをやっていて、「シャンパン」もホストクラブにぴったりだから、いろいろできることはあるよね。
コータ そうなんです。僕が働いている店でもけっこう反響があるので、シャンパンコールの歌にしようと思ってます。でもまだコロナ禍で、みんなで集まって飲むことに対して緊張感があるご時世なので、俺たちの力で和らげていけたらいいなと思ってます。
オジュン コロナ禍で鬱憤を晴らす機会が少なくなってると思うんですよね。僕たちにとってはライブの場がそうなんですけど、配信ライブをやるようになって、地方のお客さんにも気軽にアプローチできるようになったのはいいことだと思ってます。最近ようやく声出しがOKになったり、マスクも状況に応じて取ってよくなって出口が見えてきた。入り口は大変だったかもしれないけど、出口が見えてきて……行き先は田口!
奥山 素敵ー! コータ、これだよ!
コータ これが会話の着地点ですね。メモしておきます!
目指すは子供に好かれるホスト
──「シャンパン」のMV撮影はホストクラブで行ったそうですが、コータさんとしてはホームでの撮影ということで、何かポジティブな作用はありましたか?
コータ 初めてのMV撮影とはいえ、僕にとっては行き慣れた場所でもあったので、オジュンさんをお手本にしながらも、伸び伸びと「こういうことをやってみようかな」といろいろ試せましたね。ただ、監督からしたらちょっとウザかったと思います。「こういうのどうですか?」と何度も話しかけに行っては、「それはなしで」と言われて(笑)。でもそうやって一緒に物作りするのは楽しかったですね。好奇心と向上心だけは人一倍あると思ってるので、これからもがんばります!
オジュン エキストラの方をたくさん手配していただいたり、インフルエンサーの方に出演していただいたり、かなり予算をかけてもらったんです。ポップで面白いし、いい作品ができあがってよかったなあと思ってます。撮影も楽しかったよね。ホストクラブを3軒使わせてもらったんですが、移動するたびに俺らはこの衣装で新宿を歩かなければいけなくて(笑)。こんなピンクのエクステ、目立ちすぎるんだけど、もう慣れたよな?
奥山 慣れちゃいましたね(笑)。
オジュン この前ららぽーとでライブをやったんですけど、ステージに向かう途中で、コータに向かって小さい子が手を振ってて。
コータ そう、スパンコール付きの衣装は子供受けがいいんですよ。僕は母が保育士で、昔から小さい子と一緒によく遊んでたので子供が大好きなんです。子供に好かれるホストを目指してます。でも子供はお店に来れないので、NOMUZOの活動は「昼間の指名を待ってます!」ということで(笑)。
奥山 ライブにはお子さんも来れますからね。
オジュン 実際お子さん連れでリリースイベントに来てくださる方もいるんですよね。忘年会シーズンはまだまだ先だけど、NOMUZOのポップさは夏にも合うと思うし、バーベキューとかやりながら開放的な雰囲気で「シャンパン」を楽しんでもらいたいですね。TikTokにもハマる曲だと思うから、どんどん拡散されてほしいなと思ってます。「シャンパン」はNORAZOという韓国のコミックユニットが歌う「CIDER」のカバーで、オリジナルバージョンが持ってる元気なパワーを継承できているのかなと思います。
──パラパラのような振付やコールソング調の部分が特徴的ですが、どんなところにこだわりましたか?
オジュン オリジナルのNORAZOさんの振付を取り入れていて、リズムに合わせてパーティゲームができる曲になってます。見ればすぐに覚えられる簡単な振りなのもいいと思います。
IGU B2takes!!にもこういうパロディっぽい曲はあるんですが、ここまで振り切れてる曲はなかったので、そういう曲をNOMUZOとパフォーマンスできるのはすごくうれしかったです。
奥山 僕は最初はちょっと困惑しました。僕たちのメジャーデビュータイミングで歌っていた曲(「ブラン・ニュー・アニバーサリー」)は、ファンの人が「応援しててよかった」と思うようなメッセージ性のある曲だったので真逆だなって。「飲んで!飲んで!」とか「二人弾けて」という歌詞もあって聴いてるうちに勝手にテンションが上がってきて、たくさんの人に元気を与えられるんじゃないかなと思います。パフォーマンスしていてすごく楽しいです。あと、僕は振りに平成っぽさを感じたんですけど、みんなが踊ってる動画を撮りたくなる点では令和っぽい。平成と令和を掛け合わせた感じがいいなと思います。
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オジュン星に戸惑い