NMB48「渚サイコー!」特集|絶対的エース・渋谷凪咲の卒業で迎える転機──NMB48の現在地と未来とは (2/2)

テーマ③
秋元康から卒業証書=ラストシングル「渚サイコー!」に込められた思い

──28thシングル「渚サイコー!」は、渋谷さんの卒業記念作となります。最後のレコーディングや最後のミュージックビデオ撮影は感慨深かったのでは?

渋谷 そうですね。今回の「渚サイコー!」は、卒業ソングなのに寂しい気持ちにならないんですよね。タイトル通り「今この瞬間がサイコー!」という前向きで幸福感のあるメッセージが根底にありますし。別れを前にしみじみするよりは、むしろ「これからもお互い楽しく笑っていたいよね!」って励まし合う感覚。こんなにハッピーな卒業ソング、珍しいかもしれません。

上西 実際、歌詞の内容が凪咲さんそのものなんですよ。やっぱり秋元康先生は細かいところも見ているんだなと驚きました。

上西怜

上西怜

渋谷 そこは私自身もびっくりしました。「特に事前の打ち合わせとかしたわけじゃないのに、なんで私のことがこんなにわかるの?」って。でも、うれしくて泣きそうになりましたね。「可愛いだとか スタイルいいとか ルックスだけじゃなくて 独特のセンスが誰とも比較できない」という歌詞があるんですが、実際、加入した11年前から、ずっとルックスではみんなに勝てないと思っていましたし。

──そんなことはないと思いますけどね。

渋谷 いや、だからこそ「自分らしさや中身で勝負するしかない」と考えるようになったんですよ。それは結果的に自分にとってプラスだったと思いますし。あとは研究生の頃にセンターをやらせていただいた「君と出会って僕は変わった」という思い出深い曲があるんですけど、この「渚サイコー!」にも「君と出会ってから」というフレーズが盛り込まれています。ほかにも挙げていったらキリがないくらい、「これは…‥!」という箇所があるんですよね。私の11年すべてが詰まっているし、なんだか秋元先生から卒業証書をいただいた気分です(笑)。

上西 MVで注目していただきたいのは、メンバー全員がとにかく楽しそうに踊っているところ! ダンスシーンを撮る前、先生を含めた全員で円陣を組んだんですけど、今までこんなことをしたことがなくて、それくらい現場の雰囲気が明るかったんですよね。それもこれも笑顔の凪咲さんが中心にいるからだと思います。MVを観る方も、自然と笑顔になれるんじゃないかな。

──10月のリリースなのに、水着姿というのも珍しいパターンなのでは?

山本 そうかもしれませんが、「渚=海」ということで今回の水着姿は自然じゃないかと思っています。あと「渚サイコー!」はダンスにも注目していただきたいですね。パワーパフボーイズさんによるサビの印象的な振付は、「ルンルンダンス」と名付けられているんです。めっちゃキャッチーなので、バズらないかなと期待しています(笑)。

渋谷 メンバーもダンス動画をガンガン上げていきますが、世の中でバズるためには皆さんの協力が必要です! ぜひ一緒に踊ってみてください!

渋谷凪咲のルンルンダンス。

渋谷凪咲のルンルンダンス。

──今回、青原さんは初めてのMV撮影だったんですか?

青原 そうですね。レコーディング自体も初めての経験でした。今までNMB48の大ファンとして過ごしてきたので、実際に自分の声がNMB48の曲に入るのが夢みたいです。これまでの人生で一番うれしかった……。選抜入りできるって最初に聞いたときは、感情が追いつかなかったんですよ。「えっ?」と戸惑っているうちに時間が経ってしまい、喜びを感じる余裕もないというか。

──酷なことをお伺いしますが、妹の優花さんはどのような反応でした? 「お姉ちゃんばかり選ばれてズルい!」と姉妹でケンカが始まるような惨事には至らなかった?

青原 ジェラシーの感情とかはまったくなかったみたいで、なんだったら妹が誰よりも喜んでくれました。不安のあまり「私なんかでいいんかな?」と言っていると、「なんでそんなこと言うの! いいに決まっているじゃない!」と、めっちゃ励ましてくれるんです。

青原和花

青原和花

渋谷 妹の優花ちゃんだけじゃなく、みんなが青原和花ちゃんの選抜入りを大歓迎していますよ。今までどれだけがんばってきたか知っているし、可能性を感じさせる素敵なメンバーなので、選抜に入るのは妥当としか言いようがないです。ファンの方も絶対に納得してくれるはずです。

──カップリング曲の「人生は長いんだ」も非常に豪華ですね。ダイアン、かまいたち、見取り図とコラボしています(参照:NMB48渋谷凪咲卒業シングルにダイアン、かまいたち、見取り図参加)。

渋谷 皆さん本当にお忙しい方ばかりなのに、ありがたいことです。このコラボは私の希望だったのですが、まさか本当に実現するとは思いませんでした。私のアイドル人生11年間を振り返ったとき、NMB48での活動はもちろん大事だったけど、ダイアンさん、かまいたちさん、見取り図さんのことも語らずにはいられないんですね。今の自分があるのは、皆さんのおかげなので。「人生は長いんだ」のMVを観ると、自分でも泣いちゃうんですよ。

──皆さん心から楽しそうで、和気あいあいとした雰囲気が伝わってきます。

渋谷 あのチェッカーズ風の衣装も私がお願いしました。それから「肩を組んで全員で一緒に歌う」というのもどうしても叶えたかった私の夢なんですけど、それも実現して……もう本当に感無量です。歌詞やMVも上京がテーマになっているようなところもありつつ、「これからどんどん挑戦していくんだ!」と鼓舞するような内容ですし。「渚サイコー!」とともに愛していただけたらなと思っています。

テーマ④
「ポスト渋谷体制」と「今後のNMB48予想図」

──渋谷さんは、熱心なアイドルファン以外にも広く顔が知られている存在です。影響力があるメンバーの離脱は、グループにとってダメージが大きいのでは?

上西 山本彩さんや渡辺美優紀さんが卒業するときも、「もうNMB48は終わりだ」みたいな声はすごく聞こえてきました。でも、実際はずっとこうやって続いているわけじゃないですか。それはなぜかというと、まだ世の中に知られていない魅力的なメンバーがたくさんいるからなんです。

渋谷 それは本当にあると思う。じゃなかったら続いていないよね。

上西 一例を挙げると、「第2の渋谷凪咲」と言われることもある平山真衣ちゃん。独特のワードセンスで笑いを取れるところなんて、すごい逸材だなと思うんですよね。吉田朱里さんは女子力という切り口からファン層を広げてくれましたが、その部分は(山本)望叶が見事に引き継いでくれています。大事なのは次の世代がちゃんと育っていること。私たちがもっともっと大きくなって、卒業した先輩たちから安心して認めてもらえるようなグループになりたいです。

山本 「こんな立派な先輩がいなくなるなんて不安」ではなくて、「こんな立派な先輩の背中を見てきたんだから大丈夫」という気持ちでいるように心掛けています。今のNMB48には落語が得意な安部若菜ちゃんもいれば、グルメ系インフルエンサーとして注目されている出口結菜ちゃんもいますしね。個性豊かなメンバーたちが、それぞれの得意分野でお仕事につなげているのはすごいことだと思うんです。

山本望叶

山本望叶

渋谷 魅力的なメンバーがそろっています。なので、みんなで個性を磨いて、そしてたくさんの方に知っていただける機会を増やしたいですね。ちょっと話がズレるかもですが、「M-1グランプリ」で優勝した芸人さんって翌日から一気に注目される存在になるじゃないですか。だけどそれって急にお笑いのスキルが上がったわけじゃなく、優勝する前日も同じレベルで面白かったと思うんです。

──渋谷さん自身も、群雄割拠のアイドル界の中で突出した存在になりました。

渋谷 自分の実力だけでは絶対にないですよ。人前に出るチャンスが転がってくるかとか、ちゃんと見てもらえるかというのは運の要素もあるでしょうし。今のNMB48にはまだまだ見つかっていない素敵な個性があふれていますので、注目してもらいたいです。

──青原さんは渋谷さんと活動をともにした期間は短いですが、それでも学んだことはありますか?

青原 グループ愛です。今は何もかもまだまだな私ですが、NMB48を好きだという気持ちは誰にも負けたくないんです。凪咲さんがNMB48をすごく大事に思っていることは、こうしてお話していてもビシビシ伝わってくるから、その情熱は引き継いでいきたいです。

渋谷 ありがとう(笑)。もう私も安心して卒業できるね!

「渚サイコー!」と叫ぶ渋谷凪咲。

「渚サイコー!」と叫ぶ渋谷凪咲。

──渋谷さんから、メンバー3人にメッセージをお願いできますか。

渋谷 私がいつも心掛けていたのは、神様に振り向いてもらおうと思ったら、日頃の行動から丁寧にしていかないとダメだということ。当たり前の話だけど悪い行いをせず、誠実かつ丁寧に過ごしていくこと。そうしないとチャンスも巡ってこないし、何かあったときに手も差し伸べてもらえませんから。ちゃんと早く寝て、早く起きる。規則正しい生活を送る。結局、そういうところからちゃんとしていくべきだと思う。

上西 人間としての生き方まで説かれるなんて……肝に銘じます!

渋谷 NMB48は絶対に負けないから。きっかけさえあれば、もっと大きな存在になれるよ。みんなの夢も叶うはずだし。それだけのポテンシャルは持っているんだって。

山本 なんだかすごく励まされた気がします。というか、私たちはもっとやれるんじゃないかという気になってきました(笑)。

上西 今年に入ってからライブの回数が増え、グループとしてまとまりを感じるんですよ。公演が終わるごとに反省会とかもしていますし。日々成長し続けるのもNMB48のよさだと最近は感じますね。

渋谷 ライブや劇場公演はNMB48の肝だと思う。ライブ中に誰かしんどそうだったら「がんばろう!」って声をかけたり、裏でも互いに励まし合ったり、気持ちが通じ合っているので。全力でやることを誰もバカにしない、いつだって本気のNMB48が私は大好き。私がいなくなっても、何も心配することはないと思うよ!

上西山本青原 凪咲さん、ありがとうございます!

左から青原和花、上西怜、渋谷凪咲、山本望叶。

左から青原和花、上西怜、渋谷凪咲、山本望叶。

プロフィール

NMB48(エヌエムビーフォーティエイト)

AKB48の全国進出第2弾として、大阪・難波に誕生したアイドルグループ。AKB48、SKE48同様“会いにいけるアイドル”をコンセプトに、2010年10月に活動をスタートさせた。2010年10月9日に行われたAKB48のコンサートで第1期生を初お披露目。2011年1月より劇場公演「誰かのために」を行い、7月にシングル「絶滅黒髪少女」でCDデビューした。2013年11月にNMB48にとって初のオリジナル公演となるチームN「ここにだって天使はいる」初日を迎え、12月には「NHK紅白歌合戦」に単独初出場。2018年11月にキャプテンであり中心メンバーの山本彩が卒業し、以降は小嶋花梨がキャプテンを務めている。2023年10月に渋谷凪咲の卒業記念シングル「渚サイコー!」をリリース。12月16日、17日に大阪・Asue アリーナ大阪で「NMB48 渋谷凪咲卒業コンサート」「NMB48 クリスマスパーティー 2023」を開催する。