“マシュマロみたいな歌声”を意識した
──児玉さんは完成した「まどろみはDejlig」を聴かれたときはどう感じました?
児玉 私は録りたてホヤホヤの、のぞみるの仮歌を聴いているんで! どうもすみませんね、皆さん(ドヤ顔)。
西田 急にマウンティング!(笑)
児玉 すみません(笑)。歌詞もアレンジ、ミックスも含めて優しいなと思いました。本当にかわいくて素敵な声です。
西田 この曲は息多めというか、ささやくように歌いました。あと、眠りから覚めるか覚めないかのとろんとした感じを表現できるといいなと思って、そこに意識を置きながら歌いましたね。キンッとした音で歌っちゃうと目が覚めちゃうので、柔らかい感じに歌ったほうがいいのかなとか。マシュマロみたいなものを想像しながら歌いました。
児玉 確かにマシュマロみたいな声!
──2人の関係性も含めて、すごくいい化学反応を起こしながら制作されていったんですね。
西田 本当にフレンドリーにお話ししてくださったので、先生というよりお友達みたいな感覚で、いろいろと相談できたので楽しかったです!
児玉 そう言っていただけて光栄です……!
疲れたときに、大切なことを思い出してもらえたら
──リーディング部分の物語は曲ができてから作られたんですか?
西田 そうですね。児玉さんにはアルバム全体の流れをお伝えして。いただいたリーディングは、「この子はその日、会社でうまくいかなかったのかな?」とか想像が膨らんで、読んでいてすごく楽しかったです。
児玉 私は「想像守護神キメキトイア」のような明るく弾けた曲とか、藤林聖子先生が作詞された「Bubble Balloon Museum」といった幸せな曲を聴く前に、徹底的につらい現実を思い出させようと思って最初のリーディング部分を書きました(笑)。逆にそうすると、例えば1曲目「Bubble Balloon Museum」の華やかさや優しさがぐっと胸を打つな、と思ったんですよ。
西田 そうだったんですね! リーディングの収録のとき、「この子はどのくらいつらいのかな?」と考えていたんですけど、「部長に怒られたな」とか、「取引先の重要なメールで間違えたな」みたいな、細かい設定まで想像して収録したら、スタッフさんに「ちょっと暗すぎる」と言われて(笑)。
児玉 言われていましたね(笑)。
西田 それで相談し合った結果、すごくいい語りと曲のバランスになりました。アドバイスがなかったら、暗すぎる語りになってたかもしれないので、周りの方に感謝です。
──西田さんのリアルな感じの語り方も含めて、日々がんばっている皆さんに響くストーリーになっているなと思います。
児玉 何歳になっても、この物語みたいに曜日感覚が狂うほど疲れてる日があると思うんですよ。そういうときにこれを聴いて、大切なことを思い出してもらえたらうれしいな、と。忙しいと、とりあえずごはん食べて化粧落として顔洗って「疲れた! 寝る!」みたいに、すぐ目の前のことで精一杯になっちゃうじゃないですか。でも、そんな毎日で、小さい頃にいいなと思っていたこと、こうなりたいと思っていたこと、これからも大事にしたいことを忘れてしまったらさみしすぎるので……。ちゃんと朝起きたら日常に戻っていくという流れもきれいに作れるように、ちょっとだけこだわりましたね。最終トラックの「フルスロットルで行こうぜ!」が、めっちゃJ-POPじゃないですか。
西田 うんうん、すごいJ-POP! 大好きです!
児玉 「想像守護神キメキトイア」みたいな個性的な曲たちの最後に、あのJ-POPに戻る感じが好きで。私、アニメーションやアイドル、エンタテインメントってある意味夢の世界で、現実と引き立て合っていると思っているんです。両方がなくてはならない、と。なので、このアルバムでも最後に現実に帰ってくる「フルスロットルで行こうぜ!」が浮かずに引き立て合えるように、全体の流れをすごく考えて物語を付けましたね。
西田 その流れ、すごくよかったです。私はリーディングの収録全体を通して、短い中にも感情の変化を付けようと意識しました。ちょっと疲れた現実、夢の中、まどろんでいる感じ、目覚めてパキッとした感じ……と。そのほうが聴いてくださる方にも物語がわかりやすいですし、歌に対してのアプローチとしてもいいのかなと思って。いつか、朗読と歌を交えたライブをやってみたいです。私、本当に物語が好きで、背景とか情景にキュンときちゃうんです。なので、そういう世界観とかお話を表現して、歌を聴くのが好きな人もそうじゃない人も楽しめるものが作れたらいいなと思っています。
──お二人が自分のフィールドで最大限の力を出し合い、全曲通して聴いてほしい作品になりましたね。相性のよさを感じますが、また何か一緒にやりたいなと思うことはありますか?
児玉 バイクですかね! 私まだ免許取れていないんですけど、いつかツーリングに行きましょう!
西田 わーっ、行きたいです!
児玉 どこに行きますか?
西田 まず近場だったら神奈川が一番! 三崎口のほうから……。
児玉 いいですね! お魚を食べたりして。
西田 湘南、江ノ島と、いい道があるんですよ。
児玉 行きましょう! あっ、お仕事の話じゃなくてすみません(笑)。もちろん楽曲制作でもまたご一緒したいです。なんだか照れくさくて言えなかった……。
西田 ぜひぜひ! バイクに乗ったら、また違う曲ができるかもしれませんしね。すでに今回の曲にも勢いはありましたけど。
児玉 さらに爆発的なやつを作りましょう!