ナタリー PowerPush - ニルギリス
「全員脱退」という幸福な結末
いろんなアーティストに愛してもらった
──アルバムのクオリティ自体もすごく高いし、ダンスミュージックが中心になっている現在のシーンにおいて、ニルギリスがやれることはまだまだあると思うんですが、そのあたりはどう考えてますか?
岩田 なんて言うか、私たちはずっとやりたいことをやってきただけで、時代性みたいなことはそれほど考えてなかったんですよ。「今はこういう流れになってるから、こうしよう」みたいなことも意識してなかったし。たまたまうまくハマったことはあったかもしれないけど……。
栗原 器用じゃないからこそ、面白いことがやれたんじゃないかと思いますね。打算で動くこともなかったし、むしろ不器用でよかったんじゃないかなって。
稲寺 新しい音を取り入れるときも、自分たちがしっくりくるところに落とし込むようにしてましたからね。「がんばって背伸びしてやってみた」ってことはなかったかな。
岩田 ただ、いまだにニルギリスがどういうジャンルなのかはうまく言えないんですけどね。「J-POPです」くらいのことしか言えないというか……。どう?
栗原 ニルギリスのジャンル? 音楽です!
岩田 それじゃ、みんな納得しないでしょ(笑)。まあ、ダンスミュージックをずっとやってきたっていう感じはあるけど。
稲寺 「ダンスミュージックとポップスを行き来してます」という言い方をしてたこともあったけど、それもなかなか伝わらなかったんですよね。あと、どのシーンに属してるかわからないってよく言われたんですよ。だから、「えっ?」って思うようなイベントに呼ばれることもけっこうあって。女の子ボーカルというところで括られて、アコースティック系の女性シンガーのイベントに呼ばれたり(笑)。
岩田 そういえばメンバーが5人だった頃、LITTLE TEMPO、THA BLUE HERB、ニルギリスっていう組み合わせのイベントがあったんですよ(2004年1月15日に愛知・名古屋CLUB QUATTROで開催)。どっちも大好きなバンドだったからすごくうれしかったし、そのときにTHA BLUE HERBのILL-BOSSTINOさんに「『オドレミ』(ニルギリスの楽曲)をリミックスさせてよ」って言ってもらって。
稲寺 「オドレミ」は福富幸宏さんにもリミックスしてもらったよね。
岩田 うん。あと、ピーター・フックが入ってくれたこともあったし(New Orderの「Krafty」とニルギリスの「アイス・スケート・フォー・ライフ」をマッシュアップした「ICE KRAFT 4 LIFE」にピーター・フックがベーシストとして参加)。
──すごいですよね、ホントに。そういえばニルギリスを目当てにしてイベントに行ったとき、上京したばかりのPerfumeを観たこともありました。
岩田 新宿LOFTですよね(2006年4月19日に東京・新宿LOFTで行われたイベント。ニルギリス、RAM RIDER、Perfume、ロマンポルシェ。が出演)。あれは掟(ポルシェ)さんのイベントだったんですけど、面白かったですねー。控室でPerfumeの着替えを手伝ってあげたりして(笑)。
栗原 ハハハハハ(笑)。
岩田 いろんなアーティストさんだったり、業界の人に愛してもらったバンドでしたね、ニルギリスは。
時代に合わせないで好きなことをやってきた
──ニューアルバムにはシングルコレクションも付いてますが、まさにニルギリスのキャリアが詰まった内容になっていますね。
岩田 初期の音源を聴くと、「これ、違うバンドだな」って思うくらい音の作りが変わってるんですよね。皆さんがどんなふうに聴いてくれるのかがちょっとわからないんですけど……どうでした?
──「ソプラノ」「サンダー」「オドレミ」あたりは10年以上前の曲ですけど、まったく古さを感じませんでしたね。今リリースしてもなんの問題もないし、逆に“新しいダンスミュージック”として受け入れられるんじゃないかな、と。
岩田 よかった(笑)。ホントに恥ずかしいんですよ、その頃の曲は。「ニルギリスの歴史を込めたい」という思いもあるんだけど、まだ客観的になれないというか、スッピンの自分を見ているような気がして(笑)。
稲寺 マスタリングのときも落ち着かなかったよね(笑)。
──ダンスミュージックって、すごくトレンドがあるじゃないですか。10年以上前の曲が古く感じないって、すごいことだと思いますけどね。
岩田 さっきも言った通り、時代に合わせないで好きなことをやってきたからでしょうね。
栗原 そうだね。
岩田 CDのブックレットにバンドの年表も入っていて、メンバー同士のエピソードなんかも書いてあるんですよ。それを読みながら聴くのも面白いかも。「ここでメンバーが1人抜けたんだな」とか(笑)。
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iTunes Storeにて配信中!※DISC 1一部収録曲のみ。
DISC 1「チュクリ」
- WALK feat. DJ'TEKINA//SOMETHING
- Love Stick feat. akinyan electro
- Croquette feat. PandaBoY
- Men Healer Girl feat. Pa's Lam System
- Dreaming Shout feat. livetune
- Ring True feat. T-‐‑‒AK
- Nozomi feat. Novoiski from Moonbug
- My Alien feat. Shandy Kubota
- Shooting Star☆ feat. ZEGAPAIN
- Walküre feat. NGC
- I Love DIY feat. akinyan electro
- Shiny Shiny [Remix] feat. livetune
- Cosmology feat. The LASTTRAK
- sakura vs. The Plan That Cannot Fail feat. London Elektricity(CDのみのボーナス・トラック)
DISC 2「シングル・コレクション」
- ソプラノ
- サンダー
- オドレミ
- VUNA
- 真夜中のシュナイダー
- KING
- LEMON
- アイススケート・フォー・ライフ
- コモンガール
- sakura
- 24サーチライト
- SNOW KISS
- アップデート
- Brand New Day
- チックチックチック
- kiseki
- Shiny Shiny
ニルギリス「NIRGILIS LAST DANCE TOUR」
2014年9月6日(土)広島県 HIROSHIMA 4.14
2014年9月13日(土)京都府 METRO
2014年9月23日(火・祝)大阪府 北堀江club vijon
2014年9月27日(土)高知県 Club DAHLIA
2014年10月4日(土)愛知県 CLUB SARU
2014年10月25日(土)東京都 新宿MARZ
ニルギリス
近畿大に通っていた佐竹モヨと伊藤孝氣の2人によって1993年に結成。その後、メンバーが入れ替わり、2007年より岩田アッチュ(Vo, Key, Programming)、栗原稔(DJ, Programming)、稲寺佑紀(Dr, VJ, Programming)の3人で活動している。2003年9月に「真夜中のシュナイダー」でメジャーデビューを果たす。ダンスミュージック、ロック、ポップスを融合させたサウンドで音楽ファンを魅了。2006年3月に発表した「sakura」がアニメ「交響詩篇エウレカセブン」のオープニングテーマとして採用されたことを期に新たなファンを獲得した。2014年6月に突然、秋に開催するツアーをもって全メンバーが脱退することを発表。同年8月にさまざまなアーティストとコラボしたDISC1とベストアルバムDISC2からなる2枚組アルバム「チュクリ」を発表した。