小学生の“膝スラ禁止令”
──実際、紅白歌手ともなると、子供からお年寄りまで知名度も飛躍的に伸びたのでは?
それはすごく実感しますね。実際、名古屋でのロケ中に小学生が“膝スラ”をしながら近寄ってきてくれて、見てみると膝のところが破れているんですね。もう明らかに何十回も滑ったんだろうなとわかる感じで。聞いてみたら「うちの小学校、みんなめっちゃ“膝スラ”やっているんですよ」と笑っていました。聞いた話だと、なんと千葉県内の小学校では“膝スラ禁止令”も出されているらしいんですよ。真似する小学生たちが続出して、ジャージの膝部分が火傷みたいに破れてしまうらしくて。
──完全に社会現象じゃないですか! “全国の小学校で膝スラ禁止令”というのは、ある意味、オリコン1位や紅白出場と同じくらいの偉業だと思いますよ。真の国民的歌手になったということですから。
そう言っていただけると光栄です。おかげさまで最近は上の世代の方にも応援していただけることが多くて、ファンクラブにも90歳の方とかいらっしゃいますからね。「親、子、孫と3代でイベントに遊びに行きます」とか。それこそ秀樹さんのライブ映像を観ると、チラッと映る客席には老若男女いろんな方がいらっしゃるじゃないですか。少しずつだけど、あの光景に近付いてきているなという実感はありますね。
「名探偵コナン」テーマ曲での“挑戦”
──さて、次作が勝負作となります。4月16日にリリースされる7枚目の両A面シングル「Fun! Fun! Fun! / 炎のkiss」ですが、1曲ずつ聴きどころや注目ポイントを教えていただけますか?
5thシングルの「捕まえて、今夜。」(2023年5月発売)では、「名探偵コナン」公式スピンオフ作品「名探偵コナン 犯人の犯沢さん」の主題歌を担当させて頂きました。またいつかアニメ「名探偵コナン」テーマソングも担当したい気持ちはずっとありました。「Fun! Fun! Fun!」はアニメ「名探偵コナン」の新エンディングテーマ曲。エンディング映像では、モーションキャプチャを使って少年探偵団のみんなが踊ってくれてます。それこそ小さな子供から大人までみんなが踊れるポップソングに仕上がっています。この「Fun! Fun! Fun!」は、デモだけで8曲くらい提出したんです。「こういう曲ですよ」って番組サイドに伝える場合、通常は仮歌でやりとりするケースが多いんですけど、今回は僕がすべて歌入れした状態でお渡ししました。やっぱり子供たちに愛される「名探偵コナン」だし、今回は少年探偵団が主役の曲でもあるので、そこを意識して歌入れしたんですね。具体的にはいつものビブラートとか僕の癖でもあるしゃくりとかこぶしを抑え、通常のポップスに寄せたという感じです。いろんなところで言われ続けてきたことでもあるんですが、演歌・歌謡曲というだけで門前払いになることは6年間で何度もありました。正直、それが一番悔しい気持ちになるし、絶対そこを突破するんだという一心でやってきたところもあります。
──そこは聴いていて明確に感じましたね。ポップさ全開で、演歌・歌謡曲特有の“湿り気”が希薄な印象でした。
そう、一種の挑戦だったんです。確固たる作品の世界観やテーマがあるわけだから、自分のカラーだけを押し付けてもいけないなと思いまして。これで膝スラに続いて、ますますキッズたちのヒーローに近付けたらなと思っています。「捕まえて、今夜。」では“窓拭きダンス”で注目されて、「全てあげよう」のときは膝スラ。だから今回も何かフックになることを仕掛けていきたいです。
──そこ、伺おうと思っていたんですよ。当然、今回も何か企んでいるわけですよね。
アニメのエンディング映像の中でコナンくんを含めた少年探偵団がサビの部分で腕を上下に振るダンスがありまして、アニメーションから伝わるワクワクする気持ちと和気あいあいとした様子から“WAKI WAKIダンス”というネーミングで皆さんと一緒に踊っていければと思います。
ひと皮剝けるための挑戦曲
──そして「炎のkiss」は、「全てあげよう」に続いての木梨憲武プロデュース、所ジョージ作詞作曲という最強布陣になります。
とにかくインパクト絶大な歌謡ロックになっています。ミュージックビデオを観たら度肝を抜かれるんじゃないかと思いますね。そして今回、木梨さんから唐突に与えられたキーワードが“マイクスタンド”。「マイクスタンドを使ってパフォーマンスしなさい」ってことで、矢沢永吉さんがマイクを振り回しているYouTubeのリンクが送られてきて、「あとは自分で考えろ」みたいな感じだったんですよね(笑)。
──謎かけみたいなプロデュースですね(笑)。
木梨さんってピンポイントで「これをやれ!」とは言わないんですよ。「あくまでも最終的にはレオン次第なんだよ」と言われることが多くて、考えるヒントをくれる感じなんです。木梨さんに言われてハッとしたのは、「お前、もう29だろ? 『全てあげよう』は“すべての人に自分のすべてを与える”ということでOKだった。でも『炎のkiss』では逆に“kissできるものなら、してみろよ!”くらいの強気な姿勢でいけ」という言葉。「レオンには大人の色気が足りない」とも言われました。
──抽象的に聞こえるかもですが、表現者として本質的な部分を衝いている気もします。
深いですよね、本当に。今は“演歌第7世代”とかのくくりで注目されたりすることもあるんですけど、そうじゃなくて「もう俺は紅白歌手なんだ!」「売れているスターなんだ!」という気持ちで歌えと木梨さんは言うんです。本来の僕の性格は「初心を忘れないように」「感謝の気持ちをいつまでも」みたいな感じなので、むしろ木梨さんが求めているのは真逆なんだけど、だからこそ「炎のkiss」は新浜レオンがひと皮剝けるための挑戦曲なんですよ。
──そして先ほども軽く触れていましたが、衝撃的なMV。こちらも木梨プロデュースということでよろしいですよね。
もちろんです!アメリカンバイク、旧車、デコトラ、「西部警察」と大門圭介……意味不明なくらいブッ飛びまくっています! 撮影は埼玉県の深谷の道の駅で許可を取って撮影したのですが、所ジョージさんなんて「ポツンと一軒家」の3本撮りを終えてから、わざわざ撮影に駆け付けてくれましたからね。思わず申し訳なくなっちゃって。
──所さんの無駄遣い(笑)。
本当にそうですよ(笑)。ずっと野球をやっていて、真面目一徹の僕とは正反対の世界観がMVでは展開されますが、そこも新たな挑戦ということで受け取っていただければと。
──前作があれだけヒットしたにもかかわらず、まったく2匹目のドジョウを狙う気がないのが素晴らしいですよね。予定調和を嫌うところがロックだなと。
そこは木梨さんの考え方であると同時に、僕自身もうなずけるところなんです。とにかく楽な道と苦しい道があったら、僕は絶対に苦しいほうを選択する人間。野球でもみんなが100回スイングしていたら、僕は必ず101回素振りをしていました。その姿勢は生涯変わらないと思います。どこまで行っても、同じ挑戦者の気持ちでやっていきたいので。
“演歌・歌謡バージョン”のブルーノ・マーズを
──そして4月26日からは待望の全国ツアーも始まります。
単独でのワンマンコンサートはこれまでやったことがありますが、ツアーというのは今回が初めて。「やっと全国の皆様に純度100%の新浜レオンをお届けできる」と今から気合いが入りまくっています。はっきり言って、今までの演歌・歌謡系コンサートとは毛色が完全に違うものになります。バンドもダンサーも僕より年下のメンバーがそろっていますし。
──演歌のコンサートって、安定感抜群のベテランミュージシャンが演奏することがほとんどですよね。
バンドのメンバーはオーディションで募集したのですが、普通の大学生や、ツアー未経験のミュージシャン方も多くいました。その中で気の合う仲間を集めることが出来ました。去年、ブルーノ・マーズのライブを観させていただいたとき、すごく刺激を受けたんですよ。エンタテインメントとしてのクオリティが本当にすごいなと思いまして。バンドメンバーやダンサーも前に一緒に出てきて盛り上げるあの感じの“演歌・歌謡バージョン”を、僕はやりたいと思ったんですよね。
──最高です。演歌・歌謡曲の復権はレオンさんの双肩にかかっていると言ってもいいかもしれません。
とはいえ、このツアーも次につなげるための第一歩! とにかく今年のツアーを大成功させて、来年以降はもっと規模を広げ、10周年ではZOZOマリンスタジアムと甲子園でのコンサートを実現させる! 新浜レオン、今年はさらに飛躍したいと考えておりますので、応援のほど、よろしくお願いします!
公演情報
新浜レオンファーストコンサートツアー ~全てあげよう~
- 2025年4月26日(土)北海道 共済ホール
- 2025年5月3日(土・祝)大阪府 松下IMPホール
- 2025年5月4日(日・祝)福岡県 パピヨン24 ガスホール
- 2025年5月6日(火・振休)広島県 J JMSアステールプラザ 中ホール
- 2025年5月17日(土)沖縄県 ミュージックタウン音市場
- 2025年6月22日(日)愛知県 中電ホール
- 2025年6月29日(日)宮城県 仙台銀行ホール イズミティ21 小ホール
- 2025年7月27日(日)東京都 きゅりあん 大ホール
プロフィール
新浜レオン(ニイハマレオン)
1996年5月11日生まれ。2019年5月、1stシングル「離さない 離さない」をリリースしB'zや倉木麻衣が所属するレーベル・ビーイング(現:B ZONE)初の演歌・歌謡曲歌手としてデビュー。同年11月に「第61回 日本レコード大賞」で新人賞を受賞する。2023年5月に発表した「捕まえて、今夜。」は「名探偵コナン」の公式スピンオフ作品「名探偵コナン 犯人の犯沢さん」のオープニング主題歌に。曲中の“窓ふきダンス”がTikTokを中心に話題を集め、同曲を使用した動画の再生数が1億回を超えるヒットを記録した。2024年3月、木梨憲武がプロデュース、所ジョージが作詞作曲を手がけた6thシングル「全てあげよう」をリリース。オリコン週間演歌・歌謡ランキングで1位を7度も獲得、トップ10入りは42週連続を記録し同曲で「NHK紅白歌合戦」への初出場を果たした。2025年4月、7thシングル「Fun! Fun! Fun! / 炎のkiss」をリリース。「Fun! Fun! Fun!」はアニメ「名探偵コナン」の新エンディングテーマとしてオンエアされている。