ナタリー PowerPush - ニコナタ影山ヒロノブ×小出祐介（Base Ball Bear）「超音楽祭2014」対談

継承されるアニソンの遺伝子

ボーカリスト影山ヒロノブ誕生秘話

──影山さんは最初にヒーローものの楽曲を歌うときに迷いみたいなものはなかったですか？

影山　いや、もうその時期はね、俺なんか世の中に必要とされてないんだろうなってちょっと思ってた時期だったから、まず「チェンジマン」を歌ってくれないかって言われたことがすごくうれしかったんですよ。で、自分なりのベストを尽くして歌い、それが世に出たときに、当時のアニソン・特撮フリークの人たちが俺のことをすごくウエルカムしてくれたんですよね。そこで、ひょっとしたら俺はここでまたがんばれるかもなって思ったんです。

小出　うわ、めっちゃいい話！影山さんは本当にシンガーとして強い魅力を持ってますもんね。声にめちゃめちゃ特徴があるというか。聴いた瞬間に影山さんが歌ってるのがわかるっていう。それは素直にうらやましいですよね。

影山　えー、なんかうれしいな（笑）。

小出　歌い方とか歌唱力は練習すればあとからでも付いてくるとは思うんですけど、声質は生まれ持ってのものだから、どうあがいても変わらないですもんね。

影山　個性的な声でよかったなっていうのは、デビューしたあとになって思いましたけどね。子供の頃はまさか自分が歌うようになるとは全然思ってなかった。そもそも最初はギタリストになりたくて、高崎（晃。LAZY、LOUDNESSのギタリスト）と一緒にギター始めたから。ただ、あいつは中学のときからギターがめちゃくちゃうまくて、俺はずっとサイドギターだったんだけど（笑）。

小出　らしいですね。

影山　一緒にギター弾いてるときに高崎がわーっとソロを弾くでしょ。で、「タッカン（高崎）、今のカッコええやん。もう1回やってや」って俺が言うと、「いやいや最高のソロは一生に1回しかできへんで」って言ってましたからね、中1くらいで（笑）。

小出　あはははは（笑）。すげえ！

影山　ただ、当時はRainbowのコピーをやったりしてたんだけど、そのときボーカルやってた奴は声が出なかったんですよ、キー的に。で、俺が歌ってみたら声が出たんで、そこから歌に転向したんですよね。そのままギター続けてても、一生サイドギターだろうなって思ったし（笑）。

小出　面白いなあ。中学生でRainbowのコピーやってるっていうのが異常ですけどね（笑）。

アニソンの伝統を受け継いだ“チェチェチェchanges”

──アニソンシーンで長く活動されている影山さんは、その中でアニソンの傾向に何か変化を感じる部分はありますか？

影山　うん、いろいろ変化はしてきていますよね。昔のアニソンっていうと、それ専門の人たちが作る場合がほとんどだったわけですけど、徐々にJ-POPで自分たちのオリジナリティを確立してる人たちがアニメに合ったものを作るようになったりっていうコラボが行われるようになってきて。それはこの業界にとっては絶対に必要なことだったと思う。アニメ自体が時代とともに進化していて、アニソン専門のクリエイターだけじゃまかなえなくなってきているから。いわゆるノーボーダー的な変化を遂げてきたからこそ、アニソンというものが市民権を得たんだと思いますね。だって、昔から「スパロボ」をやっている小出くんのような人がアニソンやったら絶対面白いものになるわけじゃない？

小出　あははは（笑）。まだロボット系アニメはやったことないんですけど、Base Ball Bearとしては今までアニソンを何度かやらせてはいただいていて。僕としてはアニメのタイアップをいただいたからには、そのアニメに合った曲を書きたいと思うんですよ。で、そうなったときに、じゃあどんな曲が僕にとってのアニソンだったのかなって考えると、それはやっぱり70年代～80年代のアニソンやヒーローものの曲なんですよね。なので、それをどうにかこうにか自分なりに分析して、その構造だけでも落としこむように作っていくっていう。

影山　へえ、そうなんだ。

小出　以前、「ドラマチック」（アニメ「おおきく振りかぶって」オープニングテーマ）という曲を作ったんですけど、それはアニソンによくある、サビ頭で擬音を繰り返すっていう手法を使ったんですよ。“♪ドラマチックチック”って。そうすることによってフックにもなるし、ちゃんとアニソンの伝統を受け継いだものになるなと思ったから。その後に作った「changes」（アニメ「図書館戦争」エンディングテーマ）もそうですね。元ネタはデヴィッド・ボウイの「Changes」なんですけど、“♪チェチェチェchanges”って擬音っぽく3回繰り返していて。

影山　なるほどね。面白い（笑）。

小出　そんなことをやっていたら、アニソン雑誌の取材を受けたときに、アニメ制作会社の方がどうやったら「ドラマチック」のような曲が作れるのかっていう研究をされているという話を聞いて。僕としてはしてやったりな気持ちになったんですけどね（笑）。

影山　あははは（笑）。いやでもね、そういう気持ちでアニソンを作ってくれている人がいるっていうのは本当にうれしいですよ。ノーボーダーになったことはいいことではあるんだけど、アニメをイメージして作られたわけじゃない、単純なタイアップ曲っていうのもあるわけで。

小出　確かにありますよね。

影山　そういう中で小出くんのように、ちゃんとアニメと一緒に流れることを念頭に置いて作ってくれる人もいるっていうね。それはもうまぎれもなくアニソンなわけですよ。この話を例えば水木一郎さんが聞いたらね、（声マネしながら）「えらいな、彼は！」って絶対言うと思うよ！

小出　あははは（笑）。それはうれしいですね。

» 「ニコニコ超会議」初出演に向けて

「超音楽祭2014 ～超会議3～」DAY1概要

2014年4月26日（土）千葉県幕張メッセ国際展示場ホール8 超音楽祭ステージ
OPEN 10:00 / START 11:00 / END 17:30（予定）

＜出演者＞
影山ヒロノブ / Base Ball Bear / アップアップガールズ（仮）/ ELISA / 椎名ぴかりん / SKY-HI / SCREEN mode / 春奈るな / ℃-ute / 流田Project / 任天堂スペシャルビッグバンド

＜ニコニコ生放送＞

配信はこちらから

「ニコニコ超パーティーⅢ」 「ニコニコ超会議3」関連特集: ふなっしーインタビュー; 「超ボーカロイド感謝祭」徹底解剖; 私立恵比寿中学インタビュー; 陸上自衛隊中央音楽隊隊長インタビュー

JAM Projectニューシングル「Rebellion～反逆の戦士達～」 / 2014年4月30日発売 / 1296円 / ランティス / LACM-14209: JAM Projectニューシングル「Rebellion～反逆の戦士達～」

収録曲

Rebellion～反逆の戦士達～
PRAY FOR YOU
Rebellion~反逆の戦士達～（Off Vocal）
PRAY FOR YOU（Off Vocal）

JAM Projectニューシングル「Breakthrough」 / 2014年4月30日発売 / 1296円 / ランティス / LACM-14210: JAM Projectニューシングル「Breakthrough」

収録曲

Breakthrough
Maverick～覚醒されし獣～
Breakthrough（Off Vocal）
Maverick～覚醒されし獣～（Off Vocal）

Base Ball Bear ニューアルバム「二十九歳」 / 2014年6月4日発売 / EMI RECORDS: Base Ball Bear ニューアルバム「二十九歳」; 初回限定盤 [CD+DVD] / 3780円 / UPCH-29167; 通常盤 [CD] / 3165円 / UPCH-20353

CD収録曲

何才
アンビバレントダンサー
ファンファーレがきこえる（Album Mix）
Ghost Town
yellow
そんなに好きじゃなかった
The Cut feat. RHYMSTER（Album Mix）
方舟
The End
ERAい人
スクランブル
UNDER THE STAR LIGHT
PERFECT BLUE（Album Mix）
光蘚（Album Mix）
魔王
カナリア

※曲順、曲名は変更の可能性があります。

初回限定盤付属DVD

メンバーによる初の公式インタビュー
2014年4月4日、TOUR「光蘚」ファイナルとして名古屋ボトムラインにて敢行されたBase Ball Bearによる最新ライブ映像（収録曲未定）

影山ヒロノブ（カゲヤマヒロノブ）

1961年2月18日、大阪府生まれ。1977年にハードロックバンド・レイジーのボーカル“ミッシェル”としてデビューを果たす。1981年5月のレイジー解散後はソロとして活動し、1985年にKAGE名義で「電撃戦隊チェンジマン」の主題歌を担当。これを機に特撮・アニメソングでの活躍が増え、「ドラゴンボールZ」の主題歌「CHA-LA HEAD-CHA-LA」や「聖闘士星矢」主題歌「聖闘士神話～ソルジャー・ドリーム～」などを次々と大ヒットさせた。2000年には同じくアニメソング界を牽引する水木一郎、松本梨香、さかもとえいぞう、遠藤正明とともにJAM Projectを結成。現在は遠藤正明、きただにひろし、奥井雅美、福山芳樹とともにJAM Projectとして日本のみならず世界各国を舞台に活動しながら、作詞、作曲、編曲、プロデュースをこなす「アニソンアーティスト」として幅広い活躍を見せている。

Base Ball Bear（ベースボールベアー）

小出祐介（Vo, G）、関根史織（B, Cho）、湯浅将平（G）、堀之内大介（Dr, Cho）からなるロックバンド。2001年、同じ高校に通っていたメンバーによって、学園祭に出演するために結成された。高校在学中からライブを行い、その後も楽曲制作等、精力的な活動を続け、2006年にメジャーデビューする。2007年には「抱きしめたい」「ドラマチック」「真夏の条件」「愛してる」といったシングルや、アルバム「十七歳」を立て続けに発表。2010年1月には初の日本武道館単独公演を開催した。バンド結成10周年を迎えた2011年には、シングル3枚とアルバム「新呼吸」を発表。2012年は2度目の日本武道館公演を皮切りに活発なライブ活動を展開し、2013年2月に初のベストアルバム「バンドBのベスト」とシングル「PERFECTBLUE」を同時リリースした。2014年6月には約2年7カ月ぶりとなるオリジナルアルバム「二十九歳」を発表。9月からは全国19都市を回るライブツアー「2014年秋ツアー」（仮）を行う。

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