中島健人「MONTAGE」|終わらない青春の先に見据える未来 (2/2)

「CANDY」の親友みたいな曲になったらいい

──初回限定盤Aに収録されている「JUST KENTY☆」はカラフルなポップチューンです。これはすごいタイトルですね。

そうですよね(笑)。「MONTAGE」「碧暦」は自分の中のアートを表現した曲なんですけど、「JUST KENTY☆」はそれと相反するというか。「バカになろうぜ!」くらいのテンションで聴いて、幸せになってもらえたらなと。ぜひ“KENTYしてほしい”です(笑)。

──(笑)。“KENTYする”というのは、ポップで明るいイメージ?

そうです。“幸せになる”みたいなイメージですね。新しい動詞として、“KENTYする”を広めていきたいです。

──とことんポップに振り切った楽曲ですよね。

ええ。この曲に関しては事細かく説明せずに、聴いてくださった方々がそれぞれフィーリングで受け取ってくれたほうがいいと思うんですが、少しだけ背景をお話しすると、「JUST KENTY☆」はスターとファンの物語なんです。コンサート会場って、ペンライトという無数の星がきらめいて、宇宙みたいなんですよ。ファンの皆さんはステージの上で輝く一番星をスターと表現しているけど、ステージに立っているスターはファンの子たちを一番星として見ている。宇宙の中で光り合う星々の物語ですね。

中島健人

──中島さん自身、ステージに立っているときに、ファンの皆さんのことを「君たちこそがスターだよ」と感じてるんですか?

はい。実際「君たち、僕よりアイドルだよね」とMCで言っているので。ライブにおける最高の演出って歓声なんですよ。皆さんの歓声や声援、その輝きは僕を上回ってると思うし、一番のスターだなと感じます。そういえばこの曲のタイトル、一度は「The First Star」になったんです。最初に「JUST KENTY☆」というタイトルが思い浮かんだものの、ちょっと直球すぎるかなと思って変えようとしたんですよ(笑)。でも、レコーディングしてるときに、スタッフのみんなとやっぱり「『JUST KENTY☆』のほうがよくない?」という話になったんですよね。せっかく1stシングルに収録するんだし、気合いを入れる意味でも「JUST KENTY☆」かなと。「CANDY ~Can U be my BABY~」(中島が19歳のときに作詞した楽曲。多くのファンに愛され続け、ライブでもキラーチューンとなっている)の親友みたいな曲になったらいいなと思うし、ライブでもぜひコールしてほしい。フェスに出るようになって、「CANDY」の威力を思い知ったんですよ。自分のことを知らない人も「LOVE KENTY!」ってコールをしてくれて。「LOVE KENTY!」は19歳のときに生み出した言葉なんですけど、ここまで大きなものになるとは思ってなかった。「JUST KENTY☆」もそれくらいの言葉になってくれたらうれしいですね。

「自分は間違ってない」と思えた瞬間

──初回限定盤Bに収録されている「SUPERNOVA」は、シックな雰囲気のダンスチューンです。

カッコいいですよね。すごくセクシーな曲だし、サビでは自分の強みであるファルセットを生かしていて。「碧暦」もですけど、ファルセットでどれくらいハイトーンを出せるかを試された曲でもありますね。実は「碧暦」のレコーディングのときに、Mrs. GREEN APPLEの(大森)元貴が会いに来てくれたんですよ。たまたま隣のスタジオでレコーディングをしていたみたいで。そのとき僕はちょっと疲れてて、ハイトーンがうまく出せなかったんですけど、元貴が「ケンティー、気合いだよ!」って背中を押してくれたんです。彼にはいつもエネルギーをもらってますね。実はその日に、「SUPERNOVA」も1回ラフだけ録って。後日元気なときに改めてレコーディングして、すごくいい仕上がりになったと思います。

──通常盤には2023年にInstagramで発表された、中島さんが作詞作曲した「Jasmine Tea」が収録されています。穏やかな雰囲気の楽曲ですが、どんなイメージで制作されたんですか?

「Jasmine Tea」は2023年の秋くらいに作った曲なんですけど、当時は本当に毎日がつらくて。そんな中で「自分で癒しを生成できないかな」と思って、ゆっくりお茶を飲むような感覚で聴ける曲を作ってみようと。ちょうどその頃プライベートで東方神起のお二人に韓国でお会いする機会があったので、現地で少し歌詞を書いてみたんです。日本に戻ってきて歌詞を完成させてから、c.kidと一緒にトラックを作って、ミュージックビデオも自分で制作しました。

中島健人

──その時点で完成されていた?

そうなんです。シングルに入れることになって改めてレコーディングしてみたんですけど、スタジオでは当時作ったときのような感覚ではどうしても歌えなくて。もともとは自分の部屋で録った曲だったので、スタッフの皆さんと相談して、元の宅録音源を収録しました。なので、よく聴くと僕の家の生活音が入ってるかも。空気清浄機の音とか(笑)。

──ドキュメンタリー感がありますね。歌詞もすごくリアルで。

特にBメロはそうかもしれないですね。「理解なんてされなくてもいいんだし」とか「気にしないなんて大人でも難しい すれ違いなんて忙しいんだし」だったり。最後は「ねえ、好きな色で描いて」と前向きになってて、当時の自分にしか書けない歌詞ですね。すれ違いかけている男女の物語でもあるので、ラブソングとしても聴いてもらえたらいいなと思っています。チルっぽい曲はソロではあまりなかったし、最初のシングルに収録できて、“この子”も喜んでると思います。

──今も話に出てきた“つらい時期”を抜けるきっかけはなんだったんですか?

やっぱりライブですね。今年の1月に有明アリーナでやったライブ(「KENTO NAKAJIMA 1st Live 2025 "N / bias"」)が楽しすぎて。自分の現在地を知ることができたし、「自分は間違ってない」と思えた瞬間でした。

──ステージに立つことで確かめられることがある、と。5月4日には「JAPAN JAM」にも出演しました。

すごい数の人が集まっていて、とても緊張しましたね。MCで「初めて(中島健人を)観る人?」と聞いたら、大半の人が手を挙げていて「これはヤバいな」と(笑)。名刺代わりとして「ピカレスク」と「CANDY ~Can U be my BABY~」をお渡しできたし、「MONTAGE」と「碧暦」も披露できたのはよかったなと思ってます。「JAPAN JAM」のステージを観てくれて「全然興味なかったけど、マジで『LOVE KENTY!』だった」と言ってくれた男性客の方もいたみたいで。最近、僕のライブにも男性ファンが増えてるんですよ。男性のお客さんを見ると「盛り上がれんのか、お前ら! かかってこいよ!」みたいなノリになっちゃいますね(笑)。いつか男性だけのライブもやってみたいです。

──フェスは中島さんに対するバイアスを取っ払う絶好の機会ですよね。

本当にそうだと思います。とにかく「僕より気合い入ってるんじゃない?」と思うほどU:nity(中島ファンの呼称)のみんなのコールがすごくて、そのおかげで周りの人たちを巻き込めたんじゃないかなって。それは本当に感謝しているし、今回のシングルはギフトというか、日々支えてくれている人たちに向けたお礼だと思っています。

まだ最高到達点には至っていない

──現在は全国ホールツアー「KENTO NAKAJIMA 1st Tour 2025 "N / bias" 巡」を開催中です。手応えはどうですか?

グループでアリーナやドームに立ったことはあったんですが、ホールツアーを回るのは初めてで。でも、ホールってこんなに楽しいんだなって。お客さんの表情を間近で見られる。つまり、お互いの温度感がめちゃくちゃわかるんですよ。そういう近さで今の自分をしっかり示すことができるのがすごくうれしくて。アイドル、アーティストといっても人間だから傷付くときは傷付くし、そういうリアルなこともステージでは素直に話しているんです。もちろん「熱く進んでいこうぜ」というメッセージも伝えているし、すごく充実しています。ホールツアーをやることで、今の自分の能力、レベルを理解できるんですよね。

中島健人

──自分自身のパフォーマンスについてはいかがですか?

もともと僕はストイックにパフォーマンスを突き詰めたいタイプなんですよ。一緒にライブを作ってくれているメンバーも僕以上にストイックなので、僕やパフォーマーに対する修正点もどんどん言ってくれるし、僕自身もこだわりが増してきて。ステージセットもしっかり作っていただいているし、映像も絵コンテから関わらせてもらって。素晴らしいものができているし、みんなと熱狂的になれる場所を作れるのは最高だなと思っています。もうツアーの折り返し地点は過ぎちゃったんですけど、「えっ、もう?」という感じですね。つい最近、パフォーマーチームとごはんに行ったんですけど、みんなが「すごく楽しいです」と言ってくれて、じんわりきちゃいました。素直に言葉を伝えてもらえるのって、こんなに幸せなんだなって。

──スタッフや共演者と一緒にツアーを作っている実感があるんですね。

「ケンティーのライブチームは、バンドみたいな雰囲気があるね」と言ってくれます。ライブの制作、楽曲の制作もそうですけど、全員が当事者意識を持ってくれているのがうれしいし、意見を持っている人たちとセッションできるのが一番楽しいんですよね。特にステージは一切我慢することなく、自分の力を発揮できる場所ですからね。もちろん失敗もあるんですよ。音を外したら「やっちまった」と思うし、責任も感じる。でも、今は自分らしく生きられているし、まさに青春が続いてる感覚ですね。

──この先の中島さんの活動も楽しみです。もう次のビジョンは見えてますか?

はい。いろいろやりたいことがあるし、それを1つひとつ形にできたらなと。一番大事なのは「どれだけ今をエンジョイできるか?」ということだと思ってるんですよ。気が付いたら20代が終わってて、30代になって。「いろんなことをやってきたじゃないですか」と言ってもらえるんですけど、まだ最高到達点には至っていないし、体が動くうちに必ずそこに行きたいと思ってるんです。そのためには今を楽しみながら、いろんなことに挑戦していかないとなって。この年になって「JUST KENTY☆」という曲を作ると思ってなかったし(笑)。やれることはなんでもやりたい。まだまだ旅は続きますけど、1日の終わりに「今日も楽しかった」という日々を重ねていきたいですね。

公演情報

KENTO NAKAJIMA 1st Tour 2025 "N / bias" 巡

  • 2025年4月17日(木)大阪府 フェスティバルホール
    [1回目]START 13:00
    [2回目]START 18:00
  • 2025年4月21日(月)愛知県 Niterra日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
    START 18:00
  • 2025年4月22日(火)愛知県 Niterra日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
    [1回目]START 13:00
    [2回目]START 18:00
  • 2025年5月3日(土・祝)福岡県 福岡サンパレス
    START 17:30
  • 2025年5月6日(火・振休)広島県 広島文化学園HBGホール
    START 18:00
  • 2025年5月16日(金)北海道 札幌文化芸術劇場hitaru
    START 18:00
  • 2025年6月23日(月)宮城県 仙台サンプラザホール
    START 18:00
  • 2025年7月16日(水)東京都 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
    START 18:00
  • 2025年7月17日(木)東京都 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
    [1回目]START 13:00
    [2回目]START 18:00

プロフィール

中島健人(ナカジマケント)

1994年3月13日生まれ、東京都出身。2011年11月にSexy Zoneのメンバーとしてデビュー。2024年3月にグループを卒業。キタニタツヤとのユニットGEMNを結成し、7月にテレビアニメ「【推しの子】」第2期のオープニング主題歌「ファタール」を配信リリースした。さらに音楽プロジェクト・HITOGOTOを始動し、自身が主演を務めるテレビ東京系ドラマ「しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~」の主題歌の歌唱と作詞を担当。10月に主題歌を収録したCDシングル「ヒトゴト feat. Kento Nakajima」をリリースした。12月に中島健人ソロデビューアルバム「N / bias(ノンバイアス)」をソニーミュージックから発表。2025年1月に東京・有明アリーナでコンサート「KENTO NAKAJIMA 1st Live 2025 "N / bias"」を3日間にわたって行った。4月より全国ツアーを開催。5月にアニメ「謎解きはディナーのあとで」のオープニングテーマ「MONTAGE」をシングルとしてリリースした。