多彩なアーティストが参加した「BLUE」
──ではここからは多彩なアーティストが参加している「BLUE」の収録曲について話を聞かせてください。2曲目の「FLY」ではコピーライターの阿部広太郎さんが作詞に参加しています。これはなぜですか?
「FLY」は夏に出した曲で、サウンドはさわやかなんだけど普通のサマーチューンにしたくなかったんですよ。だから歌詞は軽やかな感じじゃなくて、あえて殴るような、鼓舞するような熱い男らしい感じにしたかった。阿部さんには、僕が書いた歌詞の世界観をもっと深いものにしてもらいたくて入ってもらいました。シンガーではない視点から歌詞を見られる人がよくて。「FLY」の歌詞に引っかかってくれる人が多くてすごくうれしいです。
──編曲はLUCKY TAPESの高橋海さんが手がけています。
僕は海くんのソロ音源が大好きなんですね。だからLUCKY TAPESの感じと、海くんのソロの中間みたいな曲が作りたくて。あとライブでこういう感じの曲をやりたいというのが始まりでした。
──3曲目の「Can't Wait Anymore」はyahyelのMONJOE(杉本亘)さんとMIRU(篠田ミル)さん、荘子itさんとの共作ですね。
yahyelはライブがめちゃくちゃカッコいいんですよ。それで前作「24」のときにオファーしてご一緒して、今回も引き続きという感じです。彼らとは同年代ということもあってバイブスが近いんですよ。音楽に対する解釈とか一緒にシーンを盛り上げていこうという気持ちとか。この曲も楽しみながら作った感じです(笑)。昔はあまり同じ感覚で曲作りできるような環境がなかったんだけど、今の事務所と契約してからはいろんな人と出会えるので本当に楽しいですね。
──「空 feat. SALU」「眠らない街」はmabanuaさんのプロデュース曲ですね。
mabanuaさんが作るビートがとにかく大好きなんです。「空」は僕の曲の中でもいなたい感じが強いんですが、そこにmabanuaさんのヒップホップ的な強いビートが加わることですごくいいバランスの曲になったと思います。mabanuaさんはブラックミュージックをポップスとして表現することがうまいですよね。絶妙です。SALUさんにオファーしたのも同じ理由で。加えて、ラッパーとしてのフロウの多さ、リリックの多彩さがすごい。ルーツを大事にしつつ新しいことをやってる人だと思うから、すごく共感できるんです。
──mabanuaさんはドラマーとしても、今や日本屈指のミュージシャンです。彼のドラムのどんなところがカッコいいと思いますか?
ありきたりな言葉ですけど、センスがいいんだと思います。ブラックミュージックはほかの音楽よりもより感覚的な部分が大きい。さっきから言ってるにじみ出ちゃうものと言うか。例えばボーカルに関して言うと、うまい人が必ずしもいいわけではない。たくさんフェイクを持ってていろんなキーで歌えても、それがよさに直結しない。ドラマーも一緒で、結局どんな音楽をどう聴いてきて、それをプレイヤーとしてどう表現するか。センスってそういうものだと思う。mabanuaさんのドラムは懐かしいけど、古くないんですよね。ブラックミュージックはルーツを掘るジャンルで、それを踏まえつつ新しいサウンドを作るのは難しい。「空」のアレンジを聴いたとき、さすがすぎてちょっとびっくりしました。細かい技術的な部分は僕もわからないけど、すべてにおいてセンスを感じます。
音楽が大好き!
──BACHLOGICさんとの楽曲「Teenage」はどのように制作したんですか?
BLさんはすごくいろんな提案をしてくれる方なんですよ。BLさんは自分で歌えるから、フロウの引き出しもすごく多くて。この曲は最初全然違う感じだったんです。いろいろ教えてくれたので、とにかく楽しかったな。あとBLさんはヒップホップのプロデューサーで、男らしいビートが多いですよね。でも「Teenage」では僕の色が反映された、温和な仕上がりになったので、そこに僕がBLさんとやった意味合いを見出せたと思っています。
──ボーナストラックの「君にキスして」はけっこう古い曲だそうですね。
はい。もう7年くらい歌い続けてるライブの定番曲です。僕が初めて自分でメロディを作った曲なんですよ。今回は1stアルバムという記念すべき節目なので、大好きなKan Sanoさんにリアレンジしてもらいました。以前Kan Sanoさんのツアーに呼んでもらったことがあって、そのときにこの曲をセッションしたんですが、それがものすごくよかったんです。だからこの曲を音源化するときはKan Sanoさんにお願いしようと決めていました。
──向井さんは音楽にしても、ファッションにしても、やっぱり自分のカラーが明確にある人ですよね。
ファッションに関してはただ好きなものを着ているだけですけど、常にボーダーを飛び越えたいという意識は強いです。昔から声や音楽性と見た目にギャップがあると言われていたんですよ。僕はそこが自分の強みだと思っていて。ファッションなり、ビジュアルなり、アートワークなり、僕のこの感じをきっかけにブラックミュージックを聴いてくれたらやっぱりうれしい。
──本当に音楽が好きなんですね。
大好きです! 一番好きなのはイヤフォンで音楽を聴きながら、MV風にリップシンクして街を歩くこと(笑)。最近はラップでやるのにハマってます。SALUさんの新しいミックステープはめちゃくちゃカッコいいんですよ!
- 向井太一「BLUE」
- 2017年11月29日発売 / TOY'S FACTORY
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[CD] 2500円
TFCC-86626
- 収録曲
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- 楽園
[Co-Produced by Julian-Quan Viet Le、LeJkeys] - FLY
[Co-Produced by Kai Takahashi] - Can't Wait Anymore
[Co-Produced by MONJOE、MIRU、荘子it] - Lost & Found
[Co-Produced by CELSIOR COUPE] - Great Yard
[Co-Produced by starRo] - BLUE
[Co-Produced by CELSIOR COUPE] - 空 feat. SALU
[Co-Produced by mabanua] - 眠らない街
[Co-Produced by mabanua] - Conditional
[Co-Produced by grooveman Spot] - Teenage
[Co-Produced by BACHLOGIC] - ONE
[Co-Produced by CELSIOR COUPE]
- Bonus Track1. 君にキスして
[Co-Produced by Kan Sano] - Bonus Track2. FREER
[Co-Produced by Masahiro Tobinai]
- 楽園
- 向井太一「"BLUE" TOUR 2018」
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- 2018年1月13日(土)大阪府 心斎橋VARON
- 2018年1月19日(金)東京都 WWW
- 向井太一(ムカイタイチ)
- 1992年3月生まれ、福岡出身のシンガーソングライター。幼少期よりブラックミュージックを聴きながら育ち、2010年に上京しジャズとファンクをベースとしたバンドにボーカルとして加入する。2013年にソロ活動をスタートし、2016年3月に初の音源となるミニアルバム「POOL」をインディーズでリリース。その後TOY'S FACTORYの新レーベル・MIYA TERRACEと契約し、同年11月にミニアルバム「24」を発表した。11月に1stアルバム「BLUE」をリリース。