ナタリー PowerPush × ミュージックスタイルJAPAN - クラムボン
両国国技館ライブの感動再び WOWOW連動インタビュー
「本物の音楽との出会い」をコンセプトに、毎月厳選したアーティストを紹介するWOWOWのライブプログラム「ミュージックスタイルJAPAN」。今月の放送では、クラムボンが11月3日に行った東京・両国国技館ライブの模様がオンエアされる。放送日時は12月25日(日)24:15から。
これを受けて、ナタリーでは「ミュージックスタイルJAPAN」と完全連動の特集コンテンツを企画し、クラムボンの3人のインタビューを掲載する。なおWOWOWの番組オフィシャルページでは、インタビューの別バージョンが読めるので、そちらもあわせてチェックしてもらいたい。
取材・文 / 大山卓也 撮影 / 福岡諒祠
ギュッとみんなの深層に入っていく瞬間
──先日の両国国技館ライブの模様がいよいよWOWOWでオンエアされます。今振り返ってみて、どんなライブになりましたか?
原田郁子(Vo, Key) お客さんのためのライブというか、来てくれた人にとにかく楽しんでもらいたいっていう気持ちを形にした感じでしたね。センターステージが途中でグルっと回るのも、「回ったらびっくりするよね!」みたいなことを、スタッフと私たちですごくたくらんでいたわけです。そういうことってバンドに余裕がないとできないから、それができるようになったのはすごくうれしいことでしたね。
ミト(B) 誤解を招く言い方かもしれないけど、僕たちは決して順風満帆にやってきたわけではないし、非常にひねくれてると思うんです。やりたくないことはやらないっていうとこから出発してて。結局はいい音が出せて、楽しめればいい。今はそこがすごくクリアなんですよ。
──ライブの見どころを教えてください。
伊藤大助(Dr) んー、まだ全然まとめきれてないんですよね、自分の中で。
ミト 僕は「便箋歌」とか「ナイトクルージング」とか、あのあたり。照明が入ってきて、なんていうか、あの感じがクラムボンらしかった気はします。
──というと?
ミト ライブの最初のうちはわーっとみんな両手を広げてる感じなんだけど、あのへんから深海に潜っていくみたいな感覚になるんですよね。まず大きく招き入れてから、ギュッとみんなの深層に入っていって、そのあとでそこを突き抜けて、また手を広げてる感じに戻るという。その流れ、核のところへ行く瞬間っていうのが、その照明の感じとかも含めてすごく良かったような気がします。
大助 その、ギュッと深いところに行ってからの「KANADE Dance」とか、自分もみんなと同じでわーって開いていく感じがすごかったですね。動揺を隠すのが大変でした。
ライブ終了後の両国駅が異常だった
──お客さんには今回、白のドレスコードが設けられていました。真っ白い客席に照明が当たった場面は圧巻でしたね。
郁子 一人ひとり違うし、それぞれでいい。そこに「白を着てきてね」っていうのは窮屈に思う人もいたかもしれない。実際どのくらいの人が着てきてくれるかも、それは本番になるまでわからなかった。でもああいうふうに全体に照明が当たることで、自分はその一部になって、「みんなっていうのは、個の集合体だったんだ」と体感としてわかる。そういう経験ってなかなかできないですよね。
ミト そういえばライブが終わってからの両国駅が異常だったらしくって、いろんな人から話を聞いたんですけど、まずひとつ面白かったのが両国のちゃんこ屋と居酒屋が全員白かったって(笑)。
郁子・大助 あはははは!(笑)
ミト あと駅にも白いシャツを着て座布団を持ってる人たちがいっぱいで、隣のビルのカラオケ屋でも白い人たちがカラオケで熱唱してたりして。
郁子 知らない人は「今日なんだったの?」って思っただろうね。
ミト うちらのファンはみんな結構フレンドリーだったりするんだけど、今回は特にすごかったらしくて、もう居酒屋で飲んでた人みんなクラムボンファンで、全員で乾杯してたっていう話があるくらい。そんなの聞くと胸が熱くなりますよね。
クラムボン
原田郁子(Vo, Key)、ミト(B)、伊藤大助(Dr)によるスリーピースバンド。1996年に同じ専門学校に通っていた3人により結成。1999年にシングル「はなればなれ」でメジャーデビューを果たす。自由で浮遊感のあるサウンドとポップでありながら実験的な側面も強い楽曲、強力なライブパフォーマンスで人気を集め、コアな音楽ファンを中心に高い支持を得る。2011年には約50カ所におよぶ全国ツアー「ドコガイイデスカツアー」を開催。11月には東京・両国国技館で初のアリーナワンマンライブを成功させた。